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大河内健志短編集

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#宮本武蔵

武蔵の微笑み(時代小説『宮本武蔵はこう戦った』より)

武蔵は思い悩んでいたのだった。 小次郎に勝てるという自信がなかった。 今まで数々の試合を…

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宮本武蔵、参上!(『宮本武蔵はこう戦った』より)

「ようやく、宮本武蔵様が参られたようです」  付き人の声でやっと我に返った。今までに生き…

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本能には勝てない!(『宮本武蔵はこう戦った』より)

「恐ろしい」 武蔵は、全身が強張って身動きが出来なくなってしまった。 小次郎は、目の前で…

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燕を斬る!(『宮本武蔵はこう戦った』より)

 佐々木小次郎の緩慢に空を切る一振りによって、巣に向かって一直線に飛んでいた親燕は飛ぶ方…

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切り損じる小次郎(『宮本武蔵はこう戦った』より)

 徐に小次郎は、背負っている刀を下から前に回し、鐺で大店の軒先にある燕の巣をはたき落した…

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異形のサムライ(小説『宮本武蔵はこう戦った』より)

父、無二斎より、小倉藩の権力争いのごたごたを収める意味も含めて、「佐々木小次郎」なる剣術…

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身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ(『宮本武蔵はこう戦った』より)

「こだわりを捨てよ」 武蔵は、 自分に言い聞かせた。 大地と一体化するのだ。 自然の声を聴くのだ。 運命は、すでに定まっている。 全てに身をゆだねるのだ。 降り注ぐ陽の光が、語り掛ける。 雲の流れる音がする。 波のささやきが、手に取るようにわかる。 見よ。 海面は、我が意のままになっているのではないか。 いや、そうではない。 分かるのだ。 どんなに小さい海面の動きも、把握できる。 今なら、鳥のように自由に空を飛び回ることも出来そうだ。 武蔵は、全

海を見つめる武蔵(時代小説『宮本武蔵はこう戦った』より)

武蔵は海を見ている。 日の出から随分時間が経った。陽が昇って頭上近くになろうとしているの…

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