帰納も演繹も

想像以下だ。
期待していた以上のものがあっただろうか。
いや、「期待していた」とするのも違う。
「大した期待もしていなかったが、そのハードルすら越えてこなかった」とするのが正しいだろうか。
往々にしてこのようなことになる。

妄想以下だ。
恐怖していた以上のそれは訪れない。
いや、「恐怖していた」とすると語弊があろう。
「戦慄するほどの不安を抱いていたが、それを超える事態は起きなかった」としてよいだろう。
往々にしてそうだ。

つまり私は期待以上を得られず、実際には起きぬ不安に辟易する人生を送っているということになる。
なんと惨たらしいことであろうか。

それでは私が期待を持ち得ない、足を踏み入れれば必ずや災いをもたらすであろうと想定するそれに手を染めたらどうなるか。
そうだ、今抱えている不安以上は起きないのであるから大丈夫だ。
ああでもこれでは既に期待してしまっているということになるのではないか。
そうなると期待以上は…