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セビージャひるね暮らし(28)

※2021年の記録です。

10.13 水 晴れ España旅行第28日目 Madrid

 トレーニング途中で、清掃のおばちゃんが来た。「No necesito rimpiar」(掃除いらんです)でタオルだけ代えてもらう。しっかし10時に来るって早過ぎくね? セビージャじゃアリエンティーナであるぞ。

 朝飯外出。と、フロントにゴンサロいた。昨日PCRの予約取ってくれたねいちゃんとペアだった。仕事の邪魔せんよう、瞬間挨拶でオテルを出る。

 前に一度入ったカフェで「クラシック朝食」を注文。前と同じパン・コン・トマテ。2.50。オリーブオイル、塩、トマテの順でパンに載っけて食す。パンがカリっと焼けてて旨し。

 帰オテルして、作業中の清掃ねいちゃんにゴミ箱空けてもらう。以上。

 再出立。出掛けにフロントのゴンサロに、
「Muchas gracias por tu invitación ayer.」(昨日はおごってくれてありがとさん)
 と礼を言う。隣りのねいちゃん目を丸くしてた。スペイン語でお愛想言うチノもいるんだよ。参ったか(笑)

 たったか歩いて「ティッセン・ボルネミッサ美術館」へ。しっかしこの名前、スペイン人じゃないよな。ハインリヒ男爵ってドイツ人か。

 wikiって分かった。ドイツの鉱山財閥ティッセン社の創業者アウグスト・ティッセンの三男ハインリヒがハンガリー貴族のボルネミッサ女男爵と結婚し、舅と養子縁組してボルネミッサ男爵位を相続した、と。その次男ハンス・ハインリヒがコレクションを管理してたのが、元ミス・スペインと結婚した縁で、92年にマドリに開館した美術館に展示し、後にスペイン政府が全部買い取った、と。ざっくりそういう流れですね。父子とも「女」関係でハンガリーに帰化したり、スペインとご縁ができたりした、と。

 館内がドイツ人だらけだったのもそういう理由かと納得。松方コレクションみたいな感じ?(全然違う) 個人コレクションの規模としてはエリザベス女王に次いで世界第2位だってさ。欧米の金持ちはレベルが違いますですね。

 入場料13。見応え充分だった。帰路、ディア(スーパー)でクロワッサンと鶏肉のエンパナディージャ(ミートパイ)1エウロ買って帰オテル。

 ニューズピクスにコメ。

「永久国債」って文字通りなら「永遠に返さなくていい国の借金」ですよね。そんなもの誰が買う(貸す)んでしょうか?
ポンコツ投資家には理解不能なんですが。

 昼食は部屋食。おかずパン2個と缶セルベッサ。食後にインスタントカフェ。日記をしたためている13時40分。

 一つ思いついた。スペイン語クラス土産のメヒジョネス缶詰。それだけじゃつまんないので、サルピコンの適当レシピをスペイン語で書いてつけてやろう。

 ロサからメール。返信する。

¡Hola,Rosa!
こんにちは、ロサ
Muchas gracias por visitarme en Sevilla.
セビージャに来てくれて本当にありがとう
Muchas gracias a todos.
とにかく全部ありがとう
Recuerdos a Gloria.
グローリアによろしく
El melón era bastante delicioso.
メロンはめっちゃうまかった
Yo vi a Gonzalo y cenamos anoche.
昨夜ゴンサロに会って晩飯を食った
Él es muy bien también.
彼も元気だったよ
Cuándo volveré a Japón,hablaré con Yomesan sobre el próximo viaje.
日本に戻ったら嫁さんと次回の旅について話すつもり
Hasta la vista.
また会える日まで
Un saludo,
敬具

 ちょっと早めの14時半過ぎに出立する。グランビアから1号線で8つ。テトゥアン下車。カジェ探して、8番地のクリニカを確認。しばし散歩して時間を潰す。

 中心の観光地からは離れた、まあマドリ市民がフツーに住んでいる町。でも、いい若い男が路上で行き交う人に金ねだってるのはどうかと思った。たかり乞食じゃん。「Santería」(サンテリア)と看板出して、魔法グッズみたいなのを売ってる店があった。辞書引いたら「聖像聖具店」(中南米)だってさ。

 で、15時45分にクリニカへ。サクサク進んで医師の判子とサイン入りの日本政府仕様のPCR陰性証明ゲット! これで一安心である。医師は色黒の中南米人っぽい男だった。「これでやっとこさ日本に帰れるだよ」と大げさに喜んでみせたら、ウィンクしやがったのには驚いた。帰オテルして16時25分。

「ソフィア王妃美術館」行って「ゲルニカ」見てくるか。

 で、たったか徒歩出立。パセオ・デル・プラド大通りに出てアトーチャ方向へ下ってく。アトーチャ通り渡って入ったところが「ソフィア王妃美術館」だった。入場料10。

 で、ゲルニカ観て、他にピカソやミロやダリがあれこれあったのを観る。ダリの画風が相当に変化していたことも知る。まあ、全体的にハッタリ爺だったと思うけど。展示が凝っていた。映画を流しっぱにしたり、当時の展覧会のパンフを展示したり。でも、そこまで深くは知らんし、知ろうとも思えんわけですよ。

