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【1ヶ月書く日記】100まんボルト【15日目】

 いたるところで静電気を喰らう一日だった。


 ショッピングモールの階段で、金属製の手すりにつかまったら電撃を受けた。コインロッカーの鍵を差し込むところに触れたら痛かった。ドアノブに放電された。


 ついには、スーパーのセルフレジで機械のどこか端っこの部分を触った時、今日イチの威力の静電気を喰らった。というか軽い感電に近い。


 とんでもない一日だ。触れる物全てを傷つけるのではなく、触れた物全てから傷つけられるやつじゃないか俺は。伝説のすた丼屋で数量限定の焼き飯 (炒飯ではなく焼き飯。パラパラじゃないけどすこぶる美味しい飯) を平らげた後、休日を過ごす人々で賑わう表通りに出た。 


 ん? なんだか変な感じがする。

 
いや、食べ過ぎで腹痛を感じるとかそういったものではない。周囲の様子が何だか変だ。ニンニクを摂り過ぎたか? そんなこととはない。毎日ブレスケアは二粒口にしている。


 だが、全員ではないけれど通りすがる人たちが顔をしかめたり、いきなりビクっと飛び跳ねたりしている。足元の鳩が慌てて飛び立った。野良猫が威嚇している。


 不思議だな。俺のことがそんなに変なのか。疑問に思いながらもそのまま歩いて家に帰り、ちょっと一風呂浴びようとお湯を沸かした。


 二十分くらいして浴槽が貯まったのでさっそく入ることにした。躊躇なく右脚を水面に突っ込む。バチバチなっている。


 あれ。バブ入れたっけ。入浴剤のバブ。


 いつからシュワシュワの泡じゃなくて、バチバチの電撃が流れるようになったんだろう。お湯が暴れているかのように飛び跳ねてるし、なんだか白い光も見える。まるで電流を流しているような。


 ……電流? まさか自分自身の身体から放電しているというのか?


 そう思った瞬間、風呂場の明かりが消えて真っ暗になった。停電だ。


 窓の方を見ると、外の電灯や隣の家の明かりも消えている。静電気ってやばいぜ。