ディズニーランドは現代美術の場たりえるか?(川俣正)のタイトルの問いに対する考え

 私の思う美術作品とは、作者の思想によってその作品が作られ、そのコンセプトを観客が受け取る、一連の作業を伴うものである。すなわち、コンセプトの相互理解である。

とするならば、ディズニーランドの作られた目的とは何だろうか。人を楽しませることだろうか?それとも、作品の再現性だろうか?少なくとも、私はディズニーランドの真のコンセプトを知らない。
観客を楽しませようとする工夫を感じとることはできるが、ディズニーランドにおけるすべてのものが、一つの目的に向かって構成されていると言えるだろうか。また、観客は明確なコンセプトを知らされずにディズニーランドを訪れても、それを正確に言い当てることができるだろうか。

私は、現代美術品と呼ばれる作品を見る際、
コンセプトを理解して観るのと、あとからキャプションを観るのとでは随分違う印象を受ける。その作品のコンセプトを知って観ると、先入観を持って観てしまう。ただ、予備知識なしで作品を観て、あとでコンセプトを知ると、世界が反転したような衝撃を受ける。つまり最初にわたしが作品を観た時の印象が、作者の意図とは全く異なる場合があるのだ。また、私はそういったところが現代美術の面白さだと思っている。

では、ディズニーランドではどうだろうか。
私はディズニーランドに行って、そのコンセプトをあとから知らされても、現代美術のそれとはまた違う感覚を持つと思う。おそらく、私たちが想像しているコンセプトと、実際のそれとの間に大差がないものだと思われるからだ。つまり、私たちが想像できる枠にコンセプトが収まり、それによる衝撃や感動がないからだ。

ディズニーランドは営利目的の施設という一面もある。集客率は高いものの、観客はそのコンセプトを目的に来場しているのでも、新しい視点を求めて来場しているわけでもない。よって、現代美術とは明確な差があると考える。

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