 さらに3階の写真展が、これはもう典型的な「分からん写真」だった。で、建物がでかすぎ。その割に展示作品が少なく、閉まってる部屋もあるから、作品観るよりも、巨大な建物の中を歩き回らされててる、という印象。まあ、パンピーはゲルニカ観ればそれで満足、なんでしょ。おいらは正直、ゲルニカもピカソ作品にしちゃ、とりたてていいとは思わんしね。要はピカソが大好きだった「闘牛をモチーフにした白黒のでかい絵」だよね。それを反フランコの政治活動に利用された、ちうのが正直な評価。

 帰路、ジェロニモ通りを歩いて、前に行ったことのある丸い広場…プラサ・デ・カナレハス界隈を歩いてみる。で、3年前だか4年前に入った「ラ・カサ・デル・アブエロ」に入る。前と同じく「エビが旨いぞ、食え」と親父が強力に勧めてくるので、アヒージョを注文。カーニャとハウス赤ビノ。エビは前よか旨かった。でもまあ、自宅でも再現できるレベル。お値段は18.10。安かない。つか高い。1チップに置く。で、「明日日本に帰るんだよね」と言ったら、店の絵葉書持ってけ、と寄越した。日本で宣伝せい、とのことですね。了解です。でもまあ、立ち飲みバルの雰囲気は満点で、カウンターに荷物ひっかけるフックが付いてるのも実は評価高いところ。バル初心者連れてくにはいいかも。日本人的には肉よかエビの方が「上」だし。
(帰オテル後、日記を確認してみたら、2018年9月13日に行ってた。そんときはガスパチョとアヒージョ、カーニャと白ビノで24.60。「グラナダのバル10回分」とか書いてる)

 夕暮れのソル経由で帰オテル。マドリ熊の写真を撮っておく。

 缶セルベッサ、ウオトカ水割りに、冷蔵庫に残ったハモンとケソがつまみ。こんなんで十分、いや十二分なんです。

 まあしかし、旅する度に色んなことがあるニャー。家にいればパスしてたことが、否応なしに「体験」させられる。今回はコロナがらみが最大。外国で医者にかかって、その診断書を「日本仕様」で書いてもらうんだぜ。フツーはやらんしできんでしょ。だから「日本語百パーのエスコートサービス」なんてもんが存在する。今あらためてネットで見たら「319~342エウロス」だって。殺す気か? でもまあ「これしかない」なら払っただろうな。自分が500ナンボと勘違いした時も「しょうがねえなあ」だったんだから。自分の105エウロスも、ねいちゃんの「出張料金」込み。自分で電話して予約して、クリニカ往復すりゃ半額で済んだと思う。でも、できんのよ。それは、なんちゅうか社会のシステマの問題で。だから、これで満足せにゃ。「よきにはからえ」の心で。嫁さんにはなかなか分かってもらえんことだが。

 明日のマドリは最高気温23度最低気温8度だってよ。ジャケ無しじゃ死ぬじゃん。午後一でおさらばできて幸いだった。「次」は気候についてもちっと丁寧に調べて行こう。せめてゴアテックスは持ってくるべきだった。持ってくつもりで完全に忘れてた。要反省。

 Netflixで「トトロ」をちょっと観る。で、分かったのだが、他にもスペイン語音声+日本語字幕のアニメが沢山あるようだ。「CCさくら」とか。「ヒーローアカデミア」は音声字幕ともスペイン語。でも「紅の豚」とは違ってキッチリシンクロしてる。これはこれで有り難いこと。また、ジブリ作品は日本ダメだが、他の作品は無問題なんだろ。だったら「裏技」導入しなくても、そのまんまスペイン語学習教材にできるのでは? 帰国後キッチリ確認してみよう。つか、今ザッピングして、観れるだけ観てみるか。

 「まどマギ」と「ファーストガンダム」と「とある科学」は英語しかなかった。「セーラームーン」の何シーズン目かで、うさぎやちびうさが早口でスペイン語喋りまくってて、字幕見ながらなら、80%理解できるのにはエウレカだった。思ってた数倍使えるじゃんよ。スペインの声優も日本同様滑舌訓練が十分だから、早口でも聞き取りやすい。耳を慣らすには最適かも。

 まとめましょう。スペイン来て「暮らす」と称して、基本アパルタメントに引きこもって執筆してた。人恋しくなるのは必然。で、その「人」はスペイン人100パー。それが究極に極まったところでスペイン語話したい聞きたい願望炸裂、ちうわけだ。そんで昨夜のゴンサロ相手のマシンガントークになっちまったわけだ。普段の自分の、下手すりゃ10倍話してる。引きこもりの爺がよお(笑)

 今回の旅は自分の晩年におけるメルクマール。スペイン語だと何て言うのか? hito(イト)だ。歴史・人生などにおける画期的な出来事。重要な意味を持つ事柄。このhitoによって、晩年の方向は確定した。自分はスペインで死ぬ。それを全うするための支度こそが晩年の自分の「仕事」。

 しっかしまあ、よくもここまで来ちまったもんである。自分に感心しつつ、あきれてるもう一人の自分がいる。だけどさ「それ以外の人生」が、どんなもんであったかと想像すれば、「これ以上はない」と即答する。ホンマジに。

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