見出し画像

石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」東洋機械金属(6210) 2015/05/05

※企業情報や数字等は当時のものです。またリンク先の変更によりリンク切れの場合があります。あらかじめご了承の上お読みください。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
=================================
---------------------------2015/05/05-

        石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
---------------------------------
=================================

 億の近道の大人気執筆者、石川臨太郎が皆様へお贈りするメールマガジンの第328回目です。週に1回(火曜日)配信いたします。
 なお、この有料メルマガの売り上げの一部は、億の近道の発行運営に活用されます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

            ◆Contents◆

◇銘柄研究 ◇コラム 業績伸長が確実な企業がSell in Mayで下げたら、安く買うチャンス

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


◇銘柄研究 東洋機械金属(6210)

 本日は、1925年(大正14)年に創業した、日本国内唯一の成形機専業メーカーである東洋機械金属を研究銘柄として取り上げます。

 東洋機械金属は、射出成形機、光ディスク成形機、ダイカストマシンの3分野において圧倒的なアドバンテージを市場で示しています。

 東洋機械金属が提供する製品は、食品トレーから自動車の内装品、DVDや携帯電話のパーツ、ノートパソコンの外装まで、幅広い領域のマザーマシンとして不可欠の存在です。

 東洋機械金属は、成形機の分野における日本の代表として、その技術力で幅広い領域の製造産業に製品を提供して、製造メーカーの生産を支えています。

 東洋機械金属では、油圧式の射出成形機が一般的であった1980年前後から電動駆動式を開発・採用し、品質管理面でパフォーマンスに優れていることを証明しました。成形機の電動化は省エネ、環境面でもメリットを発揮しました。

 その技術は現在、光ディスク成形機にも応用され、新たに電動式アルミダイカストマシンへと技術革新を遂げています。

 なお、事業所として、いち早くISO9001(品質管理の国際規格)とISO14001(環境マネジメントの国際規格)の認証を取得しています。

 東洋機械金属は着実に業績を伸ばしている企業です。2014年3月期には消費税引き上げ前の特需などで大きく利益が伸びたので、その反動で2015年3月期は少し利益が鈍化しましたが、2016年3月期は前期比増益に戻ると東洋機械金属では予想しています。

<東洋機械金属の業績の推移>

東洋機械金属の経常利益の推移は以下の通りです。

2011年3月期  751百万円
2012年3月期  962百万円
2013年3月期 1229百万円
2014年3月期 2160百万円
2015年3月期 1997百万円
2016年3月期予2000百万円

純利益(カッコ内は一株利益)を続いて確認します。

2011年3月期   706百万円(一株利益 34.28円)
2012年3月期   926百万円(一株利益 44.27円)
2013年3月期   885百万円(一株利益 42.96円)
2014年3月期  1764百万円(一株利益 85.58円)
2015年3月期  1631百万円(一株利益 79.14円)
2015年3月期予 1650百万円(一株利益 80.04円)

 東洋機械金属は常に保守的な業績予想を行う企業で、年初の会社予想より実績の利益は大きくなることが多いです。いままでは年初の会社予想は前期比減益の予想をする傾向がありました。しかし2016年3月期の予想は、わずかですが前期比増益の予想になっています。これは東洋機械金属としては業績にかなりの自信を持っているのだと感じます。

 円安の進行により、日本の製造メーカーが日本国内で工場を新設したり、増産のための設備増強を行うという動きが出ています。東洋機械金属の売上の約70%が海外ですから、海外向けの売上の利益が増加することも期待できます。東洋機械金属が2016年3月期の業績に自信を持つ理由は十分に存在します。

 東洋機械金属の主力製品であるメカトロニクス(機械工学×電気・電子工学)の結晶である射出成形機やダイカストマシンの活躍の場は、携帯電話やパソコン製造のIT関連をはじめ、自動車部品、家電、医療品、日用雑貨など多種多様で、全製造業をカバーしているといっても過言ではありません。

 東洋機械金属のブランド(=TOYOブランド)は、世界中の製造業者が高く評価しています。販売先は中国、台湾、韓国、東南アジア諸国、米国などの企業で、世界でTOYOブランドが認められています。

 東洋機械金属はマレーシア、タイ、中国に現地法人を置いているほか、世界各地に営業・サービス拠点を設置し、さまざまな顧客ニーズに応えています。

http://toyo-mm.co.jp/cor/foreign.html

 現在、代理店を含む海外の販売拠点は、北京や上海、香港など中国の各都市、台湾、韓国、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、インド、イスラエルなどのアジア・中東圏はもちろん、北米、中南米、欧州、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドに拡大中で、近年、イタリアに新たな代理店を獲得したほか、北米にも新規取引先を得、ここを足がかりに南米市場への本格的参入を進めています。

 つねに技術革新に挑戦する東洋機械金属は、基礎研究と新製品開発を両輪に研究開発に力を注いでいます。

 基礎開発とはいわばテクノロジーの先行投資であり、スクリューや成形・鋳造ソフト、金型の研究をすすめています。

 また新製品開発では、多様化する素材の可能性を探りながら、真空鋳造に代表されるような高精度鋳造・成形システムの構築をはじめ、いくつもの新技術領域を開拓中です。

 さらにユニークなシステム開発にスポットを当てています。それは機械・電子機器(MECHANISM・ELECTRONICS)と人間らしさ(HUMANITY)の融合となるテクノロジー(HUMANICS)の研究です。

