293. 奇を衒わずともはじめから

私は強運の持ち主である。
幸も不幸も、およそ起こり得るはずがないように思える事態に遭遇するのが常である。

「嗚呼、今は何をしても上手くいく気がする。」
そう思えているうちに行動しておく。
「どうしてこんなにも不運が積み重なるのだ。」
そう嘆いては打ちひしがれるときが来るだろうから。

破茶滅茶な人生を肯定できるのは、物事が軌道に乗っているように考えられるときだ。
絶望の真っ只中では、ただ「普通」を欲する。
平凡に見受けられた誰かの生涯を羨ましく思うのだ。

それでも私は必死で自分に言い聞かせる。
「こんな私にこそ、いや私にしか出来ないことがあるはずだ。」と。
「今ここで終わらせてしまっては、バッドエンドだ。見知らぬ誰かにもそう見えるだろう。バッドエンドは疾うに飽きた。レボリューションエンドを迎えねばならぬ。」と。

「革命依存」とでも呼ぼう。
私は常に変化を求む。

その変化が生み出す因果の絶対値を最大化する

そこにこそ価値を見出そう。
壊れているのなら、直すことに躍起になっている場合ではない。
分解と再構築のもと、奇人であれ。
正気を失ってこそ、病まずに済む。