⑦中央アジア、モンゴル・ゴビ沙漠
昨日の嵐と打って変わって、怖いくらい静かな夜を、本を読んで過ごした。明日から5月だ。ここは不毛の地だが日本は新緑の季節だろう。朝、まどろみの中で、母親の好物を知らないことに気が付きながら目を覚ました。とても穏やかな夜でかなり深く眠ることが出来た。
それから私は、ひたすら西へ向かって歩いた。常にゲルを探していた。手持ちの水が限られている私にとって、遊牧民を見つけだすことは実際的な意味において死活問題だった。おかげでやたら目が良くなった。ゲルかと思い、近付いて行くと白い岩だ