 成形品の精度や安定性の向上を図るべく、加工プロセスにおいて視認する流体可視化の研究や、稼動する機械自体が自己修復する人工知能(AI)システムなど、『かしこい機械』の研究も盛んです。

 グローバル市場を相手にモノづくりを進める東洋機械金属では、未知の技術領域を開拓し製品に活用するため、積極的に産学共同研究を推進しています。

 流体可視化研究では東京大学と、金属表面処理研究では兵庫県立大学と取り組み、今後ダイカスト分野の需要増が期待できる中国では清華大学と研究センターを設立し、アルミニウムおよびマグネシウム合金の鋳造基礎研究を進めています。

 プラスチックにはさまざまな種類があり、その用途は日々、拡大しています。たとえば、自動車の内装品はすでに大部分がプラスチックですし、目に見えないところにも数多く使用されています。その部品類を生み出すのに、東洋機械金属の射出成形機は不可欠です。

 自動車産業ばかりではなく、射出成形機はプラスチック成形加工の主力装置であり、あらゆる産業で必要とされる産業機械です。

 クルマや家電製品など一般消費者が購入する機械製品は、性能面だけでなくユーザー個々人の好みで選ばれる側面が強いと思います。しかし企業が選ぶ産業機械は合理的な理由のもとにスペックが決定されます。優れた機械が売れるわけです。

 まず、最初に本日の研究銘柄として東洋機械金属を選んだ理由を説明します。

1.東洋機械金属の年度当初(=4月27日)に発表した、2016年3月期の一株利益予想は前年同期比プラスの予想であったこと。

 最初にも述べたように、東洋機械金属は年度当初に保守的な業績予想を発表する企業です。2015年3月期の当初予想を前期と比べマイナス17.8%という大きな減益予想を出しました。

2014年3月期の純利益の予想 1764百万円(一株利益85.58円)年初の2015年3月期の純利益の予想 1450百万円(一株利益予想70.34円)

 実績は純利益1631百万円(一株利益 79.14円)と、当初予想を大きく上回りました。

 業績が飛躍的に伸びた2014年3月期においても、半期ごとの業績が当初予想を上回っていても、通期予想は必要以上に低く見積もり発表を行いました(=例えば上期の業績が大きく増加すると、当初に出した下期の利益予想を減額して通期の業績はそれほど伸びない形でIRを行いました)、しかし通期の業績は東洋機械金属の業績予想を大きくオーバーしました。

<2013年3月期の決算短信>
http://www.toyo-mm.co.jp/fia/pdf/kessan130425.pdf

 2014年3月期の上期の一株利益予想 16.01円。
 通期の一株利益予想 33.96円(⇔下期の一株利益予想は17.95円)

<2014年3月期の第2四半期の決算短信>
http://www.toyo-mm.co.jp/fia/pdf/kessan131024.pdf

 2014年3月期の上期の一株利益実績 38.60円。
 通期の一株利益予想 48.51円(⇔下期の当初の一株利益予想は17.95円を9.91円に減額)

<2014年3月期の第3四半期の決算短信>
http://www.toyo-mm.co.jp/fia/pdf/kessan140129.pdf

<2014年1月29日発表の業績上方修正のIR>
http://www.toyo-mm.co.jp/fia/pdf/gyosyu140129.pdf

2014年3月期の第3四半期までの一株利益実績 64.59円。
通期の一株利益予想 72.77円(⇔第4四半期の一株利益を8.18円に設定。実績は次に見るように20.99円と予想の2.57倍)

<2014年3月期の決算短信>
http://www.toyo-mm.co.jp/fia/pdf/kessan140424.pdf

2014年3月期の一株利益 85.58円

 2014年3月期は企業ばかりではなく、私たち投資家もアベノミクスに半信半疑の状況でしたから、東洋機械金属が業績に自信が持てなかったのは理解できます。その東洋機械金属が、2016年3月期の業績に自信をもって増益予想を出したことは、評価できると考えました。

 2014年3月期においては、会社予想を上回るペースで利益が増加しました。東洋機械金属の販売先は海外が約70%と多いです。

 ドル円相場で更に円安で推移していることから、2015年3月期と同じように東洋機械金属の利益は会社予想より伸びることが期待できます。

 しかし多くの投資家は、まだ東洋機械金属の業績を評価しておらず、株価は低い状況で推移しています。しかし上に動き出す初動状態には入っていると感じます。日経平均225が500円以上下げた日にも、東洋機械金属が前日比でプラスで引けたことは評価でます。

東洋機械金属の株価のチャートです。
http://www.nikkei.com/markets/company/chart/chart.aspx?scode=6210&ba=1&type=3month

2.東洋機械金属は低PERかつ低PBRで、自己資本比率が50%を超えている企業であること。

ここから先は

16,452字

¥ 290

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?