ダウン症候群患者は生体指標が決まった順番で変化してアルツハイマー病に至る

提供元:Biotoday.com

残念なことにこれまでダウン症患者はアルツハイマー病予防試験の対象外だったが実は理想的でうってつけ。試験の検討項目全てを厭わずこなせることも示された。

世界で580万人が患うダウン症候群患者の寿命は治療の改善で60歳以上に改善しました。その半面、老化疾患を被るダウン症候群患者が増えており、今やダウン症候群患者は10人に9人以上が主に21番染色体APP遺伝子過剰発現によりアルツハイマー病を被る運命にあり、もっぱらそのせいで命を落としています。

スペインと英国のダウン症候群患者388人のアルツハイマー病生体指標(バイオマーカー)を詳しく調べた試験の結果、アルツハイマー病発症の20年以上も前からその生体指標が決まった順番で変化していくことが示されました(1)。

アルツハイマー病診断年齢(前駆段階は50歳、認知症は54歳)の20年以上も前の28-30歳で脳脊髄液(CSF)Aβ1-42/1-40比と血漿のニューロフィラメント軽鎖(NFL)の変化が認められ、30歳代ではアミロイドPET測定やCSFリン酸化タウなどが変化し、40歳代になると海馬萎縮と認知機能変化を呈しました。

これまでダウン症候群患者はアルツハイマー病試験の対象外でしたが(1)(2)、ダウン症候群患者は試験で必要な検討すべてに厭わず応じうることを今回の結果は示しました。

アルツハイマー病を半端なく生じ易く、規則的な生体指標変化をたどるダウン症候群患者は原因遺伝子が明確な常染色体優性アルツハイマー病と同様にアルツハイマー病予防試験の対象として実は理想的ですらあります。しかもダウン症候群患者は常染色体優性アルツハイマー病患者よりずっと多くいます。

それにダウン症候群患者のアルツハイマー病と孤発性/常染色体優性アルツハイマー病は似ており、アルツハイマー病の予防治療を見つける試験にダウン症候群患者はうってつけであると著者は結論しています。ひとたび予防治療が見つかればそれらのどのアルツハイマー病にも恐らく有益でしょう。

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