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静寂の中で、バッと立った彼

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自由進度学習でのことです。子どもたちの様子を眺めていると、どうも集中し切れていません。その姿に、「これでは取り組む意味がない」と感じ、自分の席に戻るように指示しました。それから、チャイムが鳴るまでの10分間は一人で学習しました。

2時間目のこと。作文の清書とパワーポイントの発表練習の時間としました。「何か質問はありませんか?」と聞くと、「自由進度学習のように、自由に学び合っていいのですか?」とありました。「できますか?」と問うと、「・・・」。誰からも応答がありません。もう一度、「1時間目はできなくて、自分の席に戻されました。本当にできるのですか?」と問いました。

静寂の中で、バッと立った彼。「できると思う人は手を挙げてください」「できないと思う人は手を挙げてください」と皆に尋ねました。その声は震えています。皆もその質問に答えます。そして、「できると思う人は、自由に学び合いましょう。そして、できないと思う人は自分の席でしましょう。皆さん、どうですか?」と。「賛成」「いいです」の声を聴き、彼は座りました。涙をこらえていました。

あの中で立つこと。皆に声をかけること。ものすごく頑張ってくれました。勇気を振り絞ってくれました。彼がいてくれたから学び方を決めることができました。そんな彼に、大きな拍手を贈りました。

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