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お笑い初期衝動
56.案外なりゆきでできるもの
設定の説明も、ネタフリも、ツッコミもない。
ドクター河合に至っては、ただセンターで黙って立ってるだけ。
こんな3人のコント。
そう書くと、一見奇をてらったネタのように感じるかもしれないが。
実際には、なりゆきで結果こうなったという面も多分にあった。
まず、天然芸人のドクター河合。
彼は、演技もボケもツッコミも全くできない。
出会った頃、落語家の桂枝雀さんのことを「きすずめ」と読んでいたぐらいだから、きっとお笑いを何も見てこなかった人なのだろう。
そんな彼の特性もあり。
ドクター河合のセリフや芝居は、後で、何かできそうだったら入れようか。
そんな程度の考えだった。
それよりも。
僕と田中三球は、ネタの中で“ドクター河合をおもしろくイジる一言”を考えるのに手いっぱいだった。
フリもツッコミもないから、これを考えるのは、なかなかの難題なのだ。
だったら、フリやツッコミを考えたらどうかと思うかもしれないが。
僕達は養成所に入ってまだ2ヶ月程度。
フリやツッコミの重要性を悟るレベルには、正直至ってなかった。
まず目の前にある課題を考えよう。
細かいことは後で考えればいい。
そんな感じだった。
3時間後には、ネタ見せも始まる。
(ネタが出来上がってなければ見せなくてもいいのだが)
設定もネタフリもツッコミも、ひとまず後回し。
僕と田中三球は、ひたすら“河合イジり”の案を考え。
ドクター河合はその案を聞きながら、「それおもろいな!」「それはよくわからんな」と率直な感想だけを言う。
ネタを考える能力皆無、桂枝雀すら読めないドクター河合にジャッジされるという、変な構図ではあったが。
この際、四の五の言ってられない。。
3人のネタ作りは、こんな具合であった。
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