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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」東日本大震災からの日本の復興に寄与すると考えて注目した5銘柄 2011/04/05

※このレポートは2011年4月に作成されたものであり、企業情報や数字等は当時のものです。またリンク先の変更によりリンク切れの場合があります。あらかじめご了承の上お読みください。

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        石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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            ◆Contents◆

  ◇東日本大震災からの日本の復興に寄与すると考えて注目した5銘柄
  ◇コラム「今の状態をどう捉えるかで未来がまったく違ってくる」

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◇東日本大震災からの日本の復興に寄与すると考えて注目した5銘柄

 今回はいままでと違い、巨大地震と大津波、さらには原発の大事故による放射能汚染の恐怖という、予想も出来なかった自然の暴威と政権政党や東京電力などによる人災の複合被害で、痛めつけられた日本の復興に寄与すると私が考えて注目している企業をまとめておきます。

 東日本大震災の影響は一時的なものである、という点についてはほぼ間違いないと考えていますが、今のところ企業の物的被災状況や、その損失額などによる純資産の毀損状況や、今後の収益予想が全くわからない混沌とした状態です。

 阪神大震災でも、輸出は1年後に震災前の85%にまでしか戻らなかったという経験もあります。今回は日本人でさえ加害者となっている放射能汚染の風評被害の問題や、東電の電力不足の問題も解決までに長い期間を要するという覚悟もしなければならないと考えています。個別企業の状況がいつ震災前の通常生産に戻れるか、まだ見極められる状況にはありません。したがって、ただ1社だけ研究銘柄を取り上げても、その企業の震災前のファンダメンタルズや事業の状況や業績が、まったく通用しなくなっている場合もありうると考えます。

 過去に学んだジム・ロジャーズの言葉ですが、『短期売買では人間の心理が価格に影響を及ぼす』ということも、震災後に開いた3月14日からの日本の株式市場において、ほとんどの銘柄が暴落したことを思い起こせば、彼の言葉が胸にしみます。

 最近、研究銘柄として取り上げて震災復興に寄与することから、順調に株価を回復し、更に上昇するかと期待していた日本上下水道設計も、大量の東京電力株を持っており、更に東京電力以外にも投資している多くの株式が下落したために、2.76億円の減損を発表しています。

http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/tdnr2/tdnetg3/20110401/6smjt3/140120110401078407.pdf

 日本上下水道設計の持っている現・預金や、投資有価証券の全体額や、資産背景から見れば、ゴマのように小さいと考えられる金額ですが、経常利益の予想額11.86億円の2.76億円の減損です。税金が減るので影響は最終利益でもろに減るわけではありませんが、短期的な思惑で動く投機家がどのような投資行動を取ってくるか分からない状況です。
 今後大幅な減益予想が発表されたり、減配の発表などがあれば、短期投資家の失望売りで再度株価が下落する可能性があることも、考えておかなければならないでしょう。震災後のパニック売りから暴落したリバウンド相場も、そろそろ一段落しそうです。また、本日取り上げる震災復興に寄与することが間違いないと思える銘柄にも、短期の利喰い売りが出てくる可能性も否定できません。仮に下落しなかったとしても、今は株価がどんどん上がっていくような状況でもないのではないかと考えています。

 しかし、短期売りに大きく下がれば、日本人が生きていくために必要なライフラインを回復するために寄与する企業の業績は、確実にかなりの長い期間にわたって押し上げられていくことは、誰の目からみても間違いないことでしょう。少しリバウンドして大底よりは高くなった現在の株価ですら、歴史的な割安水準にあるということも事実です。

 為替も円安傾向にあります。日本株の投資主体である外人投資家も、海外株式の高騰で日本株を投売りしてくるような状況にはないと考えています。ただどの銘柄に資金が入ってくるのかは誰にも分からないので、財務内容がとても良く、仕事の内容も震災後のライフラインの回復のために、一番早く仕事が増えていくと考えられる5銘柄を、私が注目する順に直近の研究銘柄も含めて書きます。

 私は、『企業の内在的(本来の価値)価値』というのは、『資産価値』と、『事業価値』に分かれていると考えています。企業価値は資産価値(=バランス・シートに見えている金融資産など)と事業価値(=将来稼ぎ続ける力=バランス・シートには見えていないもの)の総合だと考えています。

