森の中3


出口を通過し、しばらく森の中を歩くと見慣れた景色が開け、目の前にはは大きな建物、車、おしゃれな動物さん達でいっぱいです。森の中で暮らしているにゃん吉とねこっ汰は、ちょっぴりドキドキしつつ道路を渡ろうとします。プップー凄い勢いで車が通り抜けていきました。「危なかったね。安全第一で行こう」ねこっ汰が通り過ぎた車の後を見ながらにゃん吉に話します。「うん。車なんて森にないからね。びっくりした。お店までは道路を二回渡って左に曲がるとお店があるんだけど、地図がよく分かんないだ。」地図を読むのが苦手なにゃん吉はねこっ汰に地図を見せます。

「地図が苦手なのに街へ行こうとするなんて僕と来て良かったよ。僕たちは森の出入り口の近くに居る。この交通量の多い道路を渡ってにゃんこ通りをまっすぐ行って、またたび道路を渡ってアニマルビルを目印に行けば大丈夫だね」ねこっ汰が地図を見ながらスラスラ道順について説明します。「さすがねこっ汰だね。一緒に来てくれて本当にありがとう。」「お礼を言うのは早いよ。まだ出発したばかりだよ。」笑いながらねこっ汰が言います。「よし。道は分かったから早く行こう。」張り切って走り出したにゃん吉をすかさずねこっ汰が止めます。「急いでも食材は逃げないよにゃん吉。ゆっくり街を堪能しながら行こう。此処にはには様々な物や動物達がいて刺激ある。森には無い感覚だよね。」ねこっ汰が感慨深げに言います。「ねこっ汰はたまに物語を語るような口ぶりで話すね。感動している時に多いよ。確かに街は楽しいけど、刺激が強すぎる時もあるね。車の音とか沢山の動物さん達の波とか。」にゃん吉が、ねこっ汰をさりげなく褒めながら自分の感想を述べていると、あるお店に目が釘付けになってしまいます。

 ねこっ太汰はにゃん吉が釘付けになってる方向に目をやると行列が出来ています。

好奇心旺盛なにゃん吉はダッシュで列に加わります。ねこっ汰も後に続きます。一体何の列なのかお店の周りに居る動物さん達をみるとみんな包みを持っています。

「クレープだ。」嬉しそうにねこっ汰にしらせるにゃん吉。「さっき朝食食べたばかりなのに大丈夫?」ねこっ汰が心配そうに尋ねます。「大丈夫。クレープは別腹だもん。」そう答えながらにゃん吉の頭の中はクレープでいっぱいです。嬉しそうなにゃん吉の姿を見て素直に列に並ぶことにしたねこっ汰。

 行列に並んでる間にゃん吉とねこっ汰はお店の前にある食品サンプルを物珍しそうに眺めています。「これって食品サンプルでしょ?本物そっくりだね。」にゃん吉は食品サンプルが気に入ったようでずっと眺めています。一方のねこっ汰は食品サンプルを見ながらどれを注文するか真剣に悩んでいます。「にゃん吉、どれにするか決めた?僕は、抹茶とティラミスのクレープかバナナチョコのクレープどちらにするか迷っているんだ。」

「だったら僕はねこっ汰が選ばなかった方を注文するよ。半分分けてあげる。」にゃん吉がねこっ汰に提案します。「いいの。じゃあ僕は抹茶のクレープにする。」ねこっ汰はにゃん吉の提案を聞いてすぐに注文が決まったようです。

 数十分後、二匹の手の中にはクレープがありました。にゃん吉の手にはティラミスのクレープが、ねこっ汰の手には抹茶のクレープが握られています。

それぞれパクっと一口頬張ると口の中にクリームとアイスの甘さが広がります。「にゃん吉。」「ねこっ汰」「口の中がハーモニーだよ。」二匹同時に同じ感想が出ます。「僕のを半分食べてみて」にゃん吉はそう言いながら自分のクレープをねこっ汰に渡します。

「このクレープおいしいね。チョコレートの甘さがあまり気にならないし、生地がもちもちしていて美味しい。にゃん吉、今度作ってくれる?」「うん。美味しいから作ってみるよ。行列に並んで良かった。何より食品サンプルが凄いね。まるで本物だもん。家に飾りたいなぁ。」にゃん吉は食品サンプルとクレープが気に入ったみたいです。

 クレープを食べて満足した二匹は目的の食材を求めて街をテクテク。









この記事が参加している募集

#文学フリマ

11,794件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?