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郷さくら美術館「平松礼二の世界—日本美の在り処を訪ねて—」

郷さくら美術館で開催されていた
「平松礼二の世界—日本美の在り処を訪ねて—」
を観に行きました。会期終了してますが、
感想をまとめてみたいと思います。


日本画家・平松礼二さんは「現代の琳派」と称される
画風で世界的に高い評価を受けているそうです。
伝統的な日本画を継承しつつも常に新しい画風に
挑戦している平松さんの多彩な作品が展示されていました。

展覧会の概要、訪問状況は下記の通りでした。

【概要】
会期:2021年12月4日(土)~2022年2月27日(日)
休館日:毎週月曜日
開場時間:10:00-17:00(入館は16:30まで)
料金:一般500円、70歳以上400円、大学生・高校生300円、
   中学生100円、小学生無料(保護者の同伴が必要)


【訪問状況】
日時:日曜日午後(最終日)
滞在時間:14:45~15:30 
混雑状況:それなりに人はいましたが、
     混雑しているというほどではありませんでした。
感染症対策:入口での手指の消毒、検温がありました。
写真撮影:可

フロアごとに展示のテーマが分けられており、
下記の構成になっていました。

1階 「路シリーズ」、「ニューヨークシリーズ」
2階 「花シリーズ」など
3階 「ジャポニスムシリーズ」

いつもの如くNHKEテレの「アートシーン」で
紹介されているのを見て興味を持ちました(笑)。

実際に作品を目の前にすると、
中央を川が横切るような構図や
小さな花びらが繰り返し描かれる装飾性、
金箔の背景の華やかさなど確かに
「現代の琳派」という呼称がぴったりだと思いました。

「路・野菊讃」という作品はびっしりと
塊のように菊の花が描き込まれた右隻と
大胆に余白に金箔が使われた左隻の対比が印象的で、
雰囲気は全く違うのですがクリムトの「死と生」を連想しました。
クリムトは琳派の影響を受けていたと言われますが、
時代、洋の東西を超えて琳派のスピリットが
受け継がれていると思いました。

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平松礼二「路 野菊讃」1996年

伝統的な日本画風の「路シリーズ」に対して
アメリカ・ニューヨークの街並みを描いた
「ニューヨークシリーズ」は一転して直線的、
幾何学的な画面構成で英語の新聞紙が
コラージュしてあったりと、斬新でした。
「展覧会によせて」という平松さんのコメントに
「取材、制作、発表、講演などに没頭」してきたとありましたが、
研究熱心で好奇心旺盛な方なんだなと思いました。

平松さんはクロード=モネの「睡蓮」の連作に
感銘を受け、印象派の画家へのオマージュを込めて
「ジャポニスムシリーズ」を始めたそうです。
アートシーンでは平松さんが直接モネの庭を
訪れて制作した作品も紹介されていて、
今回見られるのをとても楽しみにしていました。

「モネの池 四季彩夢」という作品は池の風景と
水面に映った景色の二層になっており、
本家とはまた違った幻想的な趣がありました。

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平松礼二「モネの池 四季彩夢」2015年

「モネの池 夏」は今回私が一番気に入った作品です。
正直最初に見たときは何が描かれているのか
分からなかったのですが(汗)、ピンクの物体が
水面に映っている雲だと分かった途端ぐっとくるものがありました。
夏の空の中に夕暮れの気配が早くなったのを感じた時というか、
ふと「夏もピークを過ぎるな」と思った時の感傷が思い起こされました。
日本とフランスで気候は違うと思いますが、
絵を通して同じような季節感を共有できるのかなと思いました。

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平松礼二「モネの池 夏」2003年


様々な画題や技法を取り入れつつも
作品の芯に普遍性を感じさせるところが
世界で愛される要因かなと思いました。

アート鑑賞の醍醐味は作品を通して
・自分の好みを知ることで新たな発見がある
・歴史の連なりを感じられる
ことの2点だと思っているのですが、
どちらも満たせる展覧会でした!

※最終日にいったせいか図録は売り切れ、
 展覧会チラシも配布終了していました。
 チラシまでないとは珍しい…。

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