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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」 佐藤渡辺(1807) 2017/10/03

※2017/10/03現在の内容です。また、リンク先の事情により掲載されているリンクが切れている場合がありますのであらかじめご了承下さい。

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        石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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            ◆Contents◆


    ◇研究銘柄 佐藤渡辺(1807)
    ◇コラム しっかりと調べて買ったなら、辛抱することも大事


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◇研究銘柄 佐藤渡辺(1807)


 本日は、1923年(大正13年)個人創業し、1938年(昭和13年)に法人化された渡辺組と、1951年(昭和26年)に創業された佐藤道路が2005年に企業統合した佐藤渡辺を研究銘柄として取り上げます。


 旧渡辺組は東京都港区南麻布で創業され、佐藤道路は東京都中央区兜町で創業されました。

 企業統合した2社は共に創業以来、道路工事を主要事業とする建設会社です。
 現在も道路舗装工事のパイオニアとして、一般道から高速道路、さらには滑走路まで幅広く手がけています。


 建設業界は談合の多い業種であり、道路工事を行う佐藤渡辺も前期には東日本高速道路株式会社東北支社が発注する東日本大震災に係る舗装災害復旧工事の入札に関する独占禁止法違反により、国土交通省関東地方整備局から、建設業法第28条第3項の規定に基づく営業停止処分を受けました。

営業停止期間『平成29年1月6日から平成29年3月6日までの60日間』
http://www.watanabesato.co.jp/wp/wp-content/uploads/2016/04/ir_20161222.pdf

 しかし四季報で確認すると、上場している他の道路工事会社のほとんどは、みな営業停止処分を受けています。

 NIPPO(営業停止75日)、東亜道路工事(営業停止75日)、前田道路(営業停止75日)、日本道路(営業停止135日)、大林道路(営業停止75日)、三井住建道路(営業停止60日)、世紀東急工業(営業停止45日)

 ある企業のIRに確認したところ、道路工事の談合は2件あり、佐藤渡辺はそのうち1件の談合で処分を受けたので60日の営業停止です。
 しかし2件の談合の両方で処分を受けた場合は、75日の営業停止。
 日本道路は役員が関係していたので135日の営業停止となっているということでした。世紀東急工業は営業停止処分が45日と軽いのかは確認できませんでした。

 またNIPPO、前田道路、鹿島道路、日本道路、大林道路、大成ロテック、世紀東急工業、東亜道路工業、ガイアートは道路舗装向けアスファルト合材の販売を巡り、全国規模で価格カルテルを結んでいた疑いが強まったとして、公正取引委員会は2月28日、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査しました。この中には佐藤渡辺は入っていません。

 談合は法律違反ですが、デンソーやカルソニックカンセイ、ティラドなどラジエターメーカー各社も談合を行い、デンソーは最初に申告して罪を免れましたが、他社は処分を受けました。
 世界的な談合なので海外でも大きな和解金を支払った企業も出ています。


 道路工事会社は処分の甘い日本のみでの処罰となります。まだ日本の建設業界では摘発されることが多いです。
 しかし全ての大手上場の道路工事業者が営業停止処分を受けていること、佐藤渡辺の営業停止が短く、すでに終了していることから、2018年3月期の業績に対する影響は他社より少ないと判断しました。


 ただ、東日本大震災のような大規模な災害復旧では、素早く、そして効率的に復旧を急ぐ必要があることから、本来は政府などが指導して、工区などを調整して、復旧を急ぐ必要があります。

 しかし役人が談合を指導したとして処罰されることを恐れて、このような旗振り役を務めません。そこで業界内で誰かが旗振り役を務める必要が起こり、協議して工区を分担することも起こります。それを談合として罰することが行われるわけです。

 政府が旗振り役を務めると、政治家が利権を求めて、介入する可能性も高くなるので、民間で協議して復興を早める特例を法律などで認めることが必要になると思うのですが、そのような動きは出てきません。

 経済評論家の三橋貴明氏も、大規模災害時の協議の必要性を指摘しています。

 上記の点に関するマネーヴォイスの記事をご紹介します。
 読んで確認することをお勧めします。
http://www.mag2.com/p/money/7120

 現状の法律では必要悪でも処罰されるのはやむを得ないと考えていますが、全ての大手の道路工事会社が談合に参加して処罰を受けるなら、競争上の不利益は発生しないと考えています。そして道路工事というビジネスの事業環境は良くなってきています。

 平成23年から25年にかけて、東日本大震災の復興需要の影響もあり、土木業界は緩やかな回復傾向にあり、平成24年から25年にかけて、円高の修正、株価の回復、公共工事、民間設備投資の回復など好転して、右肩上がりで状況は良くなってきました。


 東日本大震災ばかりではなく、熊本の地震の復興需要やアベノミクスによる公共投資の増加、東京五輪など好材料が続く土木業界は、投資対象として魅力があると考えています。


1)東日本大震災の復興需要。被災地の直接的な需要に加え、今回の災害により老朽化した社会インフラを見直す動きも各地で見られ、土木業界には追い風が強く吹いています。

2)アベノミクスによる機動的な財政政策には、大規模な公共投資が含まれています。

3)2020年の東京五輪が開催に合わせ、首都圏を中心としたインフラ整備が加速してきていますが、これからが本番です。

4)今回は衆議院選挙が行われることで、自民党政権が引き続き政権を担当すると予想していますが、選挙では公共予算の増加が公約にでてくる可能性が高いと考えています。


[ビジネスの将来の展望を予想するのに参考になる資料]

 2016年3月2日の『建設業を取り巻く情勢・変化参考資料』という国土交通省の資料です。
http://www.mlit.go.jp/common/001121700.pdf

 特に、9ページにある老朽化するインフラの状況に注目すべきだと思います。

 高度成長期以降に整備された道路橋、トンネル、河川、下水道、港湾等について、今後20年で建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなることが分かります。
 もちろん施設の老朽化の状況は、建設年度で一律に決まるのではなく、立地環境や維持管理の状況等によって異なりますが、耐用年数から考えて設備更新が必要になるものが多いと予想されます。

 それでは、本日の研究銘柄として佐藤渡辺を選んだ理由を具体的に説明します。


1.佐藤渡辺は投資指標的に割安な企業であること。

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