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「自己の中」にあるものと「他の人の中」にあるものを探って…(『となりの脳世界』 ・村田沙耶香)

1. 紹介する書籍

・村田沙耶香『となりの脳世界』(朝日文庫)

2. 本書の学びと気づき

  • 辛いことも、楽しいことも、嬉しいことも、悲しいこともそれはきっと人の数だけある。その時々に心の拠り所にできるものが「本」であり、「人」であるということ。

  • となりの人の脳を探検できれば、他の人の見方や考え方も知ることができて、新たな視点や考え方を手に入れることができる。→それができないからこそ、「想像する」ことが大切。

  • 本を読むこと、人と関わることで「こんな見方もできるのか!」「こんなの知らなかった!」「確かに!」「この部分はこの人と自分は違っているかも。」をたくさん気づき、見つけることができれば、きっと自分の形・像を俯瞰することができ、自分が自分の輪郭をはっきりさせることができる。

2.本書のキーワード

  • 「自己と他」

  • 「見方・考え方」

  • 「隣人」

3. 本書の概要(あらすじ)

小説家・村田沙耶香さんによるエッセイ集。車や電車などでどこかへ旅をすることができるように、人々の脳の中も行き来することができたらいいのにと思っていた中での作品。作品(小説)を書いているときや、想起してくる時、普段生活をしていて感じることをエッセイとして連載しているものをまとめて出来上がったもの。
人の数だけ見方・考え方があるのだから、それだけ世界の見え方は多様だ。その中でも村田沙耶香さんを知りたいという人にはとっておきの一冊。

4. 私と『となりの脳世界』

私の中で本書で最も心に残っている部分についていくつか紹介したい。

不完全な大人のまま、私は小説を書いている。それは子供を救うようなものでは到底ない、過激なものばかりだ。でも、小説は私の救いだった。なぜ思春期を乗り越えることができたかといえば、「不完全な大人」らしき人が書いた、自分より絶望した人間の言葉が、本の中にあったからだった。誰かが書き残した絶望が、私に取っては希望だった。

(本文p.43より)

私は、本を読んでいる理由をいつも探している。でも、この村田さんが綴った言葉を読んで心の中の何かが浄化したような気がした。

小説は私の救いだった。

私が心の奥底から思うのは、この言葉に込められるている。いじめられて辛い時、周りと距離があってどうしようもない時、悲しい時、それを言語化しながら伝えてくれるのが「本」。
周りの「意見」や「慰め」も確かに、一つの力になる。
しかし、それだけでは物足りない。

現代を生きる私たちにとっては、「読書」が必要だ。
SNSの中の、動画や記事、誰かのツイート。そういったものを見る時間も確かに一つの時間の使い方だが、それは他の人が作ったものをただ見て終わってしまうもの。
自分の中にある「分からない部分」を知るために、もっと「自分」を知るために「自分と向き合うことができる」という本を手に取って欲しい。

5. まとめ

今回は、『となりの脳世界』について紹介した。
もっと伝えたいことは山ほどある。
でも、この辺にしておこうと思う。
伝えたかったのは、

・自己と他者を知ることができる = 本
→自分の中のものを見つつ、他の人の中にあるものを「想像する」ことで、自分自身の輪郭がはっきりさせることができる。

ということだ。捉え方によってはどちらも有効的につかうことができるが。
ということで、また機会を改めて別の本を紹介したいと思う。

おっきい。


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