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石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」アルコニックス(3036) 2018/08/07

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---------------------------2018/08/07-
       石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」
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 億の近道の大人気執筆者、石川臨太郎が皆様へお贈りするメールマガジンの第493回目です。週に1回(火曜日)配信いたします。
 なお、この有料メルマガの売り上げの一部は、億の近道の発行運営に活用されます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

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            ◆Contents◆


     ◇銘柄研究 アルコニックス(3036)
     ◇コラム 企業の成長性を見据えた投資に復帰する


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◇銘柄研究 アルコニックス(3036)


 本日は、1981年(昭和56年)に日商岩井非鉄販売株式会社として設立され、2001年にMBO(=経営者による買収)を実施したアルコニックスを研究銘柄として取り上げます。


 アルコニックスは、独立当時は非鉄金属のエキスパートである専門商社でしたが、独立後は有利な価格で製造メーカーを何社も買収し、すでに経常利益の50%以上を製造業部門で稼ぐようになっている企業です。


 本日の研究銘柄としてアルコニックスを選んだ一番の理由は、8月2日の日本経済新聞にアルコニックスの業績に関する次のような記事が出たからです。

『非鉄専門商社、アルコニックスの2018年4~6月期の連結営業利益は、前年同期比2割増の20億円程度となったようだ。銅やアルミなどの非鉄金属市況が回復し、商社流通部門が好調だった。半導体製造装置向けなど金属加工も伸びた。』

 この日本経済新聞の記事に関して、アルコニックスは次のようなIRを発表しました。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1616763

『平成31年3月期第1四半期連結業績につきましては現時点においては算定中でありますが、概ね報道に近い水準で推移しているものと見込んでおります。
 なお、当社の平成31年3月第1四半期連結業績につきましては、平成30 年8月7日に発表する予定であります。』

 このメルマガが配信されるのはアルコニックスの決算発表日ですが、最近は先週研究銘柄にしたAGCが年初予想からの増益修正を発表し、自社株買いまで発表したにもかかわらず大きく下げましたことから、決算発表後に研究銘柄にしたほうが高値掴みするリスクは少ないと考えたからです。

 AGC(旧旭硝子)が、7月31日に発表した2018年1~6月期の連結決算は、純利益が前年同期比28%増の481億円でした。

 東南アジアを中心にカセイソーダの販売価格が上昇し、採算が改善しました。
 昨年買収した塩化ビニール樹脂の製造を手がけるタイの子会社の収益も、通年で寄与しています。

AGCの2018年12月期の第1四半期の決算短信です。
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/b4wgl1/

AGCの自社株買いのIRです。
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/b80hjc/

AGCの増益修正のIRです。
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/b80hww/

AGCの株価のチャートです。
https://www.nikkei.com/nkd/company/chart/?n_cid=DSMMAA11&scode=5201


 最近の日本株は、大きく業績を上方修正しても、下げてしまう株が散見されます。このような下げは、業績が伸びており、資産背景も技術にも有望な企業の株に安く投資するにはチャンスだと考えるようにしています。

 アルコニックスの株価は大きく下げて、やっと底値を離れてリバウンドを始めたところです。高値からの下落率が大きく、今後も業績が増加していくなら、決算発表後に上げていても、更にリバウンドを続けることが期待できる。もし株価が下げていたら、安く買うチャンスになる。

 このように考えたことが、アルコニックスを本日の研究銘柄に選んだ一番大きな理由です。

アルコニックスの2018年3月期の決算短信です。
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/b37whe/

アルコニックスの6か月の株価のチャートです。
https://www.nikkei.com/nkd/company/chart/?type=6month&scode=3036&ba=1

 つづいて、本日の研究銘柄としてアルコニックスを選んだその他の理由を具体的に説明します。


1.アルコニックスの株価は、PERから判断して十分に割安であること。

 8月3日時点のアルコニックスの終値は1739円です。

 2019年3月期の現在時点の一株利益予想212.65円でPERを計算します。
 PERは8.18倍です。

 アルコニックスの直近の株価データです。
https://www.nikkei.com/nkd/company/history/dprice/?scode=3036&ba=1


2.アルコニックスの2018年3月期の部門別の状況について、決算短信を確認すると、過去にTOBした企業の利益貢献が大きいとともに、独立した当初の非鉄金属商社部門の業績も伸びていました。

[2018年3月期の決算短信からアルコニックスの業績を確認]

 アルコニックスを取巻く非鉄金属業界においては、非鉄市況上昇と円安により事業環境の改善が進み、電装化・軽量化の進行が著しい自動車関連の需要が増加し、また、活発な投資が続く半導体関連向け需要が好調に推移しました。

 一方、スマートフォン関連では、生産増加ペースにやや鈍化傾向が見られました。

 このような経済環境のもと、アルコニックスは、半導体製造装置関連、及びめっき材料を中心とした国内外の製造子会社の業績が、連結経営成績に大きく貢献するとともに、商社流通分野においても、銅・アルミ原料、伸銅品、金属珪素、電子材料並びに関連素材の取扱いが伸び、増収増益となりました。

