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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」巴工業(6309) 2018/04/03

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       石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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            ◆Contents◆

     ◇研究銘柄 巴工業(6309)
     ◇コラム 日本株も4月からはリバウンド相場に入りそうです

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◇研究銘柄 巴工業(6309)

 本日は、1941年(昭和16年)創業のデカンタ型遠心分離機の日本国内シェアトップメーカーである、中堅化学機械メーカーの巴工業を研究銘柄として取り上げます。

 巴工業は、遠心分離機のパイオニアである機械メーカーと、2万5千種類以上の化学工業製品を扱うニッチトップの専門商社という、2つの異なる顔を持つ企業です。創業から76年を超える歴史の中で培ってきた技術力とネットワークを駆使し、衣食住に関わる様々な工業製品からインフラ整備まで、人間の営みに不可欠な産業を下支えしながら、成長しています。

 機械製造販売事業(メーカー機能)は、デカンタ型遠心分離機を主力とした総合遠心分離機メーカーとして食品、水産、化学、製薬、造船、鉄鋼、電力などあらゆる産業分野各種分離機器を納入し、日本の産業界の発展に寄与してきました。
 また、1970年代の後半にはいち早く環境関連分野に進出し、下水や産業排水の処理を主体とした環境保全事業に携わってきました。

 近年は顧客のニーズの多様化・高度化に応えるため、機械メーカーとして永年培った経験を活かし、営業-技術-製造と一貫して顧客の問題解決を行うソリューションの提供を目指しています。

 化学工業製品販売事業(商社機能)は、戦後間もない1963年に敷設された太平洋海底電線の被覆用ポリエチレンを、米国ユニオンカーバイド社から本邦初導入した実績があるように、欧米をはじめ世界中から最先端商品を輸入し、さまざまな産業分野に供給しています。

<巴工業の強み>

1)機械メーカーと専門商社。全く異なる2つの事業が、競い合いながら業績を相互に補完し安定的は収益を生み出していること。

  巴工業は創業以来76年以上、安定した業績を維持しています。これは創業の初期から、高い技術力に裏打ちされた遠心分離機など分離機器を製造販売する機械事業と、化学工業製品を中心とした高付加価値商品を輸入販売する専門商社事業が、その特長を活かして、多様な産業にビジネスを展開しているためです。

2)1970年代前半に、いち早く環境関連分野に進出して下水や産業排水の処理を主体とした環境保全事業に携わり、多くの経験を積んできたこと。

  巴工業は、下水や工場排水の処理を目的とした公害防止機器を製造販売するなど、環境保全事業に携わってきたという経緯があります。公害問題が顕著になり国民意識も高まりつつあったこの時期の参入で、社会に貢献するとともに、顧客の高い信頼を得ています。。

3)遠心分離機の国内トップメーカーであること。

  機械事業は、デカンタ型遠心分離機を中心とする総合遠心分離機メーカーとして、環境保全、化学工業、食品、エネルギー、医療、鉄鋼など、国内外のあらゆる産業分野に各種の分離機器を納入しています。顧客の用途に合わせた完全受注生産です。オーダーメイド、オンリーワンの製品を提供しています。
  営業は、ユーザーの希望する用途や処理物、処理量、設置場所などに合わせた仕様のプランニングからスタートします。また設計者は、機能、素材、強度、構造などをトータルにとらえ、ユーザーのための「オンリーワン」の製品に仕上げていきます。
  処理物・処理量・処理方法など、顧客のニーズに合わせ、オーダーメイドで1台1台を製造しており、とりわけ、デカンタ型遠心分離機では10,000台以上もの納入実績を誇ります。
  営業・技術・製造が三位一体となって、長年培われてきたノウハウと技術力を駆使し、圧倒的なトップシェアの地位を築いています。
  巴工業はこれまで、世界50か国以上に遠心分離機を納入してきました。
  その性能は顧客のもとでいかんなく発揮されており、巴工業の技術水準は海外でも高く評価されています。
  巴工業のデカンター型遠心分離機は、海外でも多くの化学プラント、水処理場などで使用され、高い評価を得ています。最近は米国などのシェールガス採掘などにより需要が伸びています。
  アジアを始め北南米やヨーロッパなど海外の潜在需要は極めて大きく、化学工業・食品・環境保全・バイオ燃料などの分野において、今後も更なるグローバル展開を図る計画です。

4)2万5千種類以上の商品を取り扱う専門商社であること。

  建築資材としての鉱産物、製品に様々な特性を与える添加剤、乾燥や脱臭に効果のある吸着触媒など、世界中から鉱産物やナノテク材、半導体関連部材、レアメタル等、様々な材料を輸入することでユーザーのニーズに応えています。その取扱う化学工業製品は2万5千種類以上にのぼります。
  顧客のニーズを的確に把握し、付加価値の高い最先端商品を取り扱うことで、あらゆる産業分野の顧客を持っています。
  巴工業の化学工業製品販売事業(商社機能)は、戦後間もない1963年に敷設された太平洋海底電線の被覆用ポリエチレンを、米国ユニオンカー
  バイド社から本邦初導入した実績があるように、欧米をはじめ世界中から最先端商品を輸入し、さまざまな産業分野に供給しています。
  化学工業製品の専門商社として「Profit to Customers & Tomoe」をモットーにユーザーの利益に直結する商品、情報の提供に注力しています。
  「環境にやさしい熱エネルギーを作るための素材は?」。そんな高度なオファーが寄せられるのが巴工業の化学品本部です。巴工業の化学品本部は、化学工業製品の専門商社として、世界各国の優れた製品や情報を日本のユーザーに提供してきました。
  ポリエチレンに代表される合成樹脂、セラミック、生分解性素材など、扱う商品は数百種を数えます。
  巴工業は、いわば先進技術をカタチにするための素材の調達師と考えてもよいと思います。巴工業の役割は「ユーザーが求める素材や付加価値は何か」を見極めるために素材メーカーと密接に連携し、新しいアイデアを付加しながら、最もふさわしい形を模索していくことです。星の数ほどある材料や素材をどう料理するのか、巴工業の腕の見せ所であり、ユーザーから高い評価を得ている理由です。

 まず、本日の研究銘柄として巴工業を選んだ理由を説明します。

1.このごろの日本株式市場では、企業の発表する業績予想が前年同期比で減益予想であるとか、従来の業績予想から減益修正されたりすると、どれほどPERが低い企業の株も、売り込まれて下がる傾向が強いです。その点では巴工業は、3月1日に2018年10月期の決算短信を発表済みであること。

 売上高は、機械製造販売事業および化学工業製品販売事業の販売が共に増加したため、前年同期比12.1%増の9,517百万円となりました。

 利益面についても、両事業共に増収となったことから営業利益が前年同期比378.7%増の373百万円、経常利益では為替差損が減少したことから前年同期比533.6%増の374百万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益については、前年同期における1百万円の純損失から黒字転換し252百万円となっています。

 3月発売の会社四季報(春号)でも指摘されていますが、巴工業は海外からの輸入も多いために、円高がメリットになることも多い企業であることも安心材料です。

巴工業の株価のチャートです。
https://www.nikkei.com/nkd/company/chart/?type=3month&scode=6309&ba=1&n_cid=DSMMAA13

2.巴工業は着実に利益を計上している企業であること。

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