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ぱりんこの美味しい食べ方

数年前、ある親戚の死を経験しました。
その時ふと、「人は今にも死にそうな時こそ最も生きているのではないか」という考えが僕の頭に浮かび上がりました。死に直面した時程生きたいという想いが強くなり、故に最も生きている状態であるのではないかと思ったのです。この"最も生きている"という言い方はおかしいかもしれませんが、急な思いつきのようなものだったこともありその時の僕には他に言い方が見つからなかったのです。ただなんとなく死に直面するその人は今最も生きていると感じたのです。

その後しばらくしたある時、岡本太郎の『自分の中に毒を持て』という著書の中のある一節に目が止まりました。

「ぼくはあの若い日の決意を絶対に押し通すのだ。とことんまで危険な道を選び、死に直面して生きる〜」、「ほんとうに生きるということは、自分で自分を崖から突き落とし、自分自身と闘って、運命をきりひらいていくことなんだ。」 
岡本太郎『自分の中に毒を持て』より

つまり岡本太郎はこの話で「危険だと思う道こそ実は自分が本当に行きたい道であり、その危険な道を選び死に直面しながら瞬間瞬間に情熱をかけて生きる、それこそが真に生きているということである。」と論じているのです。その力強い言葉に衝撃と感銘を受けたのはもちろんですが、この岡本太郎のいう理論は僕があの時感じた「人は今にも死にそうな時こそ最も生きているのではないか」という考えと共通した感覚ではないかと思ったのです。自分の考えが間違いではなかったと言える答えを見つけたような気がして、それからこの考えは僕の中で確立したものとなりました。

この「人は死に直面している時こそ真に生きている」理論に基づけば、「ぱりんこはシケはじめている時こそ真にぱりんこである」と言えます。死に直面した人こそが一瞬一瞬を情熱を迸らせて真に生きているように、今にもしけそうな、まさにシケ切ってしまおうとしているぱりんここそ、一瞬一瞬を情熱を迸らせて真にパリッとしているのです。つまり、ぱりんこはシケかけが一番おいしい。

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