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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」常和ホールディングス(3258) 2010/03/23

【編集部注】


常和ホールディングスはユニゾホールディングスに社名変更した後、EBO(エンプロイー・バイアウト:従業員による買収)により上場廃止しました。参考として無料公開いたします。
なお、文中のリンクは配信当時のままですので、リンクが切れている場合がありますのであらかじめご了承ください。
※企業情報や数字等は当時のものです。またリンク先の変更によりリンク切れの場合があります。あらかじめご了承の上お読みください。
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        石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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 億の近道火曜日の大人気執筆者、石川臨太郎が皆様へお贈りするメールマガジンの第65回目です。週に1回(火曜日)配信いたします。
 なお、この有料メルマガの売り上げの一部は、億の近道の発行運営に活用されます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

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            ◆Contents◆

 ◇銘柄研究「銘柄研究 常和ホールディングス(3258)」
 ◇コラム「高配当優待利回り株の投資判断」

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◇銘柄研究 常和ホールディングス(3258)

 本日は1977年創業で、2009年6月に東証第2部に上場した旧日本興業銀行系の、不動産賃貸業を行っている常和ホールディングスを研究銘柄として取り上げます。

 先週のコラムで書いたように、大きな特別損失のIRを出したので、先週は研究銘柄とするのを中止しました。しかし、銘柄研究のところで詳しく見ていきますが、非常に安定した収益基盤を持っている企業であること、権利落ち直前に大きなマイナスのIRが出たときに、どのように株価が動くかを見ておくだけでも今後の投資行動を決めるときの参考になること、そのような観点から、本日の研究銘柄として取り上げることにしました。

 今日はコラムの方で、すでに常和ホールディングスを所有している既存投資家の心理を予想してみて、もし常和ホールディングスが投資に値する銘柄だと考えたとしても、権利落ち前ではなく、もっと株価が下がったときに投資判断をしたほうがよいと私が考える理由なども書きます。

 先週のコラムで書いたことを、まず最初に再掲示してマイナス情報のほうから先に確認しておきたいと思います。(カッコ内)は今回付け加えました。

--(引用開始)
『本日(←3月16日)の研究銘柄を常和ホールディングスにしようと考えて、すでに原稿を完成させていましたが、先週の金曜日(←3月12日)の17時40分に大きな特別損失をだして業績を下方修正するというIRが出ました。他の賃貸物件の時価総額や企業体力には問題なく、第61回目の高配当優待銘柄として取り上げた時点の配当や優待には変更がないので、利回り的には不変ですが、月曜日以降に株価がどう動くか予想がつかないので、研究銘柄とするのを中断しました。また第61回のコラムを読んでいる読者の皆さんにも常和ホールディングスについての新しい情報をご連絡をすることにした次第です。
http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/tdnr2/tdnetg3/20100312/65i3cb/140120100309039275.pdf

 上記の内容を要約すると、
『会社更生中のハウステンボスに関連し、常和ホールディングスが所有する
「ホテルヨーロッパ」の閉館リスクが発生したために、同資産を簿価より38億円近く安い価格での物件譲渡することと、ハウステンボスに関する売掛債権の請求断念などで、大きく43.56億円の特別損失が発生する。その埋め合わせに利益の出る物件を売って29.26億円の特別利益を出す。差し引き14.34億円利益が減って減益修正となる』
というものです。
--(引用終了)

 株価はこのIRが出た翌営業日(=3月15日)から下がりだしましたが、先週の中ごろから反転して上がり始め、IR発表直前の3月12日の終値1210円を超えて1225円まで株価を回復しました。
 いろいろコラムの方で書きますが、権利落ち前に買うのは危険だと考えています。ただ、銘柄分析をしてみると、安定した事業基盤を持っており、権利落ち後に、もし大きく株価が下がるならば投資する価値がある企業ではないかと考えて、本日の研究銘柄として取り上げました。

 それでは銘柄研究に入ります。
 新規にIPOによって上場した企業は、IPO時点で高目の株価がつくために、その後に反落してとても割安な時点まで売り叩かれる企業が多いですが、常和ホールディングスもそのような企業です。特別損失による業績下方修正のIRが出る前から株価はずいぶん下落していました。

 過去に研究銘柄として、旧富士銀行系のヒューリックを取り上げました。当時401円でしたが、現在は700円程度まで株価が上昇しています。現在は旧富士銀行も旧日本興業銀行もみずほフィナンシャルグループになりましたが、不動産賃貸業やリース業の系列企業は独自の道を歩んでいます。私の想像ですが互いに強烈なライバル意識を持っていると考えています。

