たのしいじんつうにっき
はじめに
出産して80日が経過した。あまりに怒涛の日々で、振り返る余裕がまじでなかった。毎日のアップデートに対応するのに精いっぱいである。先日も「横抱っこは嫌だ、縦に抱け」アプデが入ったところだ。
今もお昼寝から起きちゃってきゅえきゅえ鳴いている。泣いているのではなく鳴いている。かわいい。
こんな具合に目の前のかわいさに目がくらみがちなので、本当に過去を振り返る余裕がない。しかしそれではあまりにもったいないので、ちょこちょこ振り返りもしていこうと思う。
今回は陣痛~出産まで。
通常、「陣痛」とかいう痛みがきて病院に行って陣痛室で苦しんで出産、というものだと思うし、私もそう聞いていた。「痛みが10分間隔切ったら電話してくださいね」と助産師さんに言われていた。
しかし妊婦というのは個体差がある。個体差しかない。
それを嫌というほど思い知ったのが今回の陣痛だった。
1.じんつう!
予定日2日前深夜、腹痛を感じて起きる。この時点ではなんか痛いな~お腹冷えたかな~程度。ごろごろしてみるも痛みは引かず、むしろ強くなっている。冷えによる腹痛、ではなく生理痛のような痛みになってきた。仕方なくトイレに行くと、少量の出血。「おしるしってやつか!?」とビビり散らし、布団に戻っておしるしについて調べると、出産数日前におしるしがあることもあれば、当日にあることもあるとあった。
なるほどこれ前駆陣痛ってやつでは?
本陣痛も疑ったのだが、数日前の診察で「予定日には産まれてきそうにない」という診断をもらっていたので、痛みに耐えることにした。しかし1時間経っても痛みは引かず、なんだか周期的になってきた。DLしていた陣痛計測アプリで周期を確認してみると、10分前後をふらふらしている。10分切ったら病院に連絡してみることにして、カウントを続ける。
更に1時間半、周期が7分前後になった。まだ痛みはつよくないので、病院に行く支度を始める。パンと牛乳を突っ込み、荷物を準備。支度が終わってしばらくしても痛みは続いているので、腹をくくって旦那を起こし病院に電話をする。
しかし、先日の診察もあり、前駆陣痛ではないかと助産師さんに言われ、1時間後まだ痛いようなら連絡することに。
その後1時間は痛みが弱まり、なるほど前駆陣痛だったのかなあと思ってると、突然痛みが復活する。いてえ!しかも感覚も短くなってる!!いやこれは流石に!!!と思って再び病院に連絡するも、また前駆陣痛じゃない?と言われてしまう。助産師さん曰く、「深夜から痛いんならちょっと時間測るのやめて寝てみたらどうですか」とのこと。
ちょうど痛みがひいた瞬間に電話してしまったのが悪かったらしく、まだ余裕があるように聞こえてしまったようだ。電話切った瞬間痛みにうめいたけど...。
とりあえず言われた通り、スマホを気にするのをやめ、カーテンの向こうの朝日を感じながら寝てみることにした。が、まじで痛みでそれどころじゃない。痛みの間隔もどんどん短くなっている。いや…これ…どう考えても……。
痛みで声も我慢できなくなってきた頃、生理の多い日、いやそれ以上の出血が!どばあ!!ああーーーーッ!ベッドが!!!!!
明らかに本陣痛なので、病院に電話をする。三度目の正直だ。痛みの間隔を聞かれたがもうそれどころじゃないし、測るのやめちゃってるし。動くのも難しく旦那に手伝ってもらいながらなんとか着替え、這うように車に乗る。痛みの波が来るたびに運転手の旦那の腕をひっつかむ。かなり心配させてしまい、大変焦らせてしまって申し訳なかった。
痛みで身体の自由は効かないが、思考はクリアで変な感じだ。
2.うまれる!
病院に到着。痛みの合間をぬって、車から病院で出してもらった車いすに乗り、分娩室に直行した。分娩用の服に着替えるのも一苦労だった。自分の足で立つのはこんなに難しいものだったか。
どうやら陣痛から分娩までの移行がかなり速かったらしく、助産師さんたちが「初産?経産??」と混乱している声がちらほら聞こえる。
あとはひたすらいきむのみ!定番のラマーズ法は特に使わなかった。タイミングあわせていきむ。それだけ。
やった感想としては、どこに力を入れるか、力を抜くかのコントロールが必要なので、自分の身体の使い方を知っているとお産は楽だと思う。私は演劇をしていた経験が生き、助産師さんたちにもだいぶ褒められた。
分娩室に入って30分。
息子の泣き声を聞いた。
頭が出てからはあっという間で、ずるっと出てきて楽になった。
まず胸の上に乗せてもらい、はじめましての挨拶をする。とはいえ、ずっとお腹のなかにいた子なので、特にはじめましてという感じはしなかった。「でてきたねー」と声をかけた気がする。
その後すぐ、息子は検査、私は胎盤出すのと会陰の縫合だ。この胎盤出すのが気持ち悪くて、かなりきつかった。ようやく楽になったと思ったのに内臓をまたこねくり回される感じがして、解放してくれ!という気持ちになる。
3.うまれた!
とにかく全力疾走のあとのような状態から戻ってこれない。息が整わない。助産師さんたちの会話に受け答えするだけで精いっぱいだ。どうやらお産とは早い分痛みが強くなるものらしく、私は体力使いきってのスピード出産だったらしい。腕を動かすのもままならなず、本当はカンガルーケアをしたかったのだが赤ちゃんを抱っこしても落としそうだったので、顔の横に寝かせてもらった。初の抱っこは旦那のものとなった。
息子は元気に生まれてきた。「元気だね。いい色だね」と助産師さんに褒めていただいた。いい色?
息子と私の検査が一通り終わると、助産師さんたちは退室し、家族だけ残され2時間寝たままの状態になる。ここで身体を休め、その後病室へ向かうことになる。とてものんびりとした時間で、胸がほわほわしたまま、浮ついた感覚で旦那とお喋りをした。会陰縫合のための麻酔がきいていたせいもあるのだろうか、全身から力が抜けて、とても心地よかった。時折息子が唇をちゅぱちゅぱ鳴らす音が聞こえたり、腕が動くのが見えたりして、そのたびに二人の意識が息子に持っていかれるのがおもしろかった。
保育器の呼吸数がずっと良い数値で、元気すぎて笑ってしまった。
2時間経っても体力が全然戻らなかった。息は整ったが、意識はほわほわしたままで、力も抜けたままだ。本当は初日から母子同室、母親が赤ちゃんのお世話をする予定だったのだが、助産師さんに心配されるくらい体力を根こそぎ持っていかれていたようで、初日はナースステーションに息子を預かってもらった。
病室に車いすで運んでもらい、お昼ご飯を食べて(食べきれなかったので旦那にも食べてもらった)、旦那を見送り、痛み始めた身体を休めるために、たくさん寝た。途中あきらかにカロリーが足りていない感じがして、持ってきていたinゼリーを飲んだ。
おわりに
以上が、私の初めての出産の記録である。
想像していた出産とは随分違った。もうちょっとじっくり痛く進むものだと思っていたが、怒涛だった。本当に妊娠出産は個体差がすごい。「まだ出てきそうにない」という先生の診断もあてにならないとは。
ちなみに産後、父方の家系がお産が軽い家系であることが判明した。
実は息子が生まれた日は、もともと「この日に生まれておいで」と声をかけていた日だった。不思議なもんである。