見出し画像

お香の始まり ~お釈迦様が好んだ香り~

お香の歴史についてです。
日本のお香の始まり」で記述した内容よりももっと昔の話です。

文献には載っていませんが、植物の薬効や体臭など匂いを消すことを目的に植物を体にこすりつけることから人間の香りの歴史が始まったと推測されています。
それは、動物が植物に体をこすり付ける行為と同じで本能的なことなのではと考えられます。
また、人間が火を扱えるようになってから、火を熾す際に植物を燃やす中で、木の樹脂など良い香りがするものなどが発見されました。
種類は様々で、レバノン杉や乳香、沈香、白檀、パロサント、ホワイトセージなどその地域で採れる香りのする植物が使われています。
それらは、宗教儀式やスピリチュアル的な道具などに使われることにより薫香は珍重されるようになりました。
その中で、嗜好品としても薫香は楽しまれていたようです。

では、日本へ仏教により伝わったお香はどう生まれたのでしょうか?

その始まりは、お釈迦様が亡くなった場所であるインドであると言われています。
お釈迦様が生きておられたころ沈香は嗜好品として使用されていたようで、お釈迦さまは沈香が好きでよく焚かれていたそうです。
そして、亡くなられた時に、弟子たちがお釈迦様への御供えものとして焚かれた沈香がお香の始まりと言われております。

ChatGPTによるお釈迦様がお香を焚いているイメージ

そして、沈香一味で焚かれていたものが、沈香の香りを引き立てるように様々な生薬などの香原料を組み合わせて今の焼香の形へとなりました。
その後、丸薬状の練り香や炭を使わずにお香を焚ける線香などが生まれていきました。

そこで気になるのは、「お釈迦さまはどういった沈香を焚かれていたのか?」です。

一説として、お釈迦様が生まれ亡くなられた場所の近くで採れる沈香ではないかと言われています。
それは、インドの紅茶でも有名なアッサム地方の沈香です。
アッサム産の沈香はシャム沈香とタニ沈香の中間的な甘味と辛味があるコクのある香りです。過去には乱伐採により激減し採れなくなりましたが、今では水蒸気蒸留などでオイルも採られていると聞きます。
また、通常の沈香が採れる範囲の中でもかなり北の地域で、それ以上北では沈香は採れません。

chatGPTによるインドのアッサム地方のイメージ

日本のお香の源流は、仏教の中で生まれたお釈迦様への供香であり。シルクロードや海などを渡って日本までやってきました。日本独特の文化と共に日本独自の香りへと変化して行きました。
時代の変化の中で使用する香原料も手に入らなくなるなど、様々な理由により香りは変化しています。
出来るのであれば、古来のお香の香りを聞いて見たいと思う次第です。

■余談
お香は沈香の香りを引き立てるように生薬が使われるようになり、焼香が生まれました。
実際に沈香の香りが引き立っているのかはなかなか体験することがないと思います。
仕上がった焼香からは良い香りはしますが、元の沈香の香りを推測することはなかなか難しいと思います。
それを感じる事の出来る商品が長川仁三郎商店さんより発売されています。
「合わせ香」という商品で、焼香のベース(沈香が入っていないもの)になるものです。

合わせ香に入れる沈香のおすすめは タニ沈香の中タニで、合わせ香を7gと中タニを3gで約2対1の割合で混ぜてもらうとオリジナルの沈香の焼香が出来上がります。
”中タニのみ”を焚いた場合と”合わせ香で作った中タニの焼香”を焚いた場合で焚き比べてみると、漢薬により沈香の香りが引き立っているのが体験できると思います。
是非、香りの変化を体験して頂きたいと思います。

長川仁三郎商店:合わせ香


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?