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ホントシオリ vol.01

2019.03.25 LOFTproject RooftopWEB 掲載


“好きな本を教えてもらうとなんとなく、その人の人柄がわかる気がする”

誰だっけな? 誰だったかな?
公園の木漏れ日の中でこの言葉を聞いたことは覚えている。

記憶なんて曖昧なモノできっと、いつかは全てを忘れてしまうんだろうけど、この言葉を聞いた時になんとなく“確かに。そうかも。”って思ったことも記憶にある。

今回、RooftopWEBにてわたしの書籍紹介(連載になるのかな? 続くのかな? わたしが飽きるまでは続けたい。)をスタートするにあたり、わたしを知らない人間しかいないと思うので、少しだけどんな人間なのかが見えやすいように、伝わりやすいように好きな本を紹介しようと思う。(初回だからね)もちろん、紹介した本を知って頂きたいのが1番なんだけど…。ここでの紹介はわたしの人柄や性格も含め知って頂けたら嬉しいな、と。完全に書籍だけの情報を求めている方はRooftop BOOKSreviewをご覧くださいませ。


人生なんて自分の思うようになんていくわけがない。
だからこそ、経験として向き合った方が楽しくない?
宮木あや子「校閲ガール」KADOKAWA / ¥560+tax

阿佐ヶ谷ロフトAに務める前は美容師、アパレルと華やかで毎日キラキラした世界でいろんな人とお話を毎日しながら長く勤めていた。職業を耳にしただけできっとこの2つの職業はどんな仕事をしているのかがわかりやすく、想像しやすいと思う。
そして、働くことでの結果や成績もとてもわかりやすい。自分の行動、技術が120%そのまま自分の成長、成果としてわかるので頑張ることもいくらでもできた。
今の仕事に就いてからは、“どんな仕事なの?”とよく聞かれるんだけど…説明がとても難しい(笑)。ライブハウスでもないし、(ライブハウスと言えばライブハウスなんだけど)イベント会社ではないし、とにかく語彙力のないわたしには説明がとても難しい。わからない。

前に務めていたキラキラした世界(実際はそこまでキラキラもしてなかったと思うけど)に比べて、毎日の生活はとても地味になった。
着ていたお気に入りのお洋服は気が付くと汚れているし、結果的に汚れたくないから毎日同じようなお洋服ばっかりの自分になんだか悲しくなる。同僚に挨拶してもなんか暗い(笑)。今までの世界とかけ離れた異世界にすごく驚いたし、正直すごく戸惑った。(今はもうお店の色に完全に染まりきってしまっている…。)

そんな時に書店でふと目に留まり読んだのが宮木あやさんの「校閲ガール」。
“地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子”として石原さとみさん、菅田将暉さんのW主演でドラマ化もした作品なので知っている方も多いかもしれない。(あの石原さとみさんの衣装、メイクも石原さんご自身で全部毎回決めていたんですよ!本当に毎回どのスタイリングも小物の合わせもかわいくて…すごくすごくテンションが上がった♪)

今まで、本作品に出会う前まで“校閲”というお仕事があることを全く知らなかった。
普通に作家さんがそのまま書いた作品が書籍になり、店頭に並んでいるモノだとずっと思っていたので(本当に無知過ぎる…。)まさか《文書や原稿などの誤りや不備な点を調べ、検討し、修正したり、校正したりする》人がいること、それがお仕事をして実際にあることなんて作品を読むまで全く知らなかった。

ファッション誌の編集に憧れ、出版社に就職した河野悦子が希望していたファッション誌の部署ではなく、出版社内で一番“地味”だとされる“校閲部”に配属されたところから物語が始まる。
想像していた華やかさとは真逆の校閲部の中で、校閲をしながら人との関わりや著者の方の立場になって気持ちを汲み取ったり、時系列について事実確認を行ったり…。自分が希望としていない部署でも真っ直ぐに120%相手のこと、気持ちを1番に考え、何が大切なのか、お仕事を通しての人との関わり方、捉え方、頑張り方にすごく心救われ、彼女(河野悦子)のような芯の強さに憧れるようになった。(実在するのであれば、河野さんの部下として働きたい。)
ただ、何よりも1番“スゴイ!”と感じたのは作者である宮本さん。“校閲という仕事がある”そこを題材としてピンポイントで視点を当て、書籍化にするのはスゴイ! だって、わかりやすいお仕事を表現することは比較的、読み手側も想像もしやすいし、伝えやすいと思うんだけど、“校閲”を知らない人の方が多い中でそこだけにスポットライトを当てる視点! すごく格好良いし、なんて度胸のある方なんだろうな、と。(本当に一度、お会いしてみたい!)

