まだ生まれていない子供。
ある寝苦しい夜、夢の中に子供が出てきた。
「なぜ僕を産んでくれないの?」
子供はそう言った。
ん?どうゆう事だ?夢の中で俺は悩んだ。
「子供欲しくないの?」
子供は欲しくない。セックスは好きだが、子供は嫌いだ。自分と同じ苦労や嫌な思いをさせるのも嫌だから、子供は欲しくない。だから50になっても未婚だ。
「子供が生まれなかったら、人間は滅びるよ」
別に人間が滅びてもかまわない。逆に滅びて欲しいぐらいだ。
夢の中の子供は少し悲しそうな顔をした。
「あなたの両親は明るい未来と夢と希望を託してあなたを産んだんだよ。あなたにはそれがないの?」
ないね、そんなもの。俺は即答した。
こんな矛盾に満ちた不平等で理不尽で嫌な事ばかりの世界なんて早く消滅してしまえばいい。
子供は下をうつむいて遠くへ消えていった。
胸焼けのような嫌な気持ちで目が覚めた。
おまえは生まれてこない方が良いんだよ。それがおまえの為だよ。
俺はそう呟いて、タバコに火をつけた。
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