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#38 萩原工業(7856) 2019/12/10

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       山本潤監修「グロース銘柄発掘隊」 第38号

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 山本潤氏率いる「株の学校」で、山本氏をはじめとする講師陣の薫陶を受けた精鋭アナリスト達が、成長株を発掘し、その内容を詳細にレポートします。

 毎週火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。


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               【目次】


     ■はじめに
     ■萩原工業(7856) 客員アナリスト カーツ大佐


※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。


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■はじめに


 NPO法人イノベーターズ・フォーラムのご協力により、客員アナリスト
たちのレポートの有料メルマガを提供しております。

 グロース銘柄発掘隊の隊長は東京2期生です。
 彼の指揮下、隊員たちは、週に一本のフルレポートをディープに発表します。
 どれも個性あふれるレポートです。

 投資家のみなさまにおかれましては、ぜひ、グロース銘柄発掘隊の客員アナリストたちへのご支援をよろしくお願い申し上げます。

(山本潤)


【発掘隊より】

 グロース銘柄発掘隊は、5年から10年以上の長期投資に耐えると思われる銘柄を発掘し、調査分析するものです。配信した銘柄は短期的に株価調整する場合もありますが、対象企業の前提条件が変化しない限り、問題ないと考えます。
 配信した銘柄は定期的にチェックしております。もし、前提条件が変わったりビジネス環境が大幅に変化した場合には、あらためてフォローコメントを配信致します。

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萩原工業(7856)

【会社概要】

 萩原工業(はぎはらこうぎょう)株式会社は、岡山県倉敷市に本社がある、ブルーシート等に使用しているフラットヤーンと呼ばれる技術を軸とした製品や製造機械を製造、販売している企業です。

 東京に支店、札幌に営業所があり、本社に併設する工場や周辺に工場が複数箇所あります。
 また、子会社である東洋平成ポリマー株式会社(茨城県霞ヶ浦市)併設の工場、海外には、子会社の製造拠点が中国とインドネシアに、またタイにも子会社を有しています。さらに、後述する、バルチップという製品を主に扱う子会社のバルチップ株式会社が本社と同じ場所にあり、世界各地にバルチップ株式会社の販売拠点を持ちます。

 当社の設立は、1962年ですが、そのルーツを辿ると、当社の大株主でもある、明治25年に創業した萩原株式会社まで遡ることができます。岡山の地場産業である、ござなどのい草製品の製造販売をしていた萩原株式会社ですが、戦後の工業化の波の中で、花ござの縦糸用ポリエチレン糸の製造を始めます。そのために設立されたのが、萩原工業株式会社だったのです。

 当社は、ほどなくして、フラットヤーンと呼ばれる技術を開発。この技術が現在も萩原工業株式会社を支える主たる技術となっています。
 フラットヤーン技術とは、ポリエチレン、ポリプロビレンを原料にしたシートを作り、それを短冊状にカット(スリット)し、伸ばして強度を出しながら糸状にする技術です。
 これを材料として、様々な仕様に応じて機械で織り、コーティングを施すことで、色々な製品が生み出されています。また近年は、その技術に磨きをかけた製品や、応用製品も製造販売し、それらを戦略製品と位置付け、市場の育成も併せて、新たなる収益の柱にすべく、力を入れている様子です。


 ◆製造販売製品

  当社が製造販売をする製品群は大きく2つ、合成樹脂製品と、エンジニアリング製品に大別できます。
  合成樹脂製品群の中で最も有名な製品はブルーシートやレジャーシートなどのシート類でしょう。ブルーシートは、農業、土木、建設、災害などでは必要不可欠な存在と言えます。最近は、安さを売りにした輸入ブルーシートなども出てきている中で、当社は、ブルーシート本来の機能の磨き込みに注力し、耐水性の優れた加工を施したものや、使う方の求める耐用性に応じた、ユーザビリティの優れたブルーシートなどを販売するなど、コモディティ化を避ける工夫をしている様子です。
  そして、ブルーシートの他にも、遮熱シート、透明シート、防炎ブルーシート、柄やデザインを施したシートなど、用途や目的に応じて、様々なシート類を製造販売しています。
  また、袋状にすることで、土嚢やコンテナバッグなども製造しています。
  当社の製品は、耐久性や防水性などの機能面の信頼が高いことが特徴として挙げられ、災害用途などといった行政からの引き合いもあるようです。
  その他、フラットヤーン技術を応用した製品もあり、クロステープ(養生テープ)や、お掃除モップの製造販売、人工芝の実績などもあります。
  そして、当社では、これからの売上収益の柱にすべく、戦略製品として、特に製造販売に注力している製品群があります。具体的には、バルチップ、粘着テープ原反(クロステープ)、その他高機能化製品、フィルムスリッターをこの製品群として位置付けています。その中でも、バルチップは、ユニークな製品と言えると思います。特設サイトを作っている点などを見ても、当社でも非常に期待をかけている製品であることが伺えます。
  バルチップは、コンクリートの耐久性を高めることができる資材として、1995年に事業展開が始まりました。合成樹脂製の短い針金状になっている資材で、コンクリートに混ぜて使用します。ちょうど、昔の家屋などで、土壁に藁が混ぜられているものと同じようなイメージです。バル(=bar 棒状の)+チップで、バルチップというネーミングになっています。
  現在のコンクリートの補強は、例えば、工場や大きな商業施設での土間床を作る際、鉄骨を筋交い状に組んだのちに、コンクリートを流し込む形が
  一般的ですが、これに対して、バルチップの場合は、短い針金状の合成樹脂繊維が混ぜ込まれたコンクリートを流し込むだけ。そのため、鉄骨が不要になり、建設期間の短縮や労力の削減が可能になるとされています。人手不足が叫ばれ、コスト管理が厳密化する時代にはうってつけの製品のように思えます。また鉄骨のように錆びないことや、ひび割れが起こりにくいことから長寿命であることもメリットのようです。
  その他、トンネルの吹きつけ工事や、覆工、橋梁の剥落防止のための予防工事や、鉄道軌道の枕木下の高さ調整コンクリートとして、道路においては、コンクリート舗装のひび割れ対策などで威力を発揮するそうです。
  また、バルチップを混ぜ込むことで、従来コンクリートの弱点であった、左右に引っ張られる力に耐性を持たせることができるそうで、応用することで、新たなコンクリートによる建築デザインにも可能性を持たせることができるそうです。
  バルチップは、現状は売り上げや収益のけん引役という形にはなっていないものの、上記の用途で一定の実績を収めているようです。また、2018年には、海外9カ国のバルチップ代理店を買収し、子会社Barchip inc.として再編するなど、世界展開の強化を狙った組織再編も行なっており、引き続き当社が力を入れ、育成したいと思っている製品の一つであると言えるでしょう。
  エンジニアリング事業については、フラットヤーン技術を長年磨き上げてきた中で、関連する製造装置も販売するようになったということが起源にあります。スリッターという、シート類製造過程で必要になる巻物を任意の幅に裁断し、またその材料を巻き取るロール加工機械を製造販売しています。レシート用途などの紙からペットボトルラベルのフィルムなど、高い精度の幅で切ることに特化した機械です。
  また、合繊糸のドッフィング作業を行う機械やペットボトル再生機なども製造販売しています。こちらは、エンジニアリング事業部門として展開しています。


 ◆収益構造(セグメント)や傾向、リスク

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