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北大雪・平山

日程:2005年7月9日
メンバー:ぼく、Tさん

今日は、高校時代からよく登ってきている大雪山・北大雪の平山(1,771m) へTさんと行ってきました。

先日の雌阿寒岳や斜里岳を登った体力に、この初夏の北大雪の季節、きっと山の印象も変わるはずです。

平山は1年振り。ニペソツ山などの東大雪同様の非火山地帯で、優しい山肌の初心者向きの山です。
ですが、高山植物の豊富さでは広き大雪山の中でもトップクラスで、ナキウサギも生息しています。
平山から有明山まで白滝山岳会により登山道整備がなされたので、一層人気も出てきたコースです。

「表大雪の展望台」と言うだけあり山頂から見る表大雪の山並みは壮観で、遙かなるトムラウシ山から黒岳~北鎮岳~愛別岳とズラリと望め、右には大槍小槍を抱えたニセイカウシュッペ(1,883m)、左には網走管内最高峰の武利岳(1,876m)や武華山(1,759m)などが見渡せる素晴らしき山なのです。
平山は9月の紅葉時も美しく、ぼくにとって一年に一度は訪れてきている"お気に入りの山"なのです。

登山口駐車場に到着するも、すでに満車状態。
登山口発9時20分。
天候くもり。気温18℃。
登山口の駐車場からは雪渓を抱いた平坦な頂上稜線がくっきりと望め、まさに名前の通りの山です。
左手に深く刻まれた上支湧別川沿いの渓谷の音を聞きながら、針広混交林の中に続く径を進みます。
「なんか、平山は斜里岳よりキツイわ!山が受け入れてくれない」と云う、"Tさん"。
行運の滝、冷涼の滝を過ぎ、ややもすると清々しい風の吹く、ぼくの大好きな「第一雪渓」へと到着。

しかし、今年の残雪の多さに驚き。
雪渓からの清冽な水にエゾノリュウキンカの花、ナキウサギのピチッピチッと金属音のような鳴き声が響き渡っていると想い描いていた「初夏のロックガーデン」ではなくて、ただの一面の大雪渓なのです。
それでも、ナキウサギはすでに雪渓脇で鳴いてくれています。
一歩ずつステップを切りながらの、延々と急登の雪渓登りです。

この山は、運動靴の"Tさん"でも平気だと思っていましたが、苦戦中。
ぼくも弱音を叫びたいですが、自分に負ければ明日から後悔のみです。
第二雪渓まで来たからには頂上まで行かないと。
雪渓の融けた跡には、紫花のショウジョウバカマが可憐に咲いています。ぼくの好きな花の一つです。
時折現れる夏道も雪解け水の水路となっていて泥々ですが、2人で会話よろしく心地よく登山します。

やがて、低いハイマツ帯をダラダラと行くと、頂上分岐点に到着。11時50分。
本当の平山頂上は左折し平坦な径を800mのところなのですが、この分岐点を今回は頂上とします。
右折すると1800mの距離で比麻良山(1,796m)で、その先に登山路が開拓された有明山(1,635m)があります。高山植物を観察するには、平山方面よりも比麻良山周辺へ足を伸ばした方が良いようですね。

期待していた表大雪方面の眺望が全くない、くもり空、濃霧の視界なり。層雲峡さえ望めません・・・
なんとか連なるニセイカウシュッペ山が望める程度です。
昼食休憩をとりながら、"Tさん"と2人で、分岐点付近でウロウロと高山植物のお勉強会。
この平山には42科130種類もの高山植物があるそうなので、いまに開花しているお花のみの確認です。
キバナシャクナゲ、エゾイソツツジ、メアカンキンバイ、イワウメ、コケモモなどの高山植物に、主に出逢えました。
いつもは、この大展望ではなかなか腰が上がらずに長居したくなる場所で、ついには身体を地面に広げ預けて昼寝体勢までしてしまう場所なのですが、今日は、やがて空から雨がポツリポツリ・・・
ザックから雨具を取り出して着ながら、そそくさと下山開始、12:25。

下山時の雪渓では、"Tさん"、ビニル袋を敷いて「尻滑り」を楽しんでいました。
下着までベチョベチョになったそうです。

そして、冷涼の滝付近で"すってんころりん"と、危なく沢に転落しそうになり、ヒヤリ・・・
"Tさん"曰く、「自分は、この平山には好かれていない」のだそうです。
たしかに、人それぞれ、いろんな山とも相性があるのかも知れませんね。
今日も、事故やケガ等がなく良い山行でした。

雪渓を登る
ナキウサギ(山岳会のFさん撮影)
コマクサ
タカネスミレ
イワブクロ
タカネシオガマ
イワヒゲ


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