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【後払いの税金】住民税の基礎知識【サラリーマン】

こんにちは、OKNです。

本記事では、サラリーマンの住民税の仕組みについて、少し詳しく書いてみます。

サラリーマンの方で、課税の仕組みや、どれだけ税金を支払っているのか、あまり知らない人も多いと思います。まずは「基本編」を書きましたので、お読みください。


1.住民税は後払いの税金です

住民税 (city tax) とは、前年の所得に対して課税される地方税で、翌年の半年後から請求され、分割払いで支払います

住民税は、都道府県民税と、市町村民税の2種類がありますが、市区町村が一括して徴収するため、一体と考えて問題ありません。


2.住民税の仕組み

1)基準の所得前年の年収の「課税所得」に対して発生します。

2)基準日: その年の1月1日に、住民票のある地方自治体(市区町村)に支払います。

3)支払方法: サラリーマンの場合、毎月同額が月給から控除されます。これを「特別徴収」といい、市民税の年額を12分割したうえで、同年6月から翌年5月の期間で分割払いとなります。所得税と異なり、ボーナスからは控除されません。

4)税率: 「課税所得」に対し、10パーセントの固定税率です。内訳は、県民税(都道府県民税)が6パーセント、市民税(市町村民税)が4パーセントです。


3.住民税と所得税の違い

所得税は「当月の給与」から控除されるのに対し、住民税は半年後に後払いです。市区町村は、国税庁から提供される前年度の確定申告(源泉徴収票)のデータに基づき、地方税を計算して、請求します。

所得税との比較をまとめてみましたので、参考にしてください。

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4.住民税の計算式

住民税は、前年の確定申告(源泉徴収票)に基づき、地方自治体が計算して請求してくるので、自分で計算する必要はありません。計算方法は、所得税と同じですが、各種控除の控除額が異なります。

【手順1】「額面所得」(年収)から 各種控除額を引き算し、「課税所得」を計算します。

【手順2】各種控除の仕組みは所得税と同じですが、所得税より控除額が少なく、例えば、基礎控除が43万円、配偶者控除・扶養控除が33万円となっています。

【手順3】「課税所得」に対し、定額の税率(10パーセント)を掛け算し、5千円程度の「均等割」を加えて、算出されます。


5.支払い上の注意点

所得税は、最後の給与から控除されているので問題になりませんが、住民税は後払い制度のため、下記のような事情が発生します。

1)昇給・降給した場合: 住民税は、前年の年収ベースで計算され、その額は、翌年の6月に改定されます。例えば、前年の4月に昇給し、次年の4月に降給した場合、次年度の6月に前年の昇給分が反映されるので、結果的にその年の手取りが減ってしまうことになります。

2)転職した場合: 転職先で手続きをすれば、転職前と同様、給与控除(特別徴収)が可能です。ただし、手続き完了までに数か月必要なので、その間は、個人で納付する必要があります。

3)失職した場合(会社都合): 住民税は、前年の年収に対する後払いなので、無職で収入がなくても支払いの義務があります。ただし、会社都合で失職した場合、減免処置があるので、市役所で手続きをしましょう。

4)失職した場合(自己都合): 住民税は、前年の年収に対する後払いなので、次の就職先がなく無職になっても、市民税の支払いの義務が残ります。基本的に、自己都合で退職した場合は、雇用保険と同様、減免処置がありません。額も小さくないので(基準として額面年収の5パーセント程度、年収500万円なら約25万円)、預貯金からの思わぬ出費することになり、収入がないのに預貯金は減るという、大変つらい思いをすることになります。

5)海外転出する場合(海外出向の場合):住民税は、前年の年収に対する後払いのため、海外に引っ越しした場合も、翌年まで支払いは続きます。日本の会社に引き続き務めている場合は、給与控除で「特別徴収」が可能です。

6)海外転出する場合(日本の会社を辞める場合):住民税は、前年の年収に対する後払いのため、海外転出後も、住んでないのに支払わないといけません。ちょっと不合理で、これは制度を見直してもらいたいです。

1月から6月に海外転出する場合: 市民税の請求前に出国することになりますので、出国前に市役所(1月1日に住民票があった自治体)で手続きを行い、納付書の送付先を指定しておきましょう。送付先は、日本にいる親族や実家の住所を指定することで、親族が納付書を受け取ることができます。

7月から12月に海外転出する場合: 6月に納付書が自宅に送付されるので、手続きを済ませて出国します。支払いは4分割となります。1期目を出国前に振り込み、2期分以降は一括で納付するか、銀行口座振替を申し込んでおきましょう(引き落としは、通常、9月、11月、翌年の2月です)。


6.住民税の実質税率はどのくらい?

さて、実際どのくらい税金が発生しているのでしょうか? 早見表を作成しましたので、参考にしてください。

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最後に


本Noteでは、独学で学んだ知識や見解を共有させていただきます。皆さんに、税について考える機会にしてもらえたらと思います。

私は、特に税理や会計に関する資格・経験・学位等は持ってません。工学部卒のエンジニアが、一般教養と実体験に基づき、書きました。正確でない記述や誤解があれば、ご指摘いただけると助かります。

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