【超解説】毎日のワードローブに着物が加わる秘密の道具リスト/秋着物編
オンラインで着付を教える先生、奥かなこです。
今回の記事では、秘密の道具リストを大公開。
次の項目が当てはまる方へ向けて書いています。
☑︎ これから着物を着てみたいと思っている
☑︎ 何を用意したらいいか分からない
☑︎ 無駄なお買い物はしたくない
なぜ秘密?
まず、着付道具は一通り揃えるだけで大変です。フルセット品を買う手もありますが、帯に短し襷に長しでベスト品ではありません。結局使わないものがあると無駄になっちゃいますね。
そこで、あくまでも深呼吸着付®︎としての道具リストではありますが、いつもは生徒さんだけにお教えする内容を公開することにしました。身体の機能を助けつつ邪魔もしない、安定のお品です。
また、その品物を選んだ基準を【超解説】して、なおかつ親切にもお買い物リンクをバッチバチに貼り付けようという魂胆です。
【超解説】は、なるべく専門用語を使わずに書きます。シンプルにするため、あえて端折っている箇所もありますので、ご了承くださいね。
そうそう、自宅やご実家に着物関係のアイテムがあるなら、一度は引っぱりだしてみてください。条件が合う、使えるものがあればラッキーです。
ではいきましょう!
▶︎表から見えるもの
1.着物
着物はていねいに書きますので、やや長めですが、ビギナーさんは辛抱して読み進めてみてください。読み終わると新しい景色が広がっているかもしれません。
絹、木綿、綿麻、デニム、ウール、あるいは季節感を問わない色柄の浴衣が日常で使える着物です。ポリエステルもいいですよ。
絹の場合は、ツルツルふにゃふにゃしたタイプは普段使いしにくいです。糸に節があったり、シャリ感があったりする紬(つむぎ)がおすすめ。
木綿と綿麻は自宅で洗える良さがあります。絹の紬よりもカジュアル度が高く、日常で気軽に着られます。最近は色柄がかわいいものが増えました。
デニムは木綿着物の仲間。お仕立て上がり(買ってすぐに着られる状態)がお値打ちで入手しやすく、見た目もオシャレです。こちらも洗えます。
ポリエステルは、絹の着物のような存在。東レシルック、きものやまとの「やまと可憐」シリーズは優秀です。安価なものは静電気にご注意を。
「たんすを開いてもハレの着物しかありませんでした」という事態も、あるあるです。そんなとき、あわてて着物を買うよりも・・・
まずは浴衣で代用しましょう。花火や朝顔みたいな夏柄じゃなければ大丈夫。色は中間色〜濃いめだと、夏っぽさが抑えられてちょうどいいですよ。今年なら10月いっぱい着用可能です。中から半衿を見せて、着物として着た場合です。
▶︎形状について
衿のかたちは二種類あります。首の後ろを半分に折って使う広衿(ひろえり)と、浴衣のように折る必要のないバチ衿です。
(ハレの日の着物は広衿でやわらかい着物ばかりです。慣れておきたい方はぜひ広衿にチャレンジを。ちな、私は浴衣も広衿です。)
▶︎サイズについて
大前提として、ちょっとくらいサイズが合わなくても、着付で調整できるのが着物の良いところ。とはいえ限度はあってだな…(着付がイヤになるので)
S/M/L/LL表示があれば、一応説明に従いますが・・・困ったことにメーカーによって全然違うんですよねーということで目安はこちら。
身丈(みたけ)はあなたの身長とほぼ同じ、あるいは−3cmほど短めでも着付しやすいです。身長±5cmの範囲ならベター。
大切なのは身幅(みはば)。身幅が大きすぎる着物は、着づらくてマジでイライラします。浴衣を選ぶときも基準はあまり変わりません。
標準サイズは
前幅 24cm
後幅 28cm
ヒップサイズ約92cmの方を基準にしていますので、自分がそれよりプラスかマイナスか把握しておくとお買い物の参考になります。
ほかには、腕の長さにあたる裄丈(ゆきたけ)、袖の長さの袖丈(そでたけ)も大切。
標準サイズは
裄丈 66〜68cm
袖丈 49cm
この目安を知っているだけで、相当なアドバンテージ。自分で言っちゃうけど有料級ですよ。
2.名古屋帯
