お笑い初期衝動

20.終わった

面接官が芸人志望の5人に、こんな質問を投げかけてきた。

「ダウンタウン、ナインティナインの次にくるのは誰やと思う？」

左端に座る者から、5人が順番に答えていく。

「シャンプーハット」
「ハリガネロック」
「シャンプーハット」
「シャンプーハット」

4人が順番に答えていき、一番右に座る僕が答える番となった。

やばいな。困ったな…。

何を困ることがあるのか。
実はサラリーマンをやってた頃、僕は若手のお笑い番組をほとんど見ていなかったのだ。
見てないもんだから、次に売れる若手といっても、それ以前に、若手芸人の顔と名前が一致しないようなレベルだったのだ。

う～ん、どう答えよう…。

いや、じっくり考えていい場面ではない。前の4人はぽんぽん答えてるのだ。
僕もすぐ答えないと…。

あ、そういえば。
数日前に見た『オールザッツ漫才』(←関西でおなじみの若手芸人の登竜門的TV番組)で、確かにシャンプーハットってコンビおもしろかったなぁ。。

シャンプーハットというコンビの顔と名前はぎり一致し、確かにおもしろかったという記憶もある。
若手芸人のことをわからないとはいえ、わかる範囲で答えないと。
そこで僕はこう答えた。

「えーと。じゃあ、僕もシャンプーハットで。」

そう答えた瞬間。
目の前の面接官の一人が、誰の目にもわかるぐらいに、怒りで顔を紅潮させた。

うわっ、怒らせてしまった。
他の人のマネして、てきとうに答えたと思われたのかな。

あー、終わった。

これは、確実に落ちたなぁ…。