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あの日から結局変わらない,僕らはいつだって風のままさ/夜のドライブとフランネル

あの日から結局変わらない
僕らはいつだって風のままさ
flow - perfume

あの日から結局変わらない,
僕らはいつだって風のままさ

あと数日も経たないうちに大学を卒業しようとしているから、変わっていくもの、別れては出会う、行きては帰る、堂々巡りのこの季節が沁みるようになってきた。そして、そういう曲がジーンとくる。去年の今頃は卒業できるのかとか漠然とこの先どうしようかみたいなことを思っていたけれど、一丁前に卒論もアルバムも仕上げた。まったく時間は残酷なほど一瞬で過ぎ去る。これは本当の話、僕らは変わっていくのだから。

「あの日から結局変わらない,僕らはいつだって風のままさ」この詩に春のサイクリングでも言っておいでと背中を押される。緩やかで温かい風が僕を通り過ぎる。ひとつひとつそれを自分の中に取り込むように、変わりゆくものを受け入れる。世界の負の祭典と誤謬に目配せして、孤独と戦うあの子と止まない雨をみつめて。そうして部分的な平和が夢となって溶けていく時代を僕は受け入れる。一国平和主義に無自覚的に依拠しながらまた紛争地帯の放棄を自覚する。ここで紡ぐ歌詞も空虚に響く。掴めないこの春の風のように。やがて涙も乾くだろう。僕の春のサイクリング。

そんな思いと呼応するようにアルバムがたくさん届く。もう逃げられないようなコンクリートの壁に囲まれたこの現状に優しいメロディーで痛みを共有する。やがてその痛みは存在しない太陽となって肌を温める。「midnight sun」はこの時代のアンセム。彼女と絶望を共有する。それが自身の傷も癒し、時代を幾分反映する。逃げ場のないこの現実に、やがて春らしい花を咲かすのだ。

Silent leaves/I walked/In your forest/But there’s no roots/I am not sure I got this

tryより


彼の楽観主義的な音楽の裏にはすごく思慮深い冷ややかな感情を反芻して生まれてきた願望の楽園のようなものを感じる。そしてそのブルーなものは外向きな明るい気持ちまで連れて行ってくれる。

There's no way to time it
And where you may find it
Is unknown
Until then, you're a loner
So you see her (her)
She's over in the corner (corner)
And you can't ignore her (you can't ignore her)
There must be a reason
You see it, believe it now

AMAIZINGより


同じところでまた泣いてしまった/涙も室温になっていく/外に出なくちゃと歌う。でも伸びやかなギターのサウンドにつられ陽気な気分で外へ思わず出たくなるのもこの曲の素晴らしいところ。

さぁ、外に出なくちゃ。

i should get out more

i should get out more


Photo credit : yuya izukawa





夜のドライブとフランネル

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そうそう、最近は新しいモニターが届いて、調子がいい。ウルトラワイドだから没入感の具合がいい。最近はこのモニターでForza horizon5をプレイするのがお気に入り。このゲームの醍醐味は各地で開催される賞レースで優勝して車をカスタムしていくところにあるのだろうが、僕はそういうのが苦手でストーリーをガン無視して、初期仕様の車でただ大きなメキシコの舞台をひた走っている。それでも楽しく続けてられるのは、FM機能のおかげだろう。随時アップデートで、世界の音楽が更新される。ポップスはもちろんEDMやテクノ、クラシックまで。このゲームのFmには局がいくつもあるんだけど、どのFMも陽気なラジオDJが話しかけてくれる。最近のお気に入りはBass Fm(みたいな名前のやつ)。EDMが鼓膜を刺激して脳を揺らす。良質なインプットと裏腹にこういう無目的な時間は大切だと実感する。1人称にして速度感マックスのスリルを味わう。無目的に外を散歩するように。一人で世界に没入して走るだけ。(こういう孤独は最大の仲間!)ラジオDJは「外はとんでもないスコールです。でもこれを逃したらこんな絶景見れないぜ、さぁ人生は一度きり、今すぐ外へ出ちゃおう!」と危なっかしく叫んでいる(実際音声は英語なので確かな訳ではないけれど)。そしてゲームの世界はとんでもない雨が降り始める。目の前も、サイドミラーにも雨が打ちつけられている。いやあ今のゲームのテクスチャーはすごい。そう感心しながらスリップしないようにアクセルを踏む。そして夜になる。目の前の車のライトだけを頼りに山道を進み続ける。リアルすぎて怖い。こっちの世界では部屋を真っ暗にしてモニターだけ、それと少しの間接照明だけだから余計没入しちゃう。気がつくと2時間ぐらい経っている。時刻は10:30。そういえばゴーストさん、インスタライブやると言ってたなあと思い出す。FMを止めて、インスタライブを開く。弾き語りのライブ配信。たっぷり見ちゃおう。まだ夜はあけないから。Ghost like girlfriendのインスタライブをFMに、メキシコの山道をぐるぐると。

弾き語りだから曲の良さがダイレクトに伝わる。歌詞の持つ物語が生々しく伝わる。やはりこの人天才だわと思いながら僕は一心不乱にアクセルを踏んでいる(実際はコントローラーを握っている)。ただそのあとの記憶があまりない。多分寝ちゃっていたのだと思う。気がつくとメキシコの道なき野原で車はアイドリングストップしていた。(なんて危ないやつなんだ!)

メキシコの擬似居眠り運転を経た僕はtwitterをチェックする。既に日付を跨いでいて、ツイートがかなり更新されている。そこで僕は一件のツイートを目にする。ゴーストさんが新曲のツイートをしている!サプライズリリースだ。早速聞いてまた車を走らせる。タイトルは「Flannel」。こんなにもGhostLikeなタイトル、聴かずにはいられないよね。

もう夜は明けていて、海辺を走っている。歌詞の情報がないので手探りで歌詞に身を委ねる。委ねているうちに涙が止まらなくなる。この曲を聴いてアイスかじりながら泣いてしまう未来までみえてしまった。深夜の散歩道、アイス頬張ってまだまだ頑張れるぞって、まだまだいけるぞって、この曲の優しさにほだされる未来が。

この人は一体どれだけ、僕らの辛い夜を、やるせない思いを、優しい毛布で包むつもりなのだろうか...計り知れない。僕はPCをシャットダウンし、またゴーストさんのインスタライブ に忍び込む。


他愛もない独白を読んでくれてありがとうございます。個人的な発信ではありますが、サポートしてくださる皆様に感謝しています。本当にありがとうございます。