名古屋帯は、半巾帯の約2倍の巾がある帯のこと。いろんな形がありまして、胴に巻くところだけを半分に折って縫ったものを「名古屋仕立ての名古屋帯」と言います。いろんな仕立て方があるんだな〜とだけ覚えておきましょう。
結び方は基本的に、正方形の額縁を背負ったような「お太鼓結び」をします。
▶︎柄
お太鼓とお腹の柄合わせはビギナーさんにとって難易度お高め。初めのうちは柄の出方を気にしなくていい総柄(全通ぜんつう)が一本あると安心です。
▶︎長さ
360cm〜380cmあると結びやすいです。400cmは長すぎ。グラマラス体型さんは、昔の短めの帯にはご注意ください。着付を投げ出したくなりますから。
▶︎素材
絹でできた、ハリのある帯が結びやすいです。おすすめは博多織。軽くてしっかりしています。さらに、お値ごろに汎用性の高い帯が手に入ります。たんすに入ってる率もお高めです。なければまずは、メルカリかなぁ
▶︎注意点
「染め帯」はやわらかいほどコントロール不能になって結びにくいです。
また、金銀の糸がたくさん入っているもの、特におめでたい柄は、普段づかいには不向きです。ラメ程度ならよいでしょう。
カジュアルな着物に合わせるのは、半巾帯でも兵児帯(へこおび)でも良いんですよ。今回は大人の必需品、名古屋帯を紹介しました。
3.帯揚(おびあげ)
帯枕の紐を隠し、彩りを添えるのが帯揚です。
絹でできたものがほとんど。
マットまたはツヤひかえめで、適度に厚みがあるタイプはきれいに決まって納まります。ハレの日用はツヤツヤしていたり金銀が入っていますから避けて。色は淡い色合いを選ぶと出番が多いです。写真真ん中の縮緬(ちりめん)は永遠の定番品。一番左の帯揚は色も含めて万能で優秀です。
まず一枚必要なら、おすすめはこちら
4.帯締(おびじめ)
帯締は長さは150cm程度の紐で、両端に房がついたものが多いです。帯の形状をしっかり支えるという大切な役割があります。
平たいもの、丸いものがありますが、まずはどちらでも構いません。
おすすめは、くるりのこちら
好みが明確になってきたら道明が最高峰
(目の保養にリンク貼っとくね)
▶︎注意
金銀がたくさん入って、幅が広いものはハレの日専用です。いかにもおめでたいので、ふだんづかいは避けましょう。
▶︎表から見えないもの
5.衿つき肌着 または 長襦袢
着物の下に着る、半衿付きの下着です。
夏のコミュニティ「浴衣プラス」で紹介した衿付き肌着を購入された方は、そちらをお使いください。衿の形が決まりやすいき楽っくをおすすめしています。似たものは検索すると色々と出てきます。
衿とは、着物と首の間からほんの数cmだけ見える半衿のことです。本体に縫い付けられています。き楽っくはファスナー式なので付け替えが楽です。
夏以外の3シーズンは、透け感のない半衿にします。夏はスッケスケ。
何もお持ちではない方は、まずは衿付き肌着を購入しましょう。上に着る着物のサイズを気にすることなく使えますから、一枚あると便利です。
長襦袢は気にすべきポイントが多すぎるので、クラス内で質問してくださいね。
6〜10.肌着、裾よけ、腰紐、伊達締め、帯板
初級の浴衣着付から使っているものですので、まとめてリンクを貼っておきましょう。
6.肌着 肌着その2
7.裾よけ 裾よけその2
8.腰紐4〜5本
9.伊達締め(博多織)あれば2本
10.帯板(へちま)
深呼吸着付®︎は、タオル補正なし、ゴム紐は極力使わず紐だけで着付をします。もこつかず、蒸れず、シンプルな着付ができるのは、昔ながらの道具のおかげです。帯板だけはゴム紐が付いてますけど、明確な理由があり(続きはクラスで)
肌着は、首のうしろが大きくひらいて、長さは腰骨のでっぱりより長めのものを選びます。
裾よけは、さらし部分が広いものを選びましょう。骨盤の引き締め効果、ぽっこりお腹が表に響かなくなる効果があります。素晴らしいものですよ。ステテコもいいけどね〜
11.帯枕
帯枕は名古屋帯をお太鼓結びにするために使います。必ずガーゼ(伸びない紐)がついたものを選んでください。ストッキングのように伸びる紐はNGです。また、背中に当たる部分が硬いと、ちょっとしんどい。紹介している帯枕は両方ともやわらかいです。
