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お笑い初期衝動

29.長期的視野についての更なる考察

前回述べた“長期的視野”というものについて、もう少し深掘りしていきたい。

お笑い芸人、及び芸人を育成する立場の者は、常に「短期的」「長期的」2つの目線をもたないといけない

ここでいう短期的な目線とは。
1週間後、1ヶ月後の大会などに向けての結果重視の考え方。

長期的な目線とは。
何年か後に表れる成果のために、ある程度の長いスパンで鍛練を積んでいくという考え方。
こちらは、その時その時の結果以上に、プロセスが大事であったりする。

この短期的目線と長期的目線の2つを、TPOにあわせて使い分けていくべきなのである。

なかなかこういったことは、一般の方にはわかりにくい話だろう。
もしかしたら、お笑いを筋肉で考えると少しはわかりやすいかもしれない。

例えば。1週間後にボディビルの大会があるとする。

現状で優勝候補の人は、1週間後にフォーカスして、ベストにもっていけるよう調整するだろう。
これは短期的視野による取り組みである。

一方、現状でマッチョでも何でもない、普通体型の人は。
1週間必死で鍛えたからといって、優勝候補並みにムキムキになることは不可能ですよね。

この場合は、「1週間後の大会で優勝」という短期的成果を目指すのはナンセンスで。
もっと先の時期の成果に向けて、日々コツコツと鍛えていくという、長期的視野が必要です。
当然ながら、1週間後にムキムキになってなくても落ち込む必要はない。

つまりは。
長期的な時間をかけないとそもそも身につかないものに対し、短期的に大きな成果を求めるのは間違いで。
逆に言えば、短期的に大きな成果を出せていなくても、ブレずにコツコツ頑張ってれば、いずれ大きな成果になり得る時期がくることもある。
というものである。

これ、お笑いも同じで。
今もっているセンスをうまく駆使する・凝縮させる作業は、短期的に可能ですが、センス自体を大幅にUPさせるのは、1週間や1ヶ月でそうできるものではありません。
お笑いセンスも、脳の筋肉のようなものです。
日々コツコツの積み重ねをやっているか否かで、何年かしたらセンスに個人差がでてくるもの。
であれば、常に長期的視野もあわせもっての取り組みが必要なのです。

たまに間違った指導者が、長期的視野をもたずして、「なぜ結果を出せないんだ!」と言うことがあります。今結果が出なかったら全てが終わりかのようなトーンで。
こういった短期的視野のみの指導は、無駄に自信をなくさせ、モチベーションを下げ、長期的成長を阻害してしまう。

短期的成果を出せなかった上に、長期的成長まで阻害されたら、それ誰が得するんだ?って話ですよね。

プレイヤーは、周囲の声に惑わされすぎないことが大事。
指導者は、長期的視野をもつことが大事。

どちらも忍耐を伴い、ブレない精神的な強さが必要である。



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