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龍笛〜鳴った瞬間を大事に育てて

雅楽の龍笛のインストラクターです。練習サークルを主宰しています。

龍笛の音は少しずつ鳴っていくので、生まれた音を大切に育てよう――という話をします。

龍笛は、まず音を鳴らすのが難しい、と思っている人が多いようです。

大きく言えば、ポイントを知りさえすれば、鳴らないということはありません。

ただ、瞬間、鳴ります。そのあと、鳴らなくなります。

また鳴って、また鳴らなくなります。

鳴らないと悔しいですよね。
私も、習いたてのころ、鳴らないことが悔しすぎて、涙が出たことを覚えています。

悔しいのは一所懸命な証です。その気持ちは抱きつつ、目を向けてほしいことがあります。

それは、龍笛は少しずつ鳴っていく、という事実です。

龍笛を鳴らす要素には、息の太い細い・スピード、唇が作る息の形、息を当てる箇所・角度、龍笛自体の状態(湿度や温度の影響)があります。

龍笛を鳴らすというのは、これらの兼ね合い・加減を試行錯誤することです。

息を一定の細さ(太さ)・スピード・形で、例えば10秒でも、吹き続けるには意外に練習が必要です。

また、どれだけ勘が良い人でも、吹く息をコントロールできるようになるには、必ず一定の期間がかかります。毎日やればそれに比例して早くできるものでもありません。

というのは、体は、意思とは別に客観的に変化するからです。変化するまで、一定の期間を要します。

龍笛は、少しずつ鳴っていく楽器です。
少しロマンチックな言い方をすれば、音が成長する楽器です。

ですから、鳴った音を育てるように練習しましょう。

鳴らないことなど真っ先に忘れてください。
鳴った瞬間の感触を捉えます。その感触を再現できるよう努めます。その繰り返しで、音が良くなっていきます。

瞬間生まれた音を、大切に大切に、育ててください(^^)


社会人初心者が、実技も座学も基礎から系統的に学べる、雅楽伝習所を宇治に創りたいです。