 ヒューリックが最初から東証第1部に上場できたのに、常和ホールディングスは東証第2部にしか上場できませんでした。次のサイトでIPO時点の社長のインタビュー記事が読めますが、2010年には東証第1部上場を目指したいと強い意欲を表明しています。

http://www.kabutocho.net/stock/ipo_top/ipo_detail.php?cd=3258

 上記の社長インタビュー記事を要約すると

1>オフィスビルの賃貸事業を主力としているので財務は安定している。財務は良好そのもので、リーマンショック以降、業界で初めて財務格付けがアップ(「BBB」→「BBB+」)した企業だと自負している。

2>賃貸事業の比率が7割と高く、収益源は安定。物件ポートフォリオも首都圏と政令都市にほぼ限定され、簿価(2009年3月期)と時価(09年1月1日現在)には、443億円の含み益が存在するほど良質である。
(この点に関しては2009年1月時点より日本の土地価格は下落しているので、割り引いて考える必要があると考えます。しかし国際会計基準への移行の準備のために2010年3月のから賃貸不動産については、投資家に対して時価を開示することが求められています。同社としては外部の専門業者に時価評価させて開示するという意向のようです。その時点でかなり客観的な含み益の状況が分かると考えています。株価への刺激材料にもなるのではないかと注目しています。)

3>常和ホールディングスは05年から08年上期までは物件取得をしていない。この期間の不動産ミニバブルで高値づかみしておらず、減損リスクも皆無である。

4>高株価政策を行う意向⇒含み益が膨大なだけに、買い占め防止などの側面から高株価政策を取らざるを得ない。

5>株主還元策は重視しており、配当性向30%以上を目標にしている。配当利回りでは年間3%の水準。

6>今後は2010年中にも、東証1部指定を目指したい。

 社長の言葉にもあるとおり、業績は非常に安定しています。そして株主数を増やすために株主還元には本当に積極的です。

優待情報は以下のサイトにあります。

http://www.jowa-hd.co.jp/ir/investor/04.html

 配当は年間50円。今後は増配される可能性もあると期待しています。
 優待は100株で3000円のUCギフトカード。更に傘下のホテルの50%割引または八千代ゴルフ場で平日3000円割引に使える共通優待券が5枚もらえます。

 この原稿を書いている3月19日時点の終値1225円で計算すると、配当とUCギフトカードだけでも6.53%の利回りになります。共通優待券を1枚3000円と評価すると更に利回りが高くなり、18.8%という高インカム・ゲイン利回りとなってくれます。

 ホテルも結構便利なところにあり、またいろいろな宿泊プランがあり、上手く利用すると経済的効用が高いと思われます。

ホテルユニゾ新橋
ホテルユニゾ神田
ホテルユニゾ浅草
ホテルユニゾ渋谷(2010年5月21日開業予定)
ホテルユニゾ京都
ホテルユニゾ大阪淀屋橋
ホテルユニゾ広島
 詳しいホテル情報は以下のサイトで見ることが出来ます。

http://www.hotelunizo.com/

では、いつものように資産価値を見ていきます。

http://www.jowa-hd.co.jp/ir/document/01/2010_03_03.pdf

 平成22年3月期の第3四半期の決算短信から調べました。必ず自分の眼で確認する癖をつけてください。

 現・預金31.1億円
+投資有価証券122.7億円
+売掛債権29.7億円
+在庫(販売用不動産が主体)29.7億円
+土地および信託土地簿価754.4億円
-全部の負債1186.9億円
=▲233.1億円

 常和ホールディングスの場合は賃貸不動産業なので、上記以外の資産の価値を先に調べておきたいと思います。

 信託建物および信託構築物296.6億円
+その他の資産91.3億円
=387.9億円

 時価総額は原稿執筆時(3月19日)の株価1225円で計算すると、131.2億円となります。

 不動産の含み益を考えない状態での総資産額と時価はほぼ均衡しています。しかし、社長のインタビューにあるように含み益があります。社長の言う443億円よりは目減りして、この半分あったとしても資産価値的には割安だと考えます。

 常和ホールディングスの事業は、賃貸業という安定した収益が期待できる事業です。過去の実績でも、常和ホールディングスの業績は非常に安定的です。

私は今回の強烈な株価下落が起こるまでは、4つの経済サイクルのうち一番短い3年~4年でサイクルを描く在庫循環を参考に、企業の4年間の平均経常利益を計算し、その5年分つまり5倍を事業価値と考えるようにしていました。事業価値はバランスシート上に載っていないビジネス・モデルや企業の信用力、社長や社員の能力、ネットワークの力などで利益を稼ぎだせる力を現金換算しなければ計算できません。

