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インタビュー#2

  二人目のインタビューは、大学の同級生で和歌山県出身のTさんが引き受けてくれた。いつものニコニコと明るい印象とは対照的に、シリアスな話題はきちんと言葉を選びながら答えてくれる。普段からこういう話をすることがたまにあるけれど、今回も語り合ったのでインタビューというより対談みたいになった!ぜひ最後まで読んでください!

ー小中高で「平和学習」っていう時間はあった?

ほとんどないな。中高に関しては無かった。小学校のときに道徳の授業でちょっとだけやったぐらいやと思う。『ちいちゃんのかげおくり』は覚えてる。


小3国語の教科書(光村書店)に掲載されている絵本


ーじゃあ広島とか長崎のことに関してはどの程度の深さで習った?

ほんまに、歴史の授業とかでさらっと習ったぐらいやと思う。原爆落ちたのは広島と長崎ですよー、覚えといてねーぐらい。あとは国語の時間のときに写真をちょっと見たくらい。教材の中の、歴史の中のひとつって感じ。物語とか小説としては小学校のとき3,4冊読んだかな。

ーなるほど。広島は「平和学習」っていう名前のついた授業に小学校の時から結構時間を割いていて、公立の小学校や中学校は多くが8月6日を登校日にしていて、みんなで式典を見るし、小さい子もセンシティブな写真や絵を見ながら育っていくんだけど、他地域はそうじゃないんだね。

うん。無かった。

ーこの、地域差が生まれている現状は変えるべきだと思う?

うーん、難しいな。広島とか長崎の人たちがどう考えてるかは正直俺には分かれへんけど、原爆が落とされた当時の状況と今の状況って違うと思うから、時代に合わせて変えていかないとと思う。今やったら核を持つべきか持たないべきかについても考えるとか。もし80年近くずっと、単に原爆の残虐さだけを教える教育をしてるのなら、それを日本全体に広めるべきではないと思うかな。


ーなるほど、教育は時代に合わせて変えていく必要があるよね。あともうひとつ平和教育の問題点として、子どもたちにちゃんと歴史的真実を伝えることと、それがあまりにも刺激が強すぎて彼らのトラウマになってしまうジレンマっていうのがあって、この2つを両立させるためにはどうしたらいいんだろうって最近考えているんだけど。どう思う?

もちろん過去を学ぶことってすごく大事やし、歴史から得る教訓って大きいと思うけど、そこまで昔の戦争とかについて深く教えすぎるような教育はあんまり良くないと思ってるかな。トラウマっていうのもあると思うし、ヘイトの原因になってしまうこともあるし。トラウマを植えつけすぎてもいざというときに日本が自衛できない国になってしまうし。そこまでし過ぎずともちゃんとした知識さえあれば意見は持てると思うんよな。映像とかでっていうよりは、文章とか国語の教材の中で触れる機会を多くして、自分たちで想像して考えることがいちばん重視されるべきやと思う。


ー確かに今の平和教育は感情の押しつけになりがちな側面があるよね。感情論で語るべきことではないけど、論理的すぎても小さい子どもには理解できない。だから小さいうちからいろいろな意見に触れて、比較しながら考えさせるべきなんよね。

それはすごく大事やと思う。それに加えて、歴史をただ学ぶだけで終わらせずに、今の世界での平和を達成するためにはどうするべきかってことまで発展させて考えるのがいちばんのゴールよな。



今回は主に平和教育について答えてもらった。明確な答えなんてないけれど、人それぞれの「平和とは何か」の答えを探っていくのにはやっぱり知識を持つことが前提なんだろう。学ぼうと思えばいくらでも情報を集めることができるこの時代を有効活用しない手はない。


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