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コール アンド レスポンス

コロナ禍になってから初めて、声出しOKのライブに行った。

私はTHE BACK HORNという日本のロックバンドが好きだ。新譜が出れば買うしツアーがあればまず2カ所以上は行くくらいには好きだ。
コロナが流行る以前からライブに通っていて、コロナ禍になってからは、ライブハウスでも椅子が用意されたり、声出しが禁止になったりした。
最初の頃はいつもはオールスタンディングの会場でも椅子ありかつ声出し禁止、少し緩和されてからは椅子はなくなったが床にバミリが貼られていてそこから動かないように、という立ち位置が指定されていることが多く、声出しは依然NGのままだった。

コロナ禍以前からのツアーは途中延期を挟んで2年越しにツアーファイナルを迎えた

アーティストによっては声出しが可能になったところもあると、ニュースなどで知ってはいた。
でもそれをなんとなく他人事のような気持ちで聞いていた。自分の好きなバンドはまだ声出しができない。
先日、2月11日、大阪でライブがあった。GORILLA HALL OSAKAという、今年1月に新しくできたばかりのライブハウスだ。
ライブハウスの中に入ると、足元のバミリがない。立ち位置指定のない、完全なオールスタンディングなのだということに気付いた。
私は一緒に行った友人に言われるまで知らなかったのだが、事前に公式から「今回のライブはマスク着用の上での歓声・応援が可能になりました」というアナウンスがあったらしい。

「大声での歓声・応援が可能となりました」の文字

LINEで流れてきた画像は毎回同じ形式なのでよく読まないと気付かなかった。
開演前にバンドのスタッフの方とライブハウスのスタッフの方がステージに出てきて、今回は声出しができるライブである、ということをお知らせしてくれた。
きっと画像を見ずに気付いていない私のような人が他にもいたことと思うので、とてもありがたかった。

声出しできると言われても、皆最初は探り探りなのではないだろうか、と思っていた。4曲目まではだ。
4曲目の白夜という曲で、初めて観客のコーラスが入るシーンがあった。ボーカルが腕を上げてコーラスを煽ってくれる。たった4拍のコーラスがちょっとどころではない衝撃だった。
皆の声が響いている。ライブハウスで、バンドの音と一緒に、私達の声が響いている。
白夜は自分の中では泣けるタイプの曲ではないのだが感動してめちゃくちゃ泣いた。次のシェイクという曲もコーラスがあったのでめちゃくちゃ泣いた。雨に打たれて風に吹かれてという、シングルのB面でシングル発売当時のツアー以来ライブでやったことがなかった曲もやったのでめちゃくちゃ泣いた。本編最後にやったカナリアという曲も大好きなのでめちゃくちゃ泣いた。
ちなみにこのセトリを体験するのは今回の大阪が初めてではない。東京でも既に一回聴いているが、ライブは一つとして同じものはないので毎回新鮮に聴く、というのが私の信条だ。
ちなみについでに言うと、今回のツアーは「マニアックヘブン」という、普段のライブでやらない曲を中心にセトリを構成した、THE BACK HORN恒例のライブで、日本の奇祭の一つである。

声を出していて、今までの3年間、私達は不自由だったのだと気が付いた。
曲間や曲終わりに歓声が上がる。メンバーの名前を呼ぶ声が上がる。そういった普通のことも、この3年間は我慢しなければならなかった。全てを拍手で表現しなければならなかった3年間、別にそれでもいいと思っていたこともあったけれど、やはりバンドへの感謝を伝える手段は多いに越したことはない。
MCの時、ボーカルは普通に観客と会話していた。メンバーのMCに皆笑っている。
観客のコーラスを受けて曲中、ボーカルが笑う。それは嬉しそうに笑っていた。
コールアンドレスポンス。コールアンドレスポンスだ。
失われていたライブの醍醐味がそこにはあった。

声が出せなくとも笑ったり泣いたりはできるけれど、バンドから受け取ったものを返すことはできると思うけれど、このバンドが、私達の声なき拍手からたくさんの感情を読み取ってくれていたことはわかっているけれど、ずっと、今日のこの光景が普通であればいいと思った。

今後のライブがどうなるかはわからない。もしかしたら地域や会場によってはまた声出し禁止になるかもしれないし、今の情勢から更に悪化する可能性もなくもない。
でも、こうやって歩みを止めずに前に進み続けてくれているこのバンドのことを思うと、あの日の歓声のことを思い出すと、とても勇気が湧いてくるのだ。
諦めたくないし、自分も前に進みたい。
そんな風に思った特別な日でした。

今回のマニヘブのセトリはこちら

余談
マニアックヘブンではボーカルの山田が主にグッズを考えてくれるのだが、今回のツアーグッズで初めて、メンバーのアクスタが出た。山田の発案だ。山田がアクスタに使うメンバーの写真の厳選も行ってくれたらしい。おかげでベースの岡峰さんはファンが大喜びの素晴らしいアングルの写真となっている。

今回出たアクスタ。友達に見せたら「ライブの写真なんだ!?」と言われた。そうだよ。

ライブを大事にするバンドなので、今回写真はライブ中のお写真となっていますが、第二弾は撮り下ろしの立ち絵にしてくれるそうです。嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。ライブのたびにアクスタ出してほしい。

余談2
ボーカルがドラムをやってドラムがボーカルをやってギターがベースをやってベースがギターをやる曲があるんですけど(?)、そこで一曲しか叩いてないのにボーカルの山田はドラムスティック折ってました。好きだなと思いました。

余談3
推しのアクスタが出たので、ソロフォト(ウェディングドレスを着ての撮影をお一人様でやるやつ)をアクスタと撮ってきた。結婚願望が全然ないので結婚の予定もないのだが、せっかくソロフォト撮るなら一緒に映った方が嬉しいな、というような具合である。後日もしかしたら記事を書くかもしれない。

以上、声出しOKになったライブは異次元の楽しさだったよ、というお話でした。
読んでくださった方、ありがとうございました。

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