1 我々はなぜ性犯罪を厳罰化しなければならないと思ったのか?

性犯罪神話において、なぜ厳罰化しなければならないのか?基本中の基本ではあるが、我々は何をしてきたのかというのはしっかりと把握する必要があるだろう。世間一般で流布されている根拠はいくつかあるが、代表的なところは紹介しておかなくてはならない。


1-1 性犯罪における再犯率の高さ

性犯罪においては再犯率がほかの犯罪と比べると高い。とすることは世間では常識のように流布されている。性犯罪を厳罰にする根拠としては必ずと言っていいほど目にするものであり、知らない人はいないのではないだろうか。という話である。

理論構成としては、性犯罪はその人の脳の働きがさせるものであることや、支配欲を満たすことによって何度も繰り返し行われるものであり、再犯をする可能性が高いとする論理構成をとっている。

故に、再犯率が高いからこそ厳罰にするべきだというのではあるが、この反論については後に述べよう。

1-2 暗数の多さ

暗数に関する議論も、再犯率と同様に二代根拠というべき事情といえよう。暗数理論が根拠となるのは、性犯罪にあっている人物が多くいたとしても、その多くは訴え出ないことに起因する。

 それを示す調査もあり

(1)警察等の公的機関に認知された犯罪件数を集計する方法と,(2)一般国民を対象としたアンケート調査等により,警察等に認知されていない犯罪の件数(暗数)を含め,どのような犯罪が,実際どのくらい発生しているかという実態を調べる方法(暗数調査)があります。

犯罪被害実態(暗数)調査 http://www.moj.go.jp/housouken/houso_houso34.html

 とのようになっているのではあり、実際の数値に関しても

 被害に遭ったことがあると答えた人(35人)に対して,「あなた又は誰かが,捜査機関に被害を届け出ましたか。」と質問したところ,「はい」が5人,「いいえ」が28人,無回答が2人であった。
 被害に遭った人に占める被害を届け出なかった人の割合は80.0%(第1回調査87.1%,第2回調査77.8%,第3回調査76.0%,第4回調査74.1%)であり,依然として,届出をした人の割合(14.3%)を大きく上回っている

犯罪被害実態(暗数)調査 http://www.moj.go.jp/housouken/houso_houso34.html

となっていることからも、元々訴える人が少なく暗数が多い犯罪だからこそ、性犯罪については特に厳罰化や訴えやすいような環境を整えるべきであろう。

という形でより強化を進めていくようにしている。

処罰感情及び性犯罪者を野放しにすることをより防ぐことに重点を置いた政策になっていると言えよう。

ただし、暗数というものそのものについても、後述べるように複数の疑義がある。

1-3 訴える人数が少ないのとその事情について

暗数からの続きになっているが、訴える人数が少ないことはなぜなのだろうか?というところに起因した理論がある。

その考えとしては、訴えられない事情や制度の問題を指摘することがある。箇条書きではあるが、その根拠を示すとすると

・旧規定において「暴行・脅迫」要件を設定していることにより、立証することそのものが根幹な事情が存在している。
・性犯罪においては、訴え出ることそのものが世間からの冷たい目線を浴びるようなことであり、被害者自体がそもそも訴え出ることをためらうことがある。
・性犯罪について、そもそも被害者には大きな精神的な負担があることから、立証する方法以外にも訴え出にくい状況が介在している。

 といったところであろう。複数の事情が介在している状況があり、なおかつ訴え出にくい状況があることからも、厳罰化と訴え出やすい状況を整備すべきである。というような論理構成で成り立っている。

 現代でもすでに一定の制度が整備されており、フェミニストからも評価されているようなものもあるが、内容によっては新しい問題点を浮き彫りにさせている。

 また、訴える人が少ない中でも訴える人がいる。という話がある故に、別の問題も引き起こしている。

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