 また、新たに連結子会社化した富士プレス(製造-金属加工事業)も連結業績に寄与しました。

 2018年3月期の連結経営成績は、売上高247,931百万円(前期比22.8%増加)、営業利益7,323百万円(同75.7%増加)、経常利益7,939百万円(同82.4%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益5,336百万円(同73.1%増加)となりました。

〇セグメントの業績の状況
 (なお、各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでいます)

 a)商社流通-電子機能材事業
   スマートフォン、タブレット端末向け部材は、四半期毎のばらつきはあるものの、年間を通じて堅調に推移しました。
   また、二次電池関連部材並びに環境関連部材の需要も底堅く推移、チタン・ニッケル製品は欧州市場向けを中心に堅調でした。
   一方、レアメタル・レアアースにおいては、車載向け磁性材料、電子材料用途等で需要が堅調に推移し、取扱いは前期に比べ増加しました。
   この結果、当セグメントにおける売上高は76,518百万円(前期比29.7%増加)、セグメント利益は1,822百万円(同56.9%増加)となりました。

 b)商社流通-アルミ銅事業
   自動車の電装化に伴い、自動車関連部材の取扱いは順調に伸長しました。
   また、EV化、IoTの進展により、半導体・液晶・有機EL部材の需要が増加しました。
   一部において急激な需要増により、供給が間に合わない現象も見られましたが、アルコニックス並びに国内流通子会社の取扱いは前期に比べ増加しました。
   一方、非鉄原料分野においては、自動車を中心として非鉄原料需要が好調に推移したことに加え、アルミ・銅などの非鉄市況が年間を通じて堅調に推移したことにより、主力のアルミ再生塊、銅・アルミスクラップ、及び金属珪素の取扱い増加が増収・増益に寄与しました。
   この結果、当セグメントにおける売上高は、134,946百万円(同12.2%増加)、セグメント利益は1,033百万円(同16.4%増加)となりました。

 c)製造-装置材料事業
   めっき材料においては、北米の出荷が期を通して堅調に推移し、中国においても平成28年5月に竣工した化成品製造ラインの本格稼働により同拠点における出荷が大きく拡大し、業績伸長に貢献しました。
   また、非破壊検査装置分野においては、大型の装置受注がなかったものの、自動車、鉄鋼業界向け探傷剤等の消耗品の出荷が増加した他、前連結会計年度に低迷していたタイ、中国の製造子会社においても探傷剤を中心とした出荷が伸び、業績に貢献しました。これにより同事業の収益は、のれん償却後で経常黒字に転換しました。
   この結果、当セグメントにおける売上高は19,794百万円(同18.6%増加)、セグメント利益は835百万円(同286.1%増加)となりました。

 d)製造-金属加工事業
   チップマウンター向け研削加工部品の出荷は、活発な半導体投資による旺盛な実装機需要を背景に、引続き好調に推移しました。また、自動車向け試作部品の受注も順調でした。
   一方、精密切削加工部品は航空機部品、半導体製造装置、及び有機EL製造装置向けが好調に推移し、前連結会計年度に減益要因となった小ロット、短納期対応による製造原価増に対しては、生産効率の改善等に取り組んだ結果、収益が大きく改善しました。
   なお、新たに連結子会社となった富士プレスは、自動車向け精密プレス部品の出荷が当初の想定を上回り、連結業績に貢献しました。
   この結果、当セグメントにおける売上高は20,149百万円(同118.5%増加)、セグメント利益は4,244百万円(同102.5%増加)となりました。

〇年初時点の2019年3月期の業績の見通し(次期の見通しについて)

 2019年3月期におけるアルコニックスをとりまく事業環境は、地政学的なリスクの高まりや保護主義の台頭、為替市場の不安定さ等に懸念があるものの、米国、欧州経済を中心に世界経済は底堅く推移するものとみられます。
 また国内経済についても、円相場の動向によっては輸出に影響が出るものとみられますが、企業収益の底堅さや雇用環境の改善等により緩やかな回復が続くものと予想されます。

 このような環境において、アルコニックスにおいては国内外製造子会社の業績が半導体、自動車関連需要の増加に伴い引続き高水準で推移する他、商社流通においても銅・アルミ、レアメタル・レアアース等非鉄製品並びに原料の取扱いが増加するものとみています。

 一方で、好調に推移してきたスマートフォン・タブレット端末向け需要の一服感、及び米国主導で行われている通商政策についての議論や交渉の進展如何によっては、アルコニックスの収益面にも影響がでてくる可能性があります。

 以上のことから、平成31年3月期におけるアルコニックスの連結業績については、連結売上高270,000百万円(前期比8.9%増加)、営業利益7,000百万円(同4.4%減少)、経常利益7,700百万円(同3.0%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益5,500百万円(同3.1%増加)を見込みました

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