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お笑い初期衝動

113.自分の笑いを作り上げるため


田中三球とはしばらく距離をおくべき。
この頃、僕はそう考えていた。
それは、なぜか。

ジルとして田中三球とコンビを組んでいた約半年の間で、僕はすごく勉強させてもらった。今でも彼には大変に感謝している。
芸歴1年目、言わばスポンジ状態の僕は、"田中三球の笑い"を存分に吸収した。
それはすごく刺激的な日々で、田中三球に追いつけ追い越せという思いで励んでいた。

しかし。田中三球の笑いを学び、それを新たな自分の引き出しとして作り上げようとする日々が続いたことで、僕は元々自分が持っていた"奥山ツンヂの引き出し"を育む作業が足りなくなっていた。

正直、解散直後のピンでのネタ見せでも、僕は田中三球的な笑いを演じていた。
だからこそ、養成所担当社員木佐さんに「お前ら、もう1回組んだらどうや」と言われたのだ。

そりゃそうである。
僕が、田中三球の笑いを演じて。
田中三球も、田中三球の笑いを演じて。
だったら、解散する意味がどこにあるんだ?って話である。

それらのことに改めて気がつき、じゃあ僕は今どうするべきなのかと、冷静に真剣に考えた。

僕にしかできない"奥山ツンヂの笑い"をしっかりと作り上げるには、しばらくは田中三球の影響を受けない方がいいだろう。
決断するなら、今だ。

田中三球とは距離をおこう。

これが、僕の出した最善の結論だった。
だから、再結成の誘いを断ったのだ。



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