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お笑い初期衝動

13.ダックスープ

浪花座の公演が始まった。

まずトップバッターは、ダックスープという若手漫才師だった。
初めて見る漫才コンビである。

いわゆるぼやき漫才というスタイル。
ボケの人が早口で喋り、セリフ量も多い。
が、早口といっても決して雑ではなく、むしろきれいにまとめた、万人ウケする小話の連発で、安定感抜群であった。
若手らしからぬ、計算され尽くしたそのネタ運びは、素人目に見ても、「商品としてしっかり成立している」といった印象だった。

なるほど。まずはこれぐらいのレベルに達しないといけないんだな。
そんなふうに思いながら見ていた。


ちなみに。
ダックスープは、何年か後に解散したが。
解散後、ボケの方の人はナオユキという名の漫談家として、ピン芸人の大会『R-1ぐらんぷり』で決勝進出を果たしている。

決勝の放送で見る限り、計算され尽くしたネタ運びはピンでも健在で、もはや名人芸という域に達していた。

あと個人的に大変驚いたのは、コンビ時代に早口だった喋りが、ゆったりとした語り口調に変わっていたことだ。

僕なんかが評論するのは恐縮だが、自分の得意のテンポを変えるのは非常に勇気のいることである。
ましてやテンポを変えたスタイルで、大会決勝にまで上がれるレベルに磨き上げているその様には、同業者の目線としても、感動すら覚える技量である。

ナオユキさんの漫談。
まだ見たことないという方は一度見た方がいい、と断言できる芸である。



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