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#6 【無料】ピーバンドットコム(3559) 2019/04/30

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       山本潤監修「グロース銘柄発掘隊」 第6号

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 山本潤氏率いる「株の学校」で、山本氏をはじめとする講師陣の薫陶を受けた精鋭アナリスト達が、成長株を発掘し、その内容を詳細にレポートします。

 毎週火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。


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               【目次】


  ■はじめに
  ■ピーバンドットコム(3559) 客員アナリスト 影沢おはぎ


※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。


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■はじめに


 NPO法人イノベーターズ・フォーラムのご協力により、客員アナリスト
たちのレポートの有料メルマガがスタートします。

 グロース銘柄発掘隊の隊長は東京2期生です。
 彼の指揮下、隊員たちは、週に一本のフルレポートをディープに発表します。
 どれも個性あふれるレポートです。

 投資家のみなさまにおかれましては、ぜひ、グロース銘柄発掘隊の客員アナリストたちへのご支援をよろしくお願い申し上げます。

(山本潤)


【ご注意】

 本メルマガは、情報提供を目的にしており内容を保証しておりません。
 投資に関しては御自身の責任と判断でおこなってください。
 万が一、事実と異なる内容により、読者のみなさまが損失を被っても源資料作成者および発行者は一切の責任を負いません。
 また、本メルマガの内容・情報は、執筆時点での取材や調査に基づいています。配信時点と状況が変化している可能性があります。
 予めご了承ください。


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■ピーバンドットコム(3559)


【会社概要】


1)プリント基板のEコマースサイト「P板.com」を運営
2)技術情報サイト「@ele」を運営
3)技術コンテスト「GUGEN」を運営

以上の3つが主な事業です。

 P板.comは当社の主力事業であり、プリント基板の設計、製造、その後の実装までの工程をインターネットで完結できるEコマースサイトです。

 ハードウエアに着目した技術コンテストGUGEN、情報共有サイト@ele、CADの無料セミナーなど「技術者の開発環境をイノベーションする」というの方針の元、経営されています。

 プリント基板の製造は主に対面営業、見積もり、納期不安定(繁忙期など)でした。大量生産ではなく、規模も小さい試作開発などでは売り手有利の市場でした。
 創業者の田坂氏は安価で良質なプリント基板を提供するために2002年創業しました。

 当初は製造のみでしたが、2004年に基板設計、2005年には部品実装、2006年に量産と徐々に対応サービスを増やしており、現在は設計から実装し、筐体の製造まで可能になり、試作から製品化までを全てカバーできる状況にあります。

 2017年には東証マザーズへ従業員17名と史上2位の少なさで上場を果たしました。

 プリント基板は電子製品にはあらゆるものに使用されており、昨今の第4次産業革命においても需要が拡大し、世界センサ市場については320%増加(2014年2.8兆円→2025年9兆円)すると言われており、当社の製造するプリント基板は需要は今後も拡大傾向にあると言われています。

【成長ドライバー】


 従来の基板製造業者と比較すると特徴が3つあります。

 まず価格が30%程度であること。
 プリント基板製造の原理は印刷と同様で、回路の「版」を作成し、それを基材に転写し、不要な銅箔を剥がしプリント配線板を作っていく、という流れになります。
 この版の製造コスト(イニシャル費用)を無料化することでこの料金を実現しました。

 可能にしたのは徹底した合理化です。
 そのひとつに異種面付け工法があります。
 本来、基板を製造するための材料、板とフィルムは大きさが決まっており、少ない枚数を製造する場合も同様の材料を使用し、カットして製品化するため、コストがかかってしまいます。そこで複数の注文を同じ材料に乗せ、カットして製品化することでコスト削減をしています。これは基板の電気特性などを保つ上で難しい工法であり、これを可能にするのが当社のノウハウです。
 また国内と海外に協力工場が50%ずつ存在しており、常にベストな(為替や稼働状況など)発注先に注文するようなシステムになっています。

 次に納期が目に見えること。
 当社を取材する中で理解できたこと、それは納期に対する拘りです。
 ファブレス(工場を持たないこと)のデメリットは納期と品質を保つのが難しい点にあります。海外に発注するケースもある当社はその中でも99.21%という高い納期遵守率を保っており、これはWEBサイトで日々更新されています。
 航空便の席を事前に予約してあり、トラブルの際には従業員がハンドキャリーで届けることもあります。
 継続して使ってみないと実感できない優位性ではありますが、試作開発環境では納期が重要なファクターであり、当社もその認識が非常に強いです。
 納期遵守率も含めた利便性で当社のサービスはリピート率が非常に高く、売上げの50%はリピーターからの受注、そして口コミや紹介からの新規受注も55%程あります。

 最後に利便性が高いサービスであること。
 設計から実装までインターネットで受付が完結できる(ワンストップ発注)のは現在当社のみです。
 基本的に設計、製造され、納品されたプリント基板は自身で調達した部品とともに実装業者に送る必要があります。
 これを製造した業者でそのまま部品を調達から実装まで同価格できるとしたらどうでしょうか?これが製造の川上にいる強みです。同価格で手間が省けるのならと年々利用率が上昇しています。(2016年17%→2018年21.7%)実装は単価、利益率ともに高く、当社の限界利益率が改善傾向にあるのはこのワンストップ発注の利用が伸びているのが大きな要因です(限界利益率2014年15.5%→2018年24.2%)。

