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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」石井鐵工所(6362) 2015/09/29

※このレポートは2015年9月に作成されたものであり、企業情報や数字等は当時のものです。またリンク先の変更によりリンク切れの場合があります。あらかじめご了承の上お読みください。

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        石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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            ◆Contents◆

 ◇銘柄研究 石井鐵工所(6362)
 ◇コラム 投資環境が悪い時は、企業そのものに焦点を当ててじっくりと
 ◇期間限定コラム バランス・シートを読むための簡単な知識(5)

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◇銘柄研究 石井鐵工所(6362)


 本日は、1900年(明治33年)創業の石井鐵工所を研究銘柄として取り上げます。

 石井鐵工所は、各種貯槽、プラント類及び鉄骨、プール等各種鉄鋼構造物の設計から製作、据付、試運転に至るまでの一貫したエンジニアリングを行う鉄構事業と、不動産賃貸業の2つを主力事業としている企業です。

 日本の全国各地のコンビナートには、巨大なガスタンクや石油タンクが林立しています。これらのタンクは、日本に暮らす人々の生活を支えるエネルギーインフラです。石井鐵工所は、タンク・プラントのエンジニアリングにおいて日本国内トップクラスの実績を誇る企業です。

 一世紀を超える歴史を誇り、「タンクの石井」の名はいまや世界に知れ渡っています。石井鐵工所が扱うのは、石油やガス、化学品などの危険物であり、安全かつ確実に制御するためには高度な技術とノウハウが必要なものです。
 また、注目を集める水素エネルギーについても、実用化には水素を液化して運搬・貯蔵するインフラが必要であり、石井鐵工所のエンジニアリングが求められます。

 石井鐵工所は未来のエネルギー社会に向けて、着実に業績を伸ばして行ける企業です。
 日本においても米国からのシェールガス輸入などに向けてガスタンクの建設が行われていますが、アジアなどの新興国でもエネルギープラントが続々と建設されています。

 このようなエネルギーに関するプロジェクトにおいても、石井鐵工所は欠かせない存在です。石井鐵工所の事業はますますグローバル化していており、マレーシア、シンガポール、バンコクに加えて、新たにインドネシアにも拠点を設置しています。

 シェールガスは、いままでも、そしてこれからも大きな投資テーマの一つです。シェールガスは、私たちの生活の中で必要不可欠なエネルギーの1つです。日本ではあまり採れないので、ほとんど輸入に頼っています。気体のままでは輸送効率が悪いので、生産地でマイナス162度に冷却し液体化(液化天然ガス(LNG))とする事で体積を小さくして大量に輸送しています。

(注)一般的にはシェールガスと天然ガスという表現で区別されています。
   しかしシェールガスである非在来型天然ガスも従来の在来型天然ガスも、地下から掘削する天然資源ですから天然ガスであることは同じです。
   より厳密に分類するとシェールガスは非在来型天然ガスということになり、一般的に使われる天然ガスは在来型天然ガスとして区別することが多いです。


 まず、本日の研究銘柄として石井鐵工所を選んだ理由を説明します。


1.石井鐵工所は、含み益が大きな賃貸不動産や自社使用の土地を保有していること。

 石井鐵工所の時価総額は、9月25日の終値186円(⇔36,866,359株)で計算すると68.6億円です。

 1)賃貸不動産

  2015年3月期の有価証券報告書に開示されている、石井鐵工所の賃貸不動産の簿価は7,695.4百万円です。時価は21,060.6百万円です。
  賃貸不動産の含み益は133.65億円です。賃貸不動産の含み益だけで、石井鐵工所の時価総額の約2倍近くになります。

  石井鐵工所の不動産事業は、マンション・物流施設・商業施設・太陽光発電設備など、社有地の立地条件を活かした付加価値の高い建物を建設して行っています。

  a)マンション
   http://www.ishii-iiw.co.jp/property/?ca=8
   
   ・石井鐵工所の主力マンション、東京都中央区に立地するサンシティ銀座EAST
    http://www.ishii-iiw.co.jp/property/?id=1426756613-867190&ca=8

    サンシティ銀座EAST(=施工:清水建設)は、石井鐵工所の創業100周年を記念して、大江戸線「勝どき」駅から徒歩5分、有楽町線・大江戸線「月島」駅から徒歩7分の石井鐵工所創業の地『月島』に、これからの時代に安心して老後を過ごせる新しいコンセプトの都心型高層住宅として、豊富な経験と実績を持つアメリカのデザイナーの基本設計により、株式会社ハーフ・センチュリー・モアの協力を得て建設しました。
    本物件は、隅田川やその支流の月島川の近くに位置しており、高層階から見下ろす隅田川は、ボストンの高層ビルから見下ろすチャールスリバーをほうふつとさせ、心が和むとの評価を得ています。更に、春には、月島川の堤防沿いに桜が咲き乱れる風景は、ワシントンDCのポトマック河畔タイダル・ベイスンの桜並木のようだと入居者の皆様に喜ばれています。
    サンシティ銀座EASTは、〈シニア・コミュニティー〉を基本コンセプトに、賃貸マンション部分と、介護付有料老人ホーム部分から構成されており、株式会社ハーフ・センチュリー・モアが運営しています。
    石井鐵工所は、賃貸マンションを東京都中央区にレジデンスシャルマン月島、レジデンスシャルマンプレデュフルーブの2棟、東京都品川区にレジデンスシャルマン林試の森の1棟を保有しています。

  b)物流施設
   http://www.ishii-iiw.co.jp/property/?ca=9
    東京都大田区に宅配便会社向け配送センター、水産物加工食品メーカー向け配送センター、倉庫会社向け物流倉庫などを保有しています。

  c)商業施設
   http://www.ishii-iiw.co.jp/property/?ca=10
    東京都大田区で食品スーパー向け店舗、タイヤメーカー向け営業所、千葉県市原市で釣り具専門店向け店舗などを賃貸しています。

  d)太陽光発電
   http://www.ishii-iiw.co.jp/property/?ca=11
    東京都大田区で2カ所と大分県大分市と千葉県市原市で各1か所、計4か所の太陽光発電設備を保有しています。

 2)自社使用の土地

  東京都大田区の鉄構事業統括本部の土地、14,494平方メートルの土地の簿価は13百万円です。1平方メートル当たりの簿価は904円です。
  この土地の近隣公示地・基準値の価格は1平方メートル当たり236,000円です。
  この自社使用地を近隣公示地の価格を現在の価格として計算すると34.2億円になります。含み益は約34億円と想定されます。

  http://www.ishii-iiw.co.jp/company/branch.html

  地図をみると分かりますが、対岸には羽田空港があります。これからも東京オリンピック開催に向け、更にインフラ整備が進み土地価格が上がることが期待できます。

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