見出し画像


先日、ENEOSが和歌山製油所の閉鎖を発表しました。
その理由は実にまっとうで、異論を挟む余地もありません。
企業には価値を上げる必要がありますので、こうした果断な決断って必要ですよね。

しかしそれに噛みついたのが和歌山県知事です。
言ってることはとても理解できますし、操業停止の撤回を求めて本社に乗り込む行動力も素晴らしい。
けれど一企業の経営判断に、自治体が待ったを掛けていいんですかね?

パフォーマンスにしても、すごく疑問に感じます。
そもそも膨大な設備投資が必要な製油所を、嫌がらせ目的に撤退するわけがありません。
基本的に企業は営利目的に運営されているため、利益が見込めないなら別の手段を考えます。
今回はそれが撤退であっただけで、特に不自然なところはありません。

また、知事の会見では――
「次の展望も示さずに閉めますというのは、その地域に死ねというのと同じだ」
「石油企業は大変だと思うが、とにかく雇用を守ってもらいたい」
と発言したようですが、すごく違和感があります。

前者であれば、『地域の次の展望を示すのは政治の仕事』です。
そもそも撤退したとしても跡地を放置することはありませんから、何かしらに利用されるでしょう。
自治体が買い取って企業誘致に使ってもいいし、売り先を斡旋してもいい。
そうした利用用途に介入するのであれば、とても優秀でしょうが……。
正直、発言を見ていると「あいつが悪い」感がすごくて、とてもじゃないですが違いますよね。

また、後者に関しては、『ENEOS内の雇用は守っている』と回答されればそれまでです。
関連会社にしても一年以上も前に撤退を告知していますし、取引の継続や斡旋なども義務ではありません。
むしろ環境が変わったことに対応できないのは、経営者側の責任が大きいように感じます。

といったことを考えると、何だか逃げられる理由が見えてきますよね。
これまで本来は政治がしなくてはいけなかった雇用や地域振興を肩代わりしてくれた企業に対し。
世界情勢まで考えて決断したら、メディア巻き込んで突撃して来る。
……そんな相手と仲良くやっていくってさすがに難しくありません?

もちろん、基幹産業の撤退を好意的に取るのは難しいのは分かります。
けれどどうせ先細りが予想される産業です。いつまでも存続させられるわけがありません。
なので『展望を示せ』とか『雇用を守れ』とか文句言うより、もっと『よりよい未来への協力』しませんか。

それとあまりにも『物を作る』ことに固執しすぎているので、むしろこれを機会に産業のアップデートして欲しい。
特にIT業とかサービス業とか、中国の深センとかアメリカのシリコンバレーとか見習って増えると面白い。
結構なエリアが空白地帯になるので、そうしたスマートシティ的な試験施設も作れますしね。
海も近いし、少なくともデータセンターを置くのはありだと思います。
まぁ……南海トラフは恐ろしいですが。

というわけで、ちょっとモヤっとしたことを書き連ねてみました。
少し前の話題だったので、いまさらかもしれませんが、何だか消化しきれなかったもので。
どうせ時事ネタ書くならもっとリアルタイムに即さないとダメなんだろうなぁ……次はもっと迅速にっ!
ではまた――

#製油所 #撤退 #和歌山 #エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?