 いつものように企業の経常利益で代用し、常和ホールディングスの事業価値を推定してみます。常和ホールディングスの経常利益は安定的に推移しています。06年3月期から2,186百万円→2,600百万円→2,854百万円→09年3月期3,173百万円。4年間の平均は2,703.2百万円です。この5倍の385.1億円を事業価値として採用したいと考えます。特別損失のIRをみても経常利益の変更はありません。本業の業績は影響を受けていません。

 続いて事業価値を定性的に考えてみたいと思います。

 常和ホールディングスは、オフィスビル賃貸事業、ビジネスホテル事業をコア事業とする、ストック型の総合不動産企業です。首都圏および政令指定都市などの大都市の一等地に生産性の高い事業資産を保有しており、マンション分譲などのフロー型ではなく、自社が保有する優良物件を高稼働させる<ストック型>事業に特化することにより、景気動向に左右されにくい安定した経営基盤を確立しています。

 売上高に占める事業部門の比率は、オフィスビル事業が72.3%、ホテル事業が20.1%です。

http://www.jowa-hd.co.jp/corporate/strategy.html

 常和ホールディングスは、都心および大都市の一等地に所有する優良資産を活用した、賃貸主体のビジネス・モデルをとっています。そして、賃貸事業売上高の約78%を占めるテナント企業上位10社の平均入居年数は、16年3ヶ月(2009年3月時点)という継続的な取引関係をベースに、安定した成長と連結営業利益率約37%という高い収益性を実現しています。

 常和ホールディングスの賃貸物件(=事業資産)の立地は、その約86%が首都圏(政令指定都市を含めると約91%)と、極めて良質な資産ポートフォリオを保有しています。
 また、テナントも、東証上場企業グループおよび金融機関等が約83%(←金融機関を除く上場企業は約47%、金融機関が約36%)を占めるなど、優良な顧客基盤を有しています。

 ホテル事業の稼働率も業界平均より非常に高い状況で、高収益力を維持しています。ホテルの立地も都心および地方大都市の中心地という厳選した立地です。
 直営のハイグレードビジネスホテル「ホテルユニゾ(HOTEL UNIZO)」計6ホテル、1,199室を展開しています。各ホテルは、都内3ヶ所(新橋・神田・浅草)と京都・大阪淀屋橋・広島の一等地に位置しており、平均稼働率は約87%、都内3ホテルでは91%と業界平均の64.7%(全日本シティホテル連盟調べ)を大きく上回り、高い営業粗利益率を実現しています。

 また、2010年5月には、東京・渋谷にホテルユニゾ7番目のホテルとして、「ホテルユニゾ渋谷」をオープンする計画です。同ホテルは、公園通り近くの最高の立地で、高いパフォーマンスが期待できると考えます。
(稼働率などの数値はいずれも2009年3月期末の実績です) 

http://www.jowa-hd.co.jp/corporate/strategy04.html

 外部の企業評価も高く、旧日本興業銀行系で金融機関との関係も深く、資金調達力も充分持っています。

 常和ホールディングスは、メインバンクであるみずほコーポレート銀行をはじめとする20金融機関による強固な資金調達体制を構築しています。総額100億円のコミットメントライン(融資枠)も確保しています。

 2008年11月には、(株)日本格付研究所による長期優先債務格付けが「BBB+」に1ノッチ引き上げられ、厳しい環境下で格上げとなった数少ない不動産会社です。なお、2009年10月の見直しでも格付け「BBB+」は据置きで、財務安定性への外部評価は不変です。(格付機関:(株)日本格付研究所)

 常和ホールディングスの事業戦略は次のサイトで見ることが出来ます。

http://www.jowa-hd.co.jp/corporate/progress-j.html

 先に見たように、常和ホールディングスの経常利益は2006年3月期から右肩上がりで伸びてきています。2010年3月期の通期予想による経常利益は3,297百万円です。第3四半期の経常利益の実績である2,652は百万円から充分に達成できる数字だと思えます。2011年に向けても新規ホテルなどのオープンが決まっており、安定的な成長を確保できる見込みです。

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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◇コラム:権利落ち前の大きなマイナス要因がIRされた高配当優待利回り株は、いつの時点で投資判断をするのがベターなのか