 また1クリック見積もりでの取り扱いが開始した「ハーネス加工サービス
(基板などを接続するケーブルです)」ですが、元々はメールや電話で受注していたサービスです。
 顧客ニーズが高いサービスだったためシステムを開発したそうです。
 このようにニーズが高い商材の利便性を向上させてサービスを拡大させていく戦略が取られており、安定的に取り扱い商材を増やし、利用単価の向上に繋がっています。


 この「安さ、納期、利便性」がピーバンの成長ドライバーであると考えています。


 国内のプリント基板の市場は約6000億円、その中で1万枚までの小ロットプリント基板市場は1500億ほどあります。この小ロット市場は利益率は高いが手間がかかる、数のメリットが利かないという理由で大手が参入しにくい市場です。

 その1500億の中の50億程度(3.3%)がECのプリント基板製造業者です。
 創業当時は当社のみでしたが現在は競合が増え(10社程度)、類似サイトも発生しています。対既存業者は未だ価格、利便性の有利から成長余地が大きいこと、シェア1位(EC基板製造業者推定40%)であることなど勘案し、今後も成長は続くと考えています。

【業績予想】


 5年後までの業績を予想します。
1)売上げの伸びは競合が激化すると仮定し、過去8.5%成長→今後4%成長へと堅めに予想。
2)ワンストップ利用増、商材の増加による単価上昇で限界利益率10%で成長予想。
  24.2%→33.0%
  限界利益率は価格低下のリスク勘案し、最終年度に標準偏差の期待値で割り引いています。
3)ファブレスが続くと予想し、人員増は過去実績に基づき予想(18人→24人)
4)最終年度に配当性向10%から30%にし配当額を算出(1株辺り51円)

 以上の前提を元に予測すると以下のようになりました。

<2023年度>
(単位:百万円)
 売上高:  2,437
 営業費用: 2,078(1,632(変動費)+446(固定費))
 営業利益: 359
 営業利益率:14.7%

【理論株価】


 株の学校では主に以下のように考えバリュエーションしています。

 まずリスクについて考えます。
 リスクは売上げを単価と数量に分けて考えています。
 この時に理想は企業からの単価の開示ですが難しいのが殆どです。
 今回は
 数量=費用
 単価=売上高営業利益率
として考えました。

 業績推移から数量は7.0%成長し、6.5%のばらつきがあります。
 (連続複利)
 このバラつきは標準偏差1σなので遭遇のしやすさを考慮します。
 (およそ65%程度)
 6.5%のバラつき×0.65=4.23%


 数量のバラつきが営業利益に及ぼす影響は
 元の営業利益
  =個数×単価×限界利益率ー固定費
 新しい営業利益
  =((1-0.0423)×個数)×単価×限界利益率-固定費
になります。

 計算すると数量が下落した場合の営業利益は7.6%下落になります。
 下落する確率50%をかけて3.8%を個数が減った場合のリスクとします。
 ・・・A

 単価は1.5%成長し、4.0%のばらつきがあります。(連続複利)
 このバラつきは標準偏差1σなので遭遇のしやすさを考慮します。
 (およそ65%程度)
 4.0%のバラつき×0.65×下落する確立50%=1.3%・・・B

 このAとBの合計をリスクプレミアムとします。
 リスクプレミアム=3.8%+1.3%=約5%になります。

 このリスクプレミアムを使った2段階の配当割引モデルで理論株価を算出します。

 将来の配当51円をTOPIXの配当利回りで永久還元します。

 51円/2%=2,550円(5年後以降の価値)
 これを現在価値に割引きます。

 2,550円×exp(-5%×5年)=1,985円・・・1)

 1年後から4年後の予想配当金合計の現在価値
  =56円・・・2)
 1株あたりの現金
  =410円・・・3)

 1)+2)+3)=2,450円


 結果として理論株価は2,450円となり、現在の株価1,277円に対して92%のアップサイドがあると考えられます。


 客員アナリスト 影沢おはぎ

 非上場容器メーカーのエンジニア。仏像と猫と理論株価が好きです。
「経営者の努力を理解し、企業を応援する」そういった投資を目指しています。

■監修・山本潤の目■

 とても丁寧に事業内容と理論的な株価を説明されています。
 過去の業績からのリスクプレミアムの考え方は斬新だと思いました。
 一見、成熟している市場のように見えても、そうではない、その中に成長のシーズがあるのだということを示すよい例ではないでしょうか。
 試作市場は、量産市場と違い、大学や製造業のR&D部門が顧客となります。
 新しいものを生み出す人々を支えるのですからとても社会的な意義のある企業だと考えます。
 出来高、時価総額ではまだ機関投資家が買える水準ではないので、個人が買いやすい銘柄の一つではないでしょうか。

(山本潤)

(本メルマガは、情報提供を目的にしており内容を保証しておりません。
 投資に関しては御自身の責任と判断でおこなってください。
 万が一、事実と異なる内容により、読者の皆さまが損失を被っても源資料
作成者および発行者は一切の責任を負いません。
 また、本メルマガの内容・情報は、執筆時点での取材や調査に基づいています。配信時点と状況が変化している可能性があります。
 予めご了承ください。)


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発行者:NPO法人イノベーターズ・フォーラム
    グロース銘柄発掘隊

 email:magazine@iforum.jp
 http://www.iforum.jp/
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