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⑮中央アジア、モンゴル・ゴビ沙漠

 さらに近付いていき双眼鏡で確認すると、山羊と羊の群れであることが分かった。よく見ると丘の上にもいる。合わせて20匹くらいだろうか。自転車を置いて双眼鏡を持って空身で丘を上り、辺りを見渡す。しかしゲルは見当たらない。あの数の山羊、羊の群れで主がいないなんて有り得るのだろうか。詐欺師のラクダならともかく。野生化したのだろうか?水はどこで得ている?遊牧民から捨てられたばかりなのか?

角度が急な、砂混じりの丘。上れそうなルートを見定めて重たい自転車を押し上げ、叫びながら上る。この辺り一帯の地形は急峻な丘で形成されていた。その中を上り下りして進むも相変わらずゲルの影は見えない。三つ目の丘を越えた時、景色がパッと拓けた。丘陵地帯を抜けたのだ。

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