東京都美術館「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」
東京都美術館で開催されている
「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」を
観に行きました。
先日見に行った「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」同様、
西洋絵画の巨匠の作品をまとめて見れるということで
楽しみにしていました。
展覧会の概要と訪問状況は下記の通りです。
【訪問状況】
日時:日曜日午後
滞在時間:14:00~16:00
混雑状況:入り口付近を抜けるとそれなりにゆったり
観ることができました。
感染症対策:入口での手指の消毒、検温がありました。
写真撮影:不可
こちらも年代順に作品を並べて西洋美術史の流れが
概観できる構成になっていました。章立ては下記の通りでした。
プロローグ スコットランド国立美術館
Chapter1.ルネサンス
Chapter2.バロック
Chapter3.グランド・ツアーの時代
Chapter4.19世紀の開拓者たち
エピローグ
西洋美術史はイタリア、フランスを中心に語られることが
多いように思うのですが、今回の展示はイギリスの作家、作品を
この流れにどのように位置づけるか考えられていることが
特徴かと思いました。風景画、肖像画といった分野については
「うちの得意分野だ!」といったプライドが感じられました(笑)。
またウィリアム・ブレイク、ジョン・マーティンの物語性のある
作品からは文学を愛するイギリスの国民性が出ているのかなと
思わされるものがありました。特に下記の作品が印象に残りました。
3人の魔女のラインとと上空の雲がうねるような螺旋を描いていて、
不穏な空気を掻き立てているようでした。
今回実物を見られるのを楽しみにしていた作品です。
チラシなどで見ていた時には儚げな絵というイメージだったのですが、
明度控え目に描かれた庭(?)を背景にした白い服の少女が
輝くような存在感を放っていて、意外と力強さを感じました。
その他に気になった作品は下記の通りです。
◆コレッジョ(アントニオ・アッレーグリ)帰属
「美徳の寓意(未完)」1550-1560年頃
素描をキャンバスに移す様子がうかがえるとのことですが、
中央の女神が塗り残されていることが驚きでした。
中心の一番大事なところから塗り始めると思うのですが、
周囲から塗っていったようです(作家にもよるとは思いますが)。
制作過程がわかるという面で未完の作品ならではの
楽しみ方があるなと思いました。
◆ジャン=バティスト・グルーズ「教本を開いた少年」1757年
勉強に取り組む少年の表情と指先の表現が見事だと思いました。
キャプション見てて思ったのですが、教訓を込めた絵を描いた人ほど
お金に苦労したりアルコール依存症になったりと破滅的なのは
何故なんでしょうか…。
◆クロード・モネ「エプト川沿いのポプラ並木」1891年
実景と水面に映った光景がほぼ半々で描かれているのですが、
双方をどのように描き分けるか挑戦するために取られた
構図なのかなと思いました。モネの実験精神が感じられます。
◆ベルト・モリゾ「庭にいる女性と子供」1883-1884年頃
絵全体を囲む茶色の渦が母子だけの時間を演出しているようで、
幻想的な雰囲気を出していました。
最後に展示されていたフレデリック・エドウィン・チャーチの
「アメリカ側から見たナイアガラの滝」はとても見ごたえのある
作品でした。大画面で迫力満点なのですが、右下に描かれた虹、
遠景の滝のクリアな青が繊細さを加えていて作品を
引き締めているように感じられました。作品が寄贈された
エピソードも含めてスコットランド国立美術館が館を
代表する作品として貸し出したのかなと思いました。
バラエティに富んだ展示で楽しめました!
東京会場は会期終わってしまいますが、巡回先の
地域にお住いの方はチェックを!!
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