 最初にも書きましたが、常和ホールディングスに投資するかどうかは別として、投資家心理を想像して、権利落ち後の株価の動きを予測しておく。そして実際に株価の推移を確認しておく。もちろんすべての銘柄が、常にまったく同じような株価の動きをするかどうかは分かりません。銘柄によっても、投資環境によっても株価の動き方は違うと思います。しかし今後、別の銘柄で同じようなことが起こった場合の投資の参考にするために、常和ホールディングスの動きを今回フォローしておくことは意味があると考えます。
 投資家心理を予想するための題材としてはとても良い企業だと考えて、コラムに書くことにしました。

 私も高配当銘柄や、高配当優待銘柄に投資していて、権利落ち前に大きな悪材料がでた経験を何度もしています。

 そのとき私が考えて、判断間違いから痛い目にあった経験に基づいて、投資家の心理を考えてみようと思います。本当に平凡な投資家である私の思いは、普通の多くの投資家さんと、ほぼ同じだと思います。しかしあくまでもこれは私の予測で、必ずそうなるとは限りません。参考意見として読んで、実際の株価の推移と比べてみてください。

 特別損失のIRが出た時点では、私のような普通の投資家は、まず腹を立てると思います。
『ハウステンボスがらみの損失などはもっと早くから分かっていたはずだ。それなのに2010年3月期の決算期末が来る直前にIRするなんてひどい会社だ。すぐ売ろうか。でも3月配当20円と一株あたり30円に相当するUCギフトカード、更には優待割引券5枚の金銭換算15000円分の権利を放棄して、更に売却損を出すなど悔しくてできない(石川の場合はホテルに安く泊まれる優待については、利用価値があると考えています)。
 とりあえず損切りしないで、株価の推移を見守ろう。それほど株価が下がらなかったら、配当や優待の権利を確保してから、さっさと売って縁切りをしよう。』
このように考えると予想しました。

 たぶん上記のように考えて、株を売らない投資家さんは沢山いると思います。もし手放すなら、株価が下がらないうちに損切りしておくべきだと考えます。私の経験では、権利落ち後まで持ち越すと、配当や優待の金銭換算額以上に大きく下落することが多かったです。

 過去に何度も上記のような投資判断をして、権利落ち後の大きな株価下落でとても痛い目にあっているので、今ではこのように考えています。もし権利落ち前に売らない場合は、どんなに株価が下落しても持ち続けるほうが最終的な結果(=運用成績)は良かったです。

 もし、常和ホールディングスのような安定的な成長を期待できる高配当優待利回り企業でなければ、私なら即断で損切りしたと思います。このような投資家、すなわち権利落ち前に損切りすることを厭わない投資家でも、あまりにも大きなインカム・ゲインに引きずられ、迷い、損切りのタイミングを失った投資家は、かなりいるのではないかと想像しています。だから少ししか株価が下がらないで、すぐに株価は持ち直してIR前の水準まで戻したのだと考えています。

 ただ、権利を取ったらすぐ売ろうというような投資家が沢山いると、どんなに資産背景が良く、本業の業績が安定的に伸びている低PERかつ低PBRの高配当優待の企業でも、マイナスのIRが出て、付和雷同型の投資家が、あるタイミング(=今回は権利落ち後)で、いっせいに投売りしてくると、株価はとんでもない安値まで下落することもありえます。

 例えば、低PERかつ低PBRのシイエム・シイの事例を見ておきたいと思います。以下の決算短信が発表された時点から、大きく投売りされました。確かに2009年9月期の一株利益407.84円に対して、2010年9月期の一株予想利益が250.18円というのは、大きな減益です。しかし一株純資産は3321.91円であり、2100円でもでもPER8.4倍で、PBRは0.63倍です。それなのに株価は半分近くの1272円まで一気に下落して、PER5.1倍。PBR0.38倍まで売り込まれました。

http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/tdnr1/tdnetg3/20091106/5y4iyw/140120091105049032.pdf

チャート↓です。

http://smartchart.nikkei.co.jp/smartchart.aspx?Scode=2185.9

 配当は2009年9月期40円から2010年9月予想60円と、1.5倍の増配予想になっていても株価の下落を止めることができませんでした。

 しかし、いったん大きく下落しても、売りたい投資家がすべて売り切れば株価は回復基調に戻り始め、ある時点からは一気に戻していくことも良く起こります。シイエム・シイの株価も戻し始めています。
 過去の研究銘柄で取り上げたトウアバルブグループ本社や、上村工業なども、株価が大きく下落しても1年もたたないうちに株価は回復してくれました。上村工業を研究銘柄として取り上げた時点が、ほぼ株価の大底であったことは、とても幸運だったと思っています。

