お笑い初期衝動
7.弟子入りへの疑問
ビートたけしさん、明石家さんまさん、島田紳助さんらが若手だった時代は、弟子入りという形で芸人を始めるのがスタンダード。
しかし僕がサラリーマンをやめた23才当時は既に、とんねるず、ダウンタウン、ナインティナインら、次の世代の芸人が台頭していた時代。
彼ら新世代は、弟子入りという形はとらず、師匠をもたない芸人というスタイルをとっていた。
当時の僕も、芸人を目指すならやはり弟子入りという形ではない方がいいように思えた。
率直に言うならば。
弟子入りして、師匠の家の掃除やカバン持ちに励むことが、どう芸の向上に繋がるのかがさっぱりわからなかったのだ。
「世間の常識を逸脱してるからこそ芸になる」という感覚も持ち合わせていた僕としては、師匠への礼節として身のまわりの世話を極めることは、いわば常識を極めることであり、「常識の逸脱」とはむしろ真逆のことではないかと、素人ながらに甚だ疑問を感じていた。
また、「売れる前から天狗だった」とも言われるダウンタウンさんが、先輩芸能人であろうがズバズバにこきおろすその様は、当時鮮烈であった。
「言っちゃいけない」というザ・芸能界の暗黙のルールをうち破る新世代の到来は、僕を含め当時の若者にとって大変に痛快であり。
そういった影響のもと、『下剋上の美』という価値観が若手芸人の中にしっかりめに存在した時代でもあった。
弟子入りという"師匠に尽くす"という形は、『下剋上の美』とも真逆のものであり、やはり僕としてはピンとくるものではなかった。
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