見出し画像

緊張と緩和

年末に、友人と落語を観に行った。

トリは真打の桂文珍。
枕から大爆笑を掻っ攫っていった。
間を空けてゆったりと話す饒舌な喋り。74歳とは到底思えない。

落語家の弟子が亡くなったという話をした。
葬式で棺桶を持って運ぶ。
後ろ側を前側を支えている人の身長差があり、棺桶の中の故人が頭をぶつけたという小話。
文字に起こすと些些たる話に思えるが、場は笑いに包まれた。
自分も思わず頬が緩んだ。

以前、すべらない話で三谷幸喜が話していたエピソード。
三谷幸喜が主催する劇団に所属していた俳優が20年前に亡くなった。
臨終の際、劇団員の甲本雅裕さんがその俳優をみて「なんで亡くなったんじゃ、順番が逆じゃろが」と言って最年長の劇団員をチラリと見た。
このエピソードは放送回のMVPに選ばれた。

M-1グランプリで優勝したウエストランドは、
多様性が尊重される社会の中で辛辣に悪口を言い続けて優勝した。
共感できるが、口には出せない絶妙なラインの物事を観客に変わって代弁した。
テレビの場でこれを言っていいのかと不安になり、ながらもついつい笑ってしまった。

『緊張と緩和』
落語家の桂枝雀が提唱した笑いの理論で、緊張が続いた後にその緊張状態が緩むことで笑いが生まれるというものだ。
実際にその理論に基づいて笑ってしまう。

たとえ笑いにならなくても、微笑ましく思うことも多い。
試験中に誰かが屁をした。
コワモテの人が実は甘いもの好きだった。
など。

緊張状態が続くと、体に良くないので、
できるだけ世の中に緩和が散りばめられればと思う。

岩波文庫なんかの硬派な文章も、読み進めると、
重々しい文体に疲れてくるので、たまには書体を崩してほしい。
少し語尾などを変えるだけで、柔らかくなるぽよ〜〜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?