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お笑い初期衝動

54.ドクター河合という男

田中三球とは、「試しにやってみようか」という感じのコンビ結成だった。

田中三球は相方を決めあぐねていて。僕と同時進行で「試しにやってみようか」という話になっていた者が、実はもう一人いた。

それは、カスドクター河合だ。

読者の皆さんは、vol.46・47で触れたカスというコンビを覚えているだろうか。
ドクター河合は、vol.47で、直営業に大遅刻してきた芸人である。
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ここで改めて、ドクター河合なる者がどんな芸人なのか触れておこう。

彼は超がつくほどの天然芸人。
彼と話してると、頭のネジが何本も抜けてる奴にしか思えなくて。
てっきり「こいつは相当バカなんだろうな」と思いきや、なんと京大在学中だというのだ。
最初はボケで言ってるのかと思ったほどで、学生証を見たときは本当に驚いた。
漢字の読み方なんかも普段めちゃくちゃなのに京大生なのだから、全く不思議なものである。

ドクター河合は、グレーシー柔術という格闘技をやっていて、ごつい体格をしていた。
"ごつい体格でバカ“というのは、笑いの方程式として、おもしろくなりやすいものなのだろうか。

正直僕は、今まで20年以上の芸人人生で、彼に一番笑わせてもらった。
いろんなおもしろ芸人と出会ってきたはずだが、ドクター河合で笑った回数がダントツなのだ。
彼の言動で、窒息しそうなほど爆笑させられたことが何回あったか。

抽象的な表現では伝わりにくいと思うので、ドクター河合の浮世離れしたバカな言動を一つだけ挙げてみよう。

彼の家はそこそこお金持ちで、どうも母親が彼にとびきり甘いらしい。
ある日、ドクター河合と歩いていたら、彼がこんなことを言った。

「金ないな。かーべー(母親のことをこう呼んでいた)に電話しよう。
もしもし、かーべーか。散髪いきたいから3万円振り込んでくれ。」

横で歩いてる僕は、思わず爆笑してしまった。
いやいや、ちょっと待てと。
お前の髪型、スポーツ刈りだろうが!!と。
スポーツ刈りで3万とる散髪屋がどこにあるんだと。

僕はこの男と、同期として最初に出会ったもんだから、その後にどんな天然芸人と出会っても、おもしろく感じなくなってしまった。
頭のどこかで、ドクター河合と比べてしまうのだ。「あいつほどの爆発力じゃないなぁ」と。


で、話は戻るが。
田中三球は、そんなドクター河合とも「試しにコンビ組んでみよう」となっていたのだ。



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