10月に見た写真集感想

ここ数か月自身の写真的教養のためにも写真集を見るようにしているのですが思考と嗜好(クソウケギャグ)の明確化のためにも月1でその記録・感想を残してみようかなと思います
敬称略です


森山大道
『記録』52号(2022)
https://www.akionagasawa.com/jp/shop/books/akionagasawa/record-no-52/
氏のライフワークシリーズ最新刊
個人的に氏は「強い」と形容する他ない写真が多いが今作はなんかいつもより更に「強」かった気がする
被写体・主題がより前に出た写真が多いというか
このシリーズは基本的にほぼ写真のみで語っている感じがしてこの潔さは自分に合ってるなぁと感じる


奥山由之
BACON ICE CREAM(2016)
https://www.amazon.co.jp/BACON-ICE-CREAM-%E5%A5%A5%E5%B1%B1-%E7%94%B1%E4%B9%8B/dp/4865061568
心象風景っぽい写真とハッキリ写った写真の世界を交互に行き来したような印象
個人的にこの方はハッキリ写った写真の方が好きかなと感じたと同時に、自分は心象風景のような写真はそんなに好きになれないなと気づいた
それと「心象風景写真とは何か?」なと考えるきっかけにも
なぜかというと自分は記録性がある写真の方が今は好みのため極端に記録性が無い写真は自分には読み取れなくて好きになれないんだろうなと
そんな心象風景ぽい写真の比率が高く自分には良さが掴めきれなかったが全体的に写真は色合いやハッキリ写ってる系写真(?)はかなり好みだったからそっち系統でもっと色々見たいなぁと思った


木村伊兵衛
パリ残像(2016)
https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E4%BC%8A%E5%85%B5%E8%A1%9B-%E3%83%91%E3%83%AA%E6%AE%8B%E5%83%8F-%E6%9C%A8%E6%9D%91-%E4%BC%8A%E5%85%B5%E8%A1%9B/dp/4904845625
1950年代のパリを当時まだ黎明期くらいだったカラーフィルムで撮り下ろした写真集
復刻版みたいなものなのかな?
たぶんこの時代において『海外で』、『カラーフィルムの』写真集は珍しかったのではと思う
氏の国内での写真はいくらか見ていたのだけどそれと比べるとどこかよそ者感というか異国の旅先と自身の距離感を測りながら撮っていることがなんとなく伝わってくる
どこか記録性重視の雰囲気がありHCBに影響を受けたような緻密な構図ではない印象を受けるがこの時初めてHCBと出逢うのだという
この時の出会いもまた後年の氏の作風に影響を及ぼした、ということなのだろうか


森山大道
K(2017)
https://www.amazon.co.jp/K-%E3%82%B1%E3%82%A4-%E6%A3%AE%E5%B1%B1%E5%A4%A7%E9%81%93/dp/4865030506
景色の断片を追い求めた、とあるように視界の一部を切り取って残したような写真が多い印象
あと近年の「記録」シリーズよりシャープな写りの写真が多い印象なんだけど、使ってるカメラ違うんだろうか?
近年は映画にも出ていたCOOLPIXシリーズでずっと撮っているみたいだが
まぁカメラなんかなんでもいいと言うくらいの氏においてカメラ何使ってんのかという問いはある意味無粋だろう
あとがきもまるで思考の断片を追い求めたような雰囲気になっていて視覚化された氏の思考を覗いているような気分になれる
その他特徴としては見開き二枚で共通項のある組み合わせという見せ方がおおく視覚的に楽しい
開けた景色よりは曲がり角や路地裏、開けた場所にしても何かの間から覗き見た景色のような、景色の欠片・断片のような写真が多い
大道といったら新宿、のような大都会の喧騒というよりは住宅街の何気ない、いやむしろ何もさそうな場所の断片を切り取りそれでもしかし「森山大道」としか言いようのない力強さがあるのはやはり見事と言う他ない


古屋行男
町ぐらし(2010)
https://www.amazon.co.jp/%E7%94%BA%E3%81%90%E3%82%89%E3%81%97-%E5%8F%A4%E5%B1%8B%E8%A1%8C%E7%94%B7/dp/4903564061
写真集でこんなに心温まるの初めてかもしれない
被写体との心の距離が近いから撮れた、という写真が多く自分のような人とまともに話せない人間の参考になるかは疑問だがそこがいい
自分は被写体となる、その場・町に対して距離を置いた態度を基本としているので町自体と心の距離が近いとこんな写真が撮れるのか、と勉強になったなと思う
このような撮影を心掛けろといっても無理なんだけど、こういう良さもあるのだなと理解できたのでそういう努力をするのもいいのかも
撮っている街並みとその人々との心の距離が近く、まるで町との家族写真のような写真集に仕上がってる
他人の家族写真とか見ても大概「ふーん。。」で終わるけどこの写真集は非常に見せ方が上手いのでスッと心の中に入って『あの頃の記憶』とでも言うべきか、郷愁を刺激してくれる
そんな素晴らしい写真集でした


アンリ・カルティエ=ブレッソン
アンリ・カルティエ=ブレッソン : 知られざる全貌(2007)
たぶん傑作選的な写真集
実は先月図書館で借りててもう返却してたけどかなり良い写真集だったのでカムバック
これぞアンリ・カルティエ=ブレッソンとしか言いようのない幾何学的で美しい構図の写真の数々は無言の写真教本と言っても過言ではない
中身の超傑作具合もさることながら本自体のサイズが手ごろで鞄に常に入れといても負担にならないから、たぶんこれは無言の写真教本としてどっかのタイミングで買うと思う

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