短編小説『キスで魔法が解けたのかしら』
改めて、オトーサンの横顔を見る。
微かな明かりにも左右されない彫刻の様な彫の深い顔。皺や目の下のたるみが強調されていて、実際よりも老けて見える。疲れているけど、凛とした老人のような表情。私の本当のお父さんも生きていたら、こんな風に年を取っていたのかな。
私も食べてみる。
あれ、私も味がしない。どうしてだろう。随分だしも工夫したのに、このお味噌汁、どうしちゃったのかしら。こうやってキャンドルの明かりの中で、オトーサンと二人きりで食事をするということ自体の感動が大きすぎて、