ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから

昨晩観た映画だが、とても面白かった。せっかくなので感想を残しておきたい。

この作品は、アスター(アレクシス・レミール)、エリー・チュー(リア・ルイス)、ポール・マンスキー(ダニエル・ディーマー)の3人の関係性(妙なつながり)が軸となって話が進んでいく。調べてみると、全員映画初出演のようで。それにしては皆上手だったなぁとまず観終わった今しみじみと思う。

特に印象に残ったのがアスター。アスターは、その圧倒的な美貌のために学内で一目置かれる存在。ただ、その美しさが先行して彼女自身よりも、彼女の外見を観て周りの人間がすり寄って来る。そのために、生身の自分(文学や芸術を愛する)を理解してくれる友人がいないことを悩んでいる。

この映画の良いな!と思ったポイントの一つが、このアスター役の俳優の外見だ。美しいのは勿論だが、それ以上に(何て表現すれば良いのか難しいが)顔に「深みがある」という印象を抱かせる。ただ容姿の整った人ではなくて、本が好きな人特有の顔の雰囲気(共感してくれる人がいるか分からないが)あってとても魅力を感じた。

映画を観ていると、この作品の〇〇が好きというのが出てくると思う。個人的には、「舟を編む」の時の宮崎あおいが魅力的な女性のトップに君臨しているが、それに近づくくらいアスター役の方は良かった。

あと、この映画の良いなと思ったポイントは、「文通」というつながりから関係を紡いでいく点だ。優等生のエリー・チューは、アスターの気を惹きたいマンスキーのラブレターを代筆する。その内容がまた良いのだが、アスターとエリー・チューにしか分からない世界、関係を作り上げていく前段階の、前提の共有が必要がない、端から分かり合えている二人のつながりが見える。こういう「わざわざあなたには説明しなくても分かるでしょ」という関係がとても羨ましくて、映画を観ながら「ええなぁ」という言葉を漏らしてしまった。

この後、3人の関係に少しずつ変化が起こっていくのだが、その過程も飽きずに楽しめた。そしてこの映画のタイトル(邦題)には、「面白いのはこれから」とあるが、まさにこの3人にとって「面白いのはこれから」だなと思える終わり方で、作品の結び方もとても良かったです。




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