 資産価値は、過去の事業活動の利益から、すでにバランス・シートに表示され、すべての投資家から見える形になっている現・預金や投資有価証券、不動産などのような資産ばかりではなく、製造ノウハウとか特許とか利益を生み出す源泉になっている目に見えない資産もたくさんあります。

 目に見える資産という限定された資産だけの価値を計算して、時価総額と比較して、時価総額の3倍も4倍も直ぐお金に変わる資産を持っているから割安だと判断しています。目に見えない資産は自分では金銭的に評価できないので、資産価値としてはゼロ円で評価の対象外のおまけとして位置づけているわけです。ただし、将来の収益を判断する事業価値のなかには、見えない資産が含まれていると考えるようにしています。

 少し整理すると、過去の稼ぎを蓄積し、現・預金や投資有価証券、直ぐ買い手が付く含み益の大きな不動産など、世間から「お金」と同等視される資産をバランス・シートに目に見える形で蓄積している(=時価総額より多く)企業は、資産価値が高いと考えているということです。

 事業価値は資産価値のように簡単には推計できません。そこで、過去の経常利益額の平均を取って、それを5倍して事業価値として推計しています。この中に、目に見えない資産の価値も含まれているという考え方で評価しています。

 しかし、過去にいくら儲けていても、将来赤字続きではいずれ資産を食い潰すので、将来も儲け続ける収益力の源泉(=新しい製品を作り出せる研究開発力、儲かる製品を大量生産できる設備、特許、製造ノウハウ、優秀な経営者、社員などバランス・シートには見えていないもの)も大事だと考えています。

 また、現・預金は金利が低すぎて、現・預金自体では収益をあまり生まないで10年たっても増えていないと考えており、いわゆる世間でバリュー投資家といわれる人々が評価しない製造設備も、将来稼ぎ続ける収益力の源として重要だと認識しています。

 ただ、株式市場で株価を決めるのは、『企業価値』ではなく投資家の総意です。『投資家の総意』というのは、欲と恐怖に目がくらんだ感情的な衝動で動くものです。ジム・ロジャースが指摘したのは『市場というのは人間の欲望を変数として機能している制度なので、わずかな入力の変化が劇的な出力の変化を生み出してしまう』ということです。

 株価は投資家の心理に大きく影響を受けてしまいます。だから、今回の注目銘柄に投資をしておけば絶対に損をしない(=事故に遭わない)ということはありません。どんなに時価総額に比べて資産価値が3倍も4倍もあろうと、株価は投資家の投資行動でいくらでも安くなってしまうことがあるのです。

 冷静に考えれば、バランス・シートに載っている現・預金や、投資有価証券や、去年の3月から開示されるようになった賃貸不動産の時価などの市場価値から判断し、時価総額が三分の一とか、四分の一になっている企業の株価が、企業の価値から見て割安だと判断することは誰にでも出来ることです。

 今日の注目銘柄のどの企業をについても、時価総額と同じお金を持ってきて、注目企業と同じバランス・シート(=表面的資産価値)がまったく同じ企業を作れるかと自問すれば、明白に不可能だと分かります。絶対作れないことは小学4年生程度の判断能力があれば、簡単すぎる判断事項です。

 ただ、株価をコントロールして決めるのは「市場に参加している欲と恐怖に目が眩んだために小学生並みの判断力さえ失っているような、おかしな投資家の総意」なので、株価が企業の資産価値から比べて安いままで、更に安くなる可能性も大いにあります。そのことにも留意しながら、再度日本の株価が大きく下がってきて、投資したいという意欲が出てきたときの投資判断の一つにしていただければと考えて選択した企業群です。

<1>イワブチ(5983)

2011年3月期第3四半期決算短信
http://ir.nikkei.co.jp/irftp/data/tdnr1/tdnetg3/20110204/6o8m8t/140120110118009917.pdf

 イワブチは電力架線用金具日本国内首位で、交通信号用金具市場はほぼ独占している低PERかつ低PBRの企業です。年間配当額が20円あり、4月2日の終値525円で計算しても、配当利回りが3.8%ある企業です。自己資本比率71.4%。一株純資産1208.06と低PERかつ低PBRです。

 設備などにはほとんど被害が無く、震災復興で需要が大きく発生することが確実視されるイワブチですが、短期投資家の利喰いの売りで、株価が大きく下がることも出てきます。

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