この作品を読むとお仕事に対しての闘争心はもちろん、本当に大切なことはなんだろう、相手が嬉しいこと、喜ぶことはなんだろう、と考えられるようになった。そして、苦手なことも最終的には全て経験として、自分の為になる。全力で楽しもうとして取り組めば何事もプラスに動いていくことも本作品から学んだことのひとつ。パワフルな河野悦子、周りの人たちの温かさも含めて大好きになっちゃうお仕事を頑張る女子に特にオススメ!そして、今ある“当たり前”はいろんな人たちが地味に頑張っているからこそ、作られている“当たり前”にも気付ける、お仕事でのモチベーションを保てるお気に入りの1冊。


本当に女の子に生まれてよかった!
生まれ変わってもまた自分に生まれ変わりたい!!!


矢沢あい「ご近所物語」集英社 / ¥371+tax

「生まれ変わったら何になりたい?」ってたまに聞かれることがある。その度に「わたしはまた、自分に生まれ変わりたい!」と言うと「変わってるね。わたしはなんも考えたくないから雲になりたい。」みたいな会話になる。
今までの人生で後悔することもあるけど、基本的に後悔したことは反省をして、次に同じことをしない、みたいなスタンスなので“あの頃に戻りたい”とかもないし、過去に対する執着もないし、過去は今の自分を作ってくれる糧だからこそ、いろんな経験があったからこそ、たくさんの選択肢の中から自分で道を選んできたからこそ、今いろんなことが楽しく思えているから“自分に生まれ変わりたい”。
ただ、こんな偉そうに“前向きなんです♪(きゃぴ)”みたいなことを言っているけど、昔からそうだった訳ではない。昔はとにかく自分がキライで、周りの子がただただ羨ましくて“自分なんて生まれてこなければよかった”と本当に心の底から思っていた。

そんな私の人生、人格を一気に変えてくれたのが矢沢あいさんの「ご近所物語」。
小学生の頃に丁度、アニメ放送していたんだけど、その頃は内容も大人な感じで理解できず、さらに週7日間全てに習い事があったのでリアルタイムで観ることはなかった。
専門学生の頃に友達から「矢沢あいって知ってる? お前って、若干ご近所物語の実果子みたいだよね。」と言われ、その会話がきっかけで初めて本作品を読んだ。

物語はデザイナーになることを夢に見る服装デザイン科に通う高校生・実果子とその幼馴染のツトムくん。実果子とツトムくんの恋愛模様や実果子の周りにいる友達の人間模様を描いた作品。本作品ほど、何度も何度も読み返した作品はない。

主人公、実果子の家庭は幼少期から母子家庭であり、その部分もわたし自身と重なり“頑張らなくちゃいけない”みたいなところもすごくわかるし、他人への甘え方もわからないし、可愛い発言なんかもできない。だけど、そんな自分が嫌んなっちゃうし、自分に凹む…。それを解消するひとつの手段がピアスを開けたり、髪の毛を染めたり、ファッションを変えてみたり、(ある意味すごくわかりやすいんだけど)それが自己防衛でもあり、自分を最大限に励ます手段。まさに自分そのものなのかと思うくらいに実果子と自分を重ね合わせ、何度も読み繰り返した。(凹んだ時に本当に自分を励ますことのできる唯一無二の作品)
ただ、実果子とわたしの大きな違いは“他人への優しい心遣い”。
実果子のように純粋に、真っ直ぐに、「好き!」と断言できる勇気もなく、めそめそしていてもすぐに気持ちの切替ができない。お洒落で可愛くて、一生懸命で自分の気持ちにも素直で…。言葉にして相手に伝えることって、恥ずかしさの方が勝ってしまってなかなか相手に直接、伝えることができないんだけど、本当はすごく大事なことで、大切にしたいことで。だからこそ、大人になった今でも何度も読み返してしまう。
実果子の芯の強さはもちろん、女の子としての可愛さや相手の立場になって考えてあげられる優しさにも魅力を感じていて、ずっとずっと実果子に憧れているんですよね。今でも。

わたしの人生のバイブルとして今回、2冊紹介させて頂きました。…どう? 好きな本を紹介してみたんだけど、どんな人柄なのか伝わった? 想像できました?(笑)
別にわたしを紹介する企画でもなんでもないんだけど、この書籍紹介を通じてなんとなく“おくはらしおり”も知って頂けるようになればいいな、と。流石に次回以降はここまで私情は書かないと思うけど、(保証はできない)気が向いた時に目を通してみて頂けたら嬉しいですね。いつか、あなたにぴったりの本を紹介できてるといいな。

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