少し不思議な話(逆走)

こんにちは奥山さんと言います。
これはかなり昔、私が愛知県で働いていた時に、私自身が何気ない日常で体験した、お化けも妖怪も出てこない話です。
ある日の深夜、愛知から西へ向かう高速道路で、逆走した乗用車とトラックとの正面衝突による交通事故が起こりました。
当時、事故のあった高速道路で設備工事を行っていた私は、その朝も現場へ向かうため、その高速道路を使用して現場へと車で向かいました。
事故があったので渋滞しているのでは、と心配していたのですが、いつもと変わらない車の流れに安堵しながら私は現場事務所のある駐車場へ到着しました。
この駐車場はある程度広いのですが、他の工事業者の車両もあり、いつも満車に近い状態で、駐車スペースを見つけるのに毎回苦労していました。
その日はいつも以上に混んでおり、空いている場所が、全面が壊れたトラック、その横に敷かれたブルーシート、一つ空いてパトカーの、そのブルーシートとパトカーに挟まれた駐車スペースか、現場からは少し離れた所のふたつしか空きがありませんでした。
出来るだけ現場事務所近くに駐車したかった私は、全面が壊れたトラックを見て、「ああ、あれが事故を起こした車両か。」と思いながら、ブルーシートとパトカーの間に車を停めようと車を近づけると、パトカーのそばの警察官数人がこちらを見ています。
特に違反をしているわけではないので、そのまま車を進めバックで駐車を始めた時に、何があった訳ではなく急に「ここに停めてはいけない!」と言う気持ちが湧いて来て、車を前進させ、少し離れた駐車スペースに停め、現場事務所へ向かいました。
「おはようございます。」
先に現場に着いていた職場の仲間にあいさつすると、中の一人が私に近づき「見た?」と聞いてきました。
「?なにをですか?」と返すと、「ブルーシートの上のアレ。」と言いました。
私は見た記憶がないので、当時この同僚が言った事をそのまま表現します。
最初に私が停めようとした駐車スペース横に敷かれていたブルーシートの上に、トラックと衝突し炎上した乗用車の運転者が、まるでゴジラの様に肘を曲げ、掴みかかるように指を曲げ、全身真っ黒く焼け焦げた状態であおむけに置かれていたそうです。
超鈍感な私はご遺体に気が付かず、その真横に車を停めようとしていたのでした。
亡くなられた方には失礼とは思いますが、そんなものを近距離で見たら、私は正気ではいられなくなっていたと思います。

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