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⑰中央アジア、モンゴル・ゴビ沙漠

「この先に遊牧民はいますか?」

 この旅で一体何度言ったか分からない質問をたまたまオートバイで通りかかった男に私は浴びせた。彼は「いる」と答え、去っていった。彼のゲルは、ここからは遠いバヤンゴビという村にあるらしい。その後、見つけたと思ったら廃墟となっていたゲルで私は水を全て腐っていないか点検を行った。この先がもし無人地帯になっており、水を得られずに戻ることになった時、水が飲めないものになっていたら終わりだからだ。残りの水は17リットル。幸い腐った水は無かった。明日一日歩いて遊牧民に出会え無ければ、来た道を引き返し、最後に水を貰った場所まで戻らなければならない。

 翌日、私は廃墟ゲルらしきもの一つと、枯れている井戸を発見した。今日中に水を得ることが出来るのか?2つの意味で私の関心はそこに集中していた。一つは今日中に水を得ることが出来ればこのまま西へ旅を続け、スタート地点からひいてきたラインを描くことが出来るということ。もう一つは今日に水を得ることが出来なかったとしても、累計踏破距離は1000kmに達するし、もうそれで旅を終えてもいいのではないか。という意味においてだった。

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