・ウレタン素材安価。夏は蒸れが気になります。
・へちま素材夏涼しいだけじゃなく年中使えます。
通はシーンによって枕を変えるとか。幅、厚み、丸み、いろいろ
12.衿芯
衿芯は、細長く、白だったり透明だったりするパーツです。
半衿の内側に差し込んで、衿の形をキープするために使います。ただし、き楽っくの衿つき肌着は元から衿がしっかりした形状なので、衿芯は必要ではありません(お好みでどうぞ)。
形は直線タイプ、弓形タイプの二種類、硬さもそれぞれあり、個人によって好みが分かれるところ。
おすすめの衿芯はこちら惜しくないお値段です
▶︎そのほか
13.着付クリップ
帯を固定したり、第三の手のように使える便利な相棒。洗濯ばさみで代用可能です。とはいえ一度買えば半永久的に使えますので、まずは1本。今後上級の袋帯クラスに進まれる方は、3本あると心強いです。
おすすめの着付クリップはこちら
14.手拭い
アンダーバストの段差を埋めたり、仮で挟んだりといろいろ使います。お好きなものを数枚、手元にご用意くださいね。固定用にマスキングテープなどがあると便利です。
15.足袋
足袋、または、かわいくしたいときは足袋ソックスもいいですね。
白足袋はきちんとした印象になりますので、ひとつは持っておきましょう。ストレッチ足袋は滑りやすいので、「綿キャラコ」がおすすめです。
呉服屋さんに必ず置いてあります。余談ですが、足袋買っただけで名簿を書かせるようなお店は要注意やで〜、という個人的な目安があります。
代表的な足袋は
「福助足袋」「えびす足袋」「きねや足袋」
16.下駄または草履
オシャレは足元から。身体づくりも足元から。かわいいブーツを履いてもらってもかまいませんが、ひとつ場が効く草履がほしいと思うなら、晴雨兼用で人気の菱屋カレンブロッソのカフェぞうりかなぁ。
下駄は足を乗せるところがフラットなものをおすすめします。というと二本歯の下駄が思い浮かびますが、あれは結構難易度がお高い(一本歯下駄のほうが楽)。
大阪なら船場、東京なら浅草でも行って、職人さんにすげてもらうと最高にフィットした下駄になるんだよなぁ…。
下駄、草履、ともに基本的に一年中履けます。
▶︎まとめ
この写真を出すのは3回目。そろそろ飽きてきたと思いますがもう少しだけお付き合いください。
ひとつひとつの道具は理由があります。お値段出せばさらに良いものも見つかりますが、入口としてちょうどいい塩梅のアイテムをご紹介できていると思います。
入口とはいえ、和装にはワンシーズンで処分するような消耗品はありません。私が使っている腰紐と伊達締めは、3年以上ほぼ毎日出動してびくともしません。とってもエコロジー。
さて、今回着物と名古屋帯はリンクを貼っていないのは理由がありまして、基本的に着物はお仕立てオーダー品、すぐ使える名古屋帯は一点ものが多いからです。
着付の練習は、ものが完璧に揃うのを待たなくてもできます。手元にあるものでスタートしつつ、じっくりお気に入りになるものを選んでほしいと思っています。
そうも言ってられない「今すぐ欲しい!」という方は、即納品があるお店や、メルカリ、リユース専門店をのぞいてみてください。いくつか例を上げておきますね。
・京都きもの町 ※サイズ4タイプ
木綿着物名古屋帯セット
・たゆたふ ※サイズ4タイプ。身幅が大きいです
久留米織木綿着物15,000円
久留米織木綿着物10,000円以下
デニム着物名古屋帯セット(帯はポリ)
・雅星リユース専門店
暮らしに、もしも着物が加わったなら?
ということで、これまで深呼吸着付の塾生だけにお伝えしていた秘密のリストをお渡ししました。いかがでしたでしょうか。お役にたてましたら御の字、着物仲間が増える日が楽しみです。
あなたの、素敵な着物ライフを応援しています。
深呼吸着付®︎ 奥かなこでした。
読むだけで着物のワクワクが味わえる
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