 もちろん、常和ホールディングスの株価が、シイエム・シイや上村工業やトウアバルブグループ本社のように投売りされて大きく下がるかどうかも分からないし、底を打ったら大きく戻すかどうかも、誰にも分かりません。

 しかし、大きく下がる可能性があるならば、そんなリスクを取る必要は無いと考えます。そして投資するに値する企業だと考えたならば、実際に株価が大きく下落した場合は、下落した時点で、投資するかどうかを判断して、決断すれば良いと考えます。

 もし期待通りに株価が下がらなければ、しばらく様子見をして、2010年3月期の決算短信が発表されて、賃貸不動産の含み益が開示される直前か、または開示された後から、投資判断をするのが、一番リスクの少ない投資行動だと考えます。

 一番最悪な投資行動は、上記の特別損失の出た直後に損切りを実行したのに、株価が戻してきたので、あわてて買戻しをかけてしまう。そして売値より高く買い戻したために、権利落ち後に株価が大きく下落して、配当と優待の金銭換算額以上に大きな含み損を抱える。そこでまた泣く泣く損切りする。しかし投げたときが大底で、株価が反転していってしまう。
 くれぐれもこんな目にあわないためにも、リスクが高い投資は避けておくべきだと考えて、本日のコラムの内容としました。

 また面白い優待銘柄を1銘柄ご紹介しておこうと思います。カタログ通販のスクロール(8005)です。名称変更する前はムトウです。

http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/tdnr1/tdnetg3/20100128/61ym4t/140120100108091661.pdf

 前期はサブプライム後の衝撃的な消費低迷で、本業が減益となったこともありますが、それでもしっかりと経常利益は黒字を確保しています。前期が最終赤字だった原因は有価証券報告書によると、将来の年金リスクをなくすために『「ムトウ業年金基金」の解散及び新制度への移行に伴い27億79百万円を特別損失として計上したことにより、誠に遺憾ながら連結当期純損失は8億18百万円(前年同期は連結当期純利益11億84百万円)となりました。』ということです。だから今期の最終利益は順当に回復しています。

 売り上げの推移は月次の数字が発表されていて、前年度割りが続いていますが、それでも第3四半期まではしっかりと黒字を維持しています。去年は第4四半期の2月が売り上げの底となり、第4四半期は赤字になっていましたが、そのような急激な消費者の買い控えが起きない過去の例だと、冬のほうが重衣料の販売で、売り上げや利益が増える企業でした。第3四半期の各利益は、通期予想を大幅に上回っています。去年の第4四半期の業績が酷いのは、リーマンショックなどによる一時的な要因が消費行動に大きく影響していたのだとすると、今期は会社予想より更に業績は上向く可能性も高いです。

 3月19日時点の終値で株価は350円。一株純資産760.9円。通期の一株純利益予想43.89円(第3四半期までの一株純利実績63.72円)。
 配当年間10円。
 優待は盛りだくさんに3つほどあります。一つは3月に100グラムの静岡産無農薬茶。3月と9月に500ポイントの購入割引ポイント。あと自社カタログ無料提供です。かなり配当優待総合利回りは高いと考えます。

 次に書く大成ラミックと同じように、早く業績を上方修正してくれないかと期待しながら見ています。

http://www.scroll.jp/top/

 株主総会大好き投資家さんが、株主総会の権利を沢山取るために、権利落ち最終日の午後2時以降に株を1単位買って、翌日寄り付きに成り行き売りをすると、損をしないで配当をもらえる場合が多いと、マネー雑誌に書いていました。私も、今年は少しアレンジした上で真似をしてみようと考えています。上手くいったら、またコラムで、ご紹介してみようと考えています。

 また、2回前の研究銘柄である大成ラミックが、私が予想した通りに業績を上方修正してくれました。
 期末配当を4円増配しました。
 ただ、優待については年2回だったものを年1回に変更しましたが、一回にいただける金額相当額を3000円から5000円に増額しました。また配当は普通配当なので、もしかしたら9月の中間配当については来期は37円になれば、優待の減少分は配当でほぼカバーできるのではないかと期待したいと思います。

(増益修正のIR)
http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/tdnr1/tdnetg3/20100319/661ke6/140120100318047838.pdf
(増配のIR)
http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/tdnr1/tdnetg3/20100319/661khp/140120100318047965.pdf
(優待制度変更のIR)
http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/tdnr1/tdnetg3/20100319/661kib/140120100318047987.pdf

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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発行者:NPO法人イノベーターズ・フォーラム
 email:magazine@iforum.jp
 http://